大学陸上・駅伝

特集:第96回箱根駅伝

届かなかった26秒 麗澤大が2年連続次点で箱根駅伝初出場ならず

予選会後の報告会で麗澤大メンバーは泣き崩れた(撮影・上原伸一)

第96回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会

10月26日@東京・陸上自衛隊立川駐屯地~立川市街地~国営昭和記念公園
11位 麗澤大学 10時間57分12秒

今年も麗澤大に吉報は届かなかった。数多くの学校関係者や報道陣が見守る中、告げられた結果は2年連続の次点。10番目に中央大の名前が読み上げられると、チームを引っ張ってきた主将の宮田僚(4年、純真)は膝(ひざ)に手をつき、山川達也監督は天を見上げた。中大との差はわずか26秒だった。

箱根駅伝にあと一歩!! 麗澤大を支える山川監督のあったかさ

昨年の悔し涙を糧に、万全の準備を積んで立川へ

前回の予選会、麗澤大は本戦への最後の切符を手にした上武大と1分50秒差の12位で涙を飲んだ。その日から、チームは予選会に向けてあらゆる準備をしてきた。昨年からのチームのスローガンは「千手必勝」。千の手を尽くして勝つ、という意味だ。

万全の準備からチームには手応えもあった。発表前、チームトップの1時間4分57秒(全体49位)で走った宮田は「去年を超えるチームづくりはできたと思います。ポイント練習をしっかりするなど、調整もうまくいきました」と自信をのぞかせた。何よりも糧になったのが、昨年の予選会で流した悔し涙だ。「1日も忘れたことはありません。あれから1年、先輩たちが流した涙を背負ってやってきました」と振り返る。

先輩たちが流した涙を背負って、宮田はこの1年間、チームを引っ張ってきた(撮影・北川直樹)

生活の乱れは走りの乱れにつながると、私生活も見直した。合宿先での洗面台の使い方が悪ければ、すぐに選手間で話し合ったという。周りのおかげで走ることができる、という感謝の気持ちも部員全員が持ち続けた。麗澤大ではOBなどから差し入れがあると必ず、ツイッターなどを通じてお礼の意を示す。宮田は「予選会の日を迎えられたのも決して当たり前ではなく、支えてくださる人たちがいるからです」と改めて感謝の気持ちを述べた。

タイムを稼ぐはずの選手が暑さで失速

麗澤大は14人中8人が3年生というメンバーで臨んだ。とりわけ強い気持ちでこの日を迎えたのが、初出場の難波天(たかし、三国)だった。難波は10000mの自己ベストが29分30秒13と、チーム2位のタイムをもつ。しかし距離が長くなると弱いところがあったため、これまで出走がかなわなかった。難波は他の選手がジョグを60分するならその倍をこなすなどして、弱点を克服。メンバー入りを勝ちとった。結果は二桁順位には届かない全体107位だったが、チームでは7番目にゴール。「プラン通りにレース後半から上げていく走りはできたと思います」と口にした。

一方、更衣室用のテントで選手を出迎えた山川監督の表情はいま一つ冴えなかった。携帯電話で速報タイムを確認するたびに顔が曇る。「みんな強い気持ちで走ってくれたんですけど、期待していた選手が思っていたほど伸びなくて……」。山川監督の言葉通り、タイムを稼ぐはずだった国川恭朗(4年、美方)は全体58位の1時間5分04秒でチーム2位だった。

国川(右端)はゴール後、脚を引きずりながら歩いていた(撮影・上原伸一)

国川は5月の関東インカレ男子2部ハーフマラソンで7位入賞を果たすなど、エースとしてこの予選会でも活躍が期待されていた。しかし15㎞地点で脱水症状になり、両足がつった状態で走り続けた。国川をはじめ、選手たちを苦しめたのは10月下旬とは思えない暑さだった。この日の東京の最高気温は26度。レース序盤から肌を刺すような日差しが照りつけた。山川監督は「夏の合宿でもかなり走り込んできたので、この暑さは本来、ウチにとって歓迎のはずだったんですが……」と唇をかんだ。

「選手がここまで積み重ねてきた努力にミスはありません」

それでも山川監督は選手を信じ、10位までに麗澤大の名が呼ばれるのを待った。山川監督は今年の箱根駅伝で関東学生連合チームを率いて、改めて箱根駅伝の魅力を体感したという。山川監督は普段、選手たちと寮で寝食をともにしている。「今度こそ、選手たちをあの箱根に連れていきたい」という思いがより一層強くなった。

しかし、本選への扉はまたしても目前で閉じられた。結果を受けての挨拶で、山川監督は目を赤くしながら「選手がここまで積み重ねてきた努力にミスはありません。監督として何か、もっとできることはなかったのか。そう思うと本当に悔しい」と自分を責めた。2年連続の次点。来年の予選会までの日々は、足りなかったものを見つけ、足りないものを埋める時間になるだろう。そして2倍となった悔しさは今年以上の糧になるに違いない。

山川監督は選手の努力をたたえる一方で、チームを導けなかった自分を責めた(撮影・上原伸一)

悔し涙にくれた中、改めて励みになる存在にも気付いた。それは自分たちを心から応援してくれる人たちだ。宮田は挨拶でこう伝えた。

「今年は本当に応援の声が大きく、しっかり届きました。自分たちの力になりました」

来年は必ず歓喜の輪を作り、応援してくれる人たちと一緒にうれし涙を流すつもりだ。

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