ゴルフ朝日杯男子 大阪学院大・砂川公佑が初V、団体戦の頂点見すえ勝ちきった
第66回朝日杯争奪日本学生ゴルフ選手権
10月29、30日@千葉カントリークラブ・梅郷コース
優勝 砂川公佑(大阪学院大3年) 135(70、65)
ゴルフの朝日杯で、男子は大阪学院大の砂川公佑(3年、滝川二)が初優勝を果たした。至誠館大の吉本翔雄(1年、藤井学園寒川)とのプレーオフを制した。
最後まで気を緩めず、制したプレーオフ
もはや薄闇と言っていい夕暮れの中を、2台のカートが飛ばしていく。日没サスペンデッドを心配させる弱い残滓(ざんし)が、プレーオフの緊張感をさらに高める。広いコースにたった二人だけ残った砂川と吉本が、頂点を争っていた。
1番から始まった一騎打ち。400ydパー4。二人とも3打目でようやくグリーンをとらえた。先にパターをとった吉本が、ピンまでの1m弱のパットを外す。悔しそうにホールアウトした吉本。パーパットに臨む砂川の顔は、まだ強張っていた。最後まで気を緩めずにウイニングパットを沈めると、ようやく夕闇の中に砂川の白い歯がのぞいた。
最大の武器は安定感
初日の吉本の躍動には、大会関係者も「ノーマークでした」と驚いた。4アンダーの67で単独トップに立った。19歳の勢いの前に、雨など関係なかった。
一方、首位に3打差の10位につけた砂川は自信を崩さなかった。「雨の中でも、僕としてはかなりいい感触がありました。2バーディーに加えて、しっかり1ボギーで抑えられたことが、2日目につながったと思います」
そして2日目、砂川は序盤から自信を強めた。1番でバーディー発進すると、3番で自分自身をさらに流れに乗せていく。「センターのあたりから8mくらいのバーディーパットが入ったので、そこからとてもいい感触になった感じです」。言葉の通り、前半でさらにバーディーを一つ加えた。
上位選手とのラウンドになると、周囲には自然とパワーヒッターが増えてくる。それでも砂川は、自分のゴルフを貫いた。光ったのは安定感だ。「すべてのアイアンのショットがよかったし、チャンスをほぼ決められました」と笑顔。「それにノーボギーで回れたことが、とてもよかったです。ピンチもありましたけど、アプローチとパターでパーセーブできました。1度も悪い流れにならずに、最後までいけたかなと思います」。確かにこの日の18ホール、その先のプレーオフまで崩れなかった。
100yd以内を、いかに2打で上がるか
積み重ねた自信と周囲への信頼が、いまの砂川を支えている。3年生となり、プロへの思いがさらに強くなってきた。「大学に入る前は、プロになるために何が足りないかが明確でなかったんですけど、いまは戦うために何が足りないのかが、はっきり分かってきました。そろそろ自分のプレースタイルをつくっていかないといけないし」。そのための具体的な道も見えてきた。
昨年から見てくれているコーチが、専用機器で砂川のプレーを徹底的に分析してくれた。スイングの傾向、ドライバーで適正に飛ばすためのスピン量……。「全部数字で出てくるので、どうなってるのかが正確に分かる」。自身の未来像までも鮮明になってきた。「あまり飛ぶ方ではないので、100yd以内をいかに2打で上がっていくかを、とにかく練習しました」。朝日杯に臨む自分をつくり上げてきた。そのゴルフで日本一の座をつかんだ。
さらに背中を押したのが、仲間たちへの思いだ。大阪学院大は個々のスタート前にチームメイトが集まってスイングを最終確認していた。ときに笑顔を見せながら、チーム全体で戦っう雰囲気が強かった。砂川が個人タイトルを狙ったのも、続く団体戦である信夫(しのぶ)杯を考えてのこと。信夫杯で東北福祉大と日大の2強時代に割って入った4年前、そして連覇した3年前には、ともに大阪学院大の選手が朝日杯を制していた。「誰かが朝日杯で優勝すると信夫杯も士気が上がるという流れがあったので、優勝したいと思ってました」。団体戦の頂点を見すえて、勝ちきってみせた。
初優勝が決まった直後、砂川の両目が駆けつけた仲間たちの姿をとらえた。グリーン上ではすぐに白い歯は隠したが、自然とガッツポーズが飛び出していた。