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ゴルフ朝日杯女子 日大・星川ひなのが初優勝、「狭間の世代」なんて言わせない

決勝ラウンドの最終ホールで逆転優勝を飾った星川(すべて撮影・平野敬久)

第22回朝日杯争奪日本女子学生ゴルフ選手権

10月29、30日@千葉カントリークラブ・梅郷コース
優勝 星川ひなの(日大2年) 140(72、68)

ゴルフの朝日杯で、女子は日大の星川ひなの(2年、熊本国府)が初優勝を飾った。大会史上初の3連覇を狙った日体大の木村円(まどか、3年、明秀日立)との接戦を制し、堂々のタイトル奪取だった。その姿に、言動に「私たちは『狭間の世代』なんかじゃない」という星川の強い思いを感じとった。

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初日を終え、トップに4人

「淡々としてるね、ってよく言われます。いいのか悪いのか、よく分からないけど」。確かに日本女子学生選手権に続く今年二つ目のタイトルを手にしても、星川はどこか他人事のように冷静に話した。その性格も、今回の勝利を呼び込む助けになったのかもしれない。

雨となった初日の競技を終え、首位には2連覇中の木村と星川を含む4人がイーブンパーの72で並んだ。2日目の決勝ラウンドはこの4人が同組になった。

ほかの組の動きはなかなか入ってこないが、大会の大きな流れをつくるのは、この4人だ。「緊張もしますけど、状況が分かりますから」。星川はただ、我が道をいくだけだった。

木村と一騎打ちの展開に

前半は12番から3連続バーディー。後半は「目標を5アンダーにしようと思って、結構攻めるゴルフをしてたんですけど、ショットがよくなくて、バーディーチャンスも少なくて……」。我慢の時間帯が増えていった。

決勝ラウンドの前半は好調だったが、後半になるにつれて思うようなゴルフができなくなった

徐々に木村との一騎打ちの展開になった。星川はかろうじてトップに立ち続けていた。潮目が変わったのが、残り4ホールとなった6番だった。バーディーをとった木村に初めて並ばれた。さらには最終の9番を前にして、1打差をつけられた。そして運命の353ydパー4へ。

ここで1年生から勝ち続けている木村のティーショットが右へそれた。さらに2打目が木を叩(たた)いてしまった。

状況によらず冷静に。自分のゴルフに集中した

星川は2打目をピンそば2mにつけた。木村はダブルボギー。星川が1mのパーパットを決め、劇的な逆転優勝をなし遂げた。最後のパットを沈めても、新女王に笑顔はなかった。

「優勝したいと思ってた試合だったので結果としてはうれしいんですけど、狙ったゴルフができたというわけではありませんでした」。少し残念そうに語るのは、自分の中に新たな熱が生まれているからだ。

プロの試合に出て、肌で知ったこと

星川は昨年からプロツアーにも参戦している。今年10月のスタンレーレディスでは、台風により日程が短縮にはなったが、首位に2打差の2位タイ。堂々のローアマに輝いた。「自分のゴルフが落ち着いてできて、その試合は自信になりました。プロの試合に出させてもらうと、大学生の大会では通用するのにプロでは通用しない部分がすごくたくさん見えてきて、モチベーションも上がってます。まだまだ高いレベルがあるんだというのを肌で知って、さらに練習をしたものを、大学の試合でも少しは発揮できてるのかなと思います」。プロの世界で勝負するためにも、学生の大会ではしっかりタイトルをとっておきたかった。

慢心はない。近い年代で、すでにプロで活躍している選手がいるからだ。その筆頭は、星川の1歳上でいまをときめく渋野日向子(RSK山陽放送)か。「一つ上が黄金世代、一つ下がプラチナ世代と呼ばれてるのに、私たちの代にはそういう呼び名がなくて、むしろ『狭間世代』って言われてます。でも同年代の選手が活躍してて、それで自分も頑張ればできると思えるので、刺激になります」。星川の口調が、少し熱を帯びた。

近い世代の活躍は星川の刺激になっている

最終ホールの展開から今回の優勝を「転がり落ちてきた」と表現した星川だが、土壇場で集中できたのも「スコアをもっと伸ばしたい」と思い続けてプレーしていたからこそだった。

「最近、自分のゴルフができて、日本女子アマで優勝したいと思えるようになってきました。調子を上げられたら、それも不可能じゃないのかなって」。まだまだ遠く続くその先へと、我が道を貫き続けるつもりだ。

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