大学ラクロス

慶應女子ラクロス はい上がって準決勝進出、後輩たちに託す日本一の夢

前回覇者の慶應は準決勝で散った(すべて撮影・松永早弥香)

ラクロス関東学生リーグ戦女子 準決勝

10月20日@東京・駒沢オリンピック公園第一球技場
慶應義塾大(1部A2位)6-11 立教大(1部B1位)

ラクロス女子の慶應義塾大は1部リーグAブロックで明治大に次ぐ2位となり、準決勝のFINAL4進出を果たした。立教大との大一番を前に大久保宜浩監督は「目の前のボールをいつまで追いかけられるか。それが勝負を決める」と声をかけ、選手たちをフィールドに送り出した。1年前に関東で優勝したことなど関係なく、挑戦者として食らいつく。チーム全員が思い描いていたことだった。しかし慶應は6-11で破れた。

この春の苦境を乗り越え、慶應女子ラクロスは再び輝けるか

一時は同点にしたが、突き放された

試合開始のドローでこぼれたボールを慶應がつなぎ、平井友香子(1年、同志社)が走りながらショット。開始1分の出来事だった。いきなりの先制点で流れを引き寄せたかに見えた慶應だが、立教の櫻井美帆(3年、八千代)のシュートですぐ追いつかれた。慶應の2点目も平井だった。速攻でゴール前に走り込み、相手の一瞬の隙を狙ってシュートを打ち込んだ。「練習で何度もやってきたんで、絶対ここは決めないといけないって思ったんです」と平井。その後、両者ともに1点ずつ重ね、第1クオーター(Q)は3-2と慶應リードで終えた。

第2Qも先に慶應が追加点を挙げたが、そこから立教に3連続得点を許し、4-5と逆転された。勝負の後半。第3Qに苦しい場面で決めたのは慶應主将の荒井理沙(4年、慶應女子)だった。ゴールの裏からのパスを受け、シュートを打ち込んだ。荒井自身が得意とするプレーで、チームメイトにも「“あらりさ”なら決めてくれる」という思いがあったという。

荒井(中央の18番)が第3Qに同点のショットを決める

5-5。一気に勝ち越したい慶應だったが、ドローでボールを確保できず、立教に攻められる時間が増えた。立教は高い得点力で勝ち上がってきた。慶應ベンチからは「スティックアップ! スティックアップ! 」と声が飛び、なんとかボールを奪おうと、粘り強い守りを続けた。しかし、立て続けにシュートを決められた。最後は6-11と突き放された。慶應の大久保監督は「みんながファイトしてくれたので、いいゲームだった。ただ、立教さんの方が一枚も二枚も上手でした」と敗戦を振り返った。

先頭に立つだけが主将ではない

今シーズン、慶應は選手層の薄さが課題で、4年生たちも自分たちのプレーになかなか自信が持てずにいたという。荒井は「“強豪校の主将”っていうとすごい人っていうイメージかもしれませんけど、私はそういうタイプじゃないです」と言う。主将だから先頭を走るのではなく、仲間に支えられながら、みんなの力を一つにまとめるのが自分の役割だと考えた。最後までボールを追い続ける4年生としての姿を示すことで、チームが次第に一つになっていけばいい。そう思いながら戦ってきた。

「日本一になりたくてやってきて、それがもうかなわない。後悔したってしょうがないんですけど、後輩たちは4年生よりも技術的には強いものを持ってます。もっと強いチームになれる。でもチームは一人ひとりの力が調和しないとうまくいかないので、全員で強くなってほしいです」

慶應はリーグ初戦の東海大戦で10-10と引き分け、明治大には1-8の惨敗。一時は準決勝進出も危ぶまれたが、力を合わせてここまではい上がった。勝ちきれなかった悔しさはある。それでも荒井の目には涙はなく、次世代への期待を笑顔で口にした。

同志社から慶應へ、早慶戦に魅せられた

今シーズンはAT(アタッカー)の平井のほか、MD(ミディー)の川久保博子(慶應女子)と山本真菜美(同志社)という3人が1年生ながらスタメンとして戦ってきた。準決勝で早々に2得点を挙げた平井は試合後、「4年生は私がミスしても、責めるんじゃなくて優しい言葉をかけてくださって、常にやりやすい環境をつくってくれました。『こんな私を受け入れてくれてありがとうございます』と言いたいです」。感謝の言葉がスッと出てきた。

平井は小6のときにクラブで水球を始め、中学生のときには日本一を経験している。しかし所属していたクラブが中学生までだったこともあり、同志社高では別の競技を始めようと考えていた。そこで出会ったのがラクロスだ。過去に日本一を経験しているような強豪校であるのも魅力の一つだったが、たまたま参加した体験会が、ただただ楽しかった。仲間とともにメキメキと力をつけ、新3年生として挑んだ2018年3月の全国大会で日本一をつかんだ。

進学先を考える際、環境を変えたいという思いから関東の大学に進む決意をした。強豪の慶應にはAO入試で合格。5月の早慶戦の日、正式に入部した。

関西で高校時代を過ごした平井(左)は、関東のパスをつなぐスタイルに最初は戸惑った

早慶戦を見る前から部に入ることは決めていたが、目の前の光景に驚いた。高校の全国大会の決勝でも、あれだけの観客が集まることはなかった。ワンプレーごとに歓声が巻き起こる。その中央で躍動する先輩たちの姿がキラキラして見え、「私もあんな魅せるプレーがしたい」という思いが募った。ポジションもMDからより攻撃的なATに変えた。

1対1で勝負するスタイルが主流の関西に比べ、関東ではパスをつないで攻める。平井も最初はパス技術が追いつかず、戸惑うこともあったという。練習の中で一つひとつの技術を学んでいき、夏合宿中にトップチーム入り果たした。リーグ第2戦の学習院大戦で初スタメン、そして次の明大戦で公式戦初得点を挙げた。

大学で最初のシーズンを振り返り、平井はシュートの決定率を課題に挙げた。「今日の後半も決めるべきところで決められず、流れをもっていかれました。ATとして絶対点をとらないといけなかった」

挑戦者として戦ったシーズンが終わった。平井たち下級生が4年生の思いを受け受け継ぎ、再び頂上を目指す。

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