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連載:ラクロス応援団長・山田幸代コラム

世界と日本のラクロスの差は、プレッシャーを受けたときのプレーにあり

山田さんは「日本の選手はアンダープレッシャーが弱い」ということを、世界のコーチからよく耳にするという(撮影・山本倫子)

みなさんこんにちは、ラクロスプレイヤーの山田幸代です。

前回、DFのオフボールでのバトルについて話をしました。試合でも練習でも、そんなシチュエーションに気づけましたか? ここでDFが先手をとれば、AT(アタッカー)よりも優位に立てます。常にそのことを頭に入れて、練習してみてください。そこで今回は、オフェンスの話をします。海外リーグと日本リーグの大きな違いでもある「ATのアンダープレッシャーでの技術」についてです。

【応援団長コラム】ラクロスのDFはオフボールでのバトルが肝心

世界レベルのATは「DF-体-スティック」のラインを保つ

アンダープレッシャーといっても、1対1やダブルチーム(1人に対し2人でディフェンスすること)を初め、すごくたくさんのシチュエーションがあります。要するに、プレッシャーを受けた中でプレーするときの技術、ということです。世界の選手たちはこの場面において、日本の選手よりも絶対的な強さやうまさがあります。

簡単なところでいうと、ボールプロテクションの技術でも世界と日本の違いが出ます。スティックを顔周りでクレードルすることでボールがプロテクションできている、と思い込んでいませんか? プレッシャーがある中で、体を使ってボールを隠せていますか? スティックを相手の見えない位置に置けていますか?

スティックを置く基本的なラインがあります。「DF-体-スティック」のラインです。DFの前にスティックを出したら、すぐにチェックされるでしょう。そして、世界のDF選手たちは基本ラインを崩せる技術をもっています。プレッシャーをかけながら、そのラインを崩しにかかります。

体を使えているか? 空間把握ができているか?

前回お話しした通り、DFの基本は「相手の使いたいスペースを奪うこと」でしたね。先にスペースを奪うことで相手の選択肢をなくし、それからプレッシャーをかける。そのプレッシャーをどうかけるのか、そこに注目しながら世界のDF選手のプレーを映像で追ってみると、とても面白いと思います。

ではそんなDFに対して、ATはどうプレーするのか。

まずはしっかり体を使うこと。「当たられる前に抜く」という選手もいるでしょう。でも国内トップレベル、さらには世界で戦うのであれば、そんな場面ばかりではありません。

ATは体をうまく使い、スティックを自由に動かせる空間を確保しよう(写真は本人提供)

コンタクトスポーツだからこそ、プレッシャーを受ける中でいかにスティックを自由に動かすか、というところに興味を持ってください。プレッシャーがあっても、どうすればいつもと同じ形でプレーできるのかを考えてください。

一つはしっかりDFとスティックの間に体を入れ、スティック周りに空間をつくること。相手のプレッシャーがどこの位置にあるのかを知ることも大切です。もし肘(ひじ)や腕にプレッシャーがかかっているのなら、肘や腕を小さくたたむのではなく、自らスペースをつくって、スティックを動かせるようにしましょう。

そして、足を止めないことです。止まってしまうとDFの思うつぼです。動きを止めるのではなく、動かすことで相手がずれる瞬間を見つけ、ATが優位に立つ位置どりをしてください。どんな場面でも必ず忘れちゃいけないのが、視野をとり続けること。頭を下げたら周りも見えないし、スペースやずれを見つけられません。

プレッシャーのある中でのプレーの質が上がれば、日本はもっと強くなれます。ダブルチームでこられるときも動きを止めず、視野をとり、スティックの位置を気にしてください。世界のトップ選手は、そういうプレッシャーの中でのプレーの技術レベルがとても高いです。

スピードがある日本の選手はまだまだ強くなれる

みなさんが少しでもそこに意識をもって練習できれば、いままで見えなかった空間が見えてくると思います。その経験や数を増やしていくと、DFに付かれていても、シュートまでいける選手になれるはずです。世界のコーチたちと話をしていても「日本の選手はアンダープレッシャーが弱い」と口をそろえて言います。スピードで優っている我々日本人プレイヤーは、そのプレッシャー下での技術を身につけられれば、世界のトップ選手にもなれるはずです。私はそう信じてます。

まだまだみなさんにお伝えしたいことがあるのですが、今回はここまでにします。次はダブルチームにいくタイミングや、ボールを奪いきるシーンについて掘り下げて話したいと思います。次までに違う話が書きたくなったら、変わっているかもしれませんが(笑)。

ではまた1カ月後、このラクロス応援団長コラムで。みなさんの練習の中身が少しでも変化できるようなアドバイスができるよう、私も日々勉強します。

ラクロス応援団長・山田幸代コラム

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