ラクロス

特集:第11回ラクロス全日本大学選手権

南山大女子ラクロス 点取り屋から守護神となった主将・柴田真由 24日に準決勝

柴田(中央)は2年生の夏まで、攻撃専門のAT(アタッカー)だった(すべて撮影・松永早弥香)

ラクロス第11回全日本大学選手権 女子1回戦

11月16日@愛知・名古屋市港サッカー場
南山大(東海地区1位) 12-6 福岡大(九州地区1位)

全学1回戦の東海1位校と九州1位校の対戦は、南山大のおひざ元である名古屋が舞台。彼女たちにひときわ大きな声援が送られた。東海リーグではライバルだった選手たちが、この試合のために「東海応援団」を結成し、駆けつけてくれたのだ。東海地区の仲間たちへの感謝も込めて戦った南山大が、12-6で九州覇者の福岡大を下した。

序盤から優位に立って快勝

試合開始3分、南山は神田真央(3年、愛知淑徳)の2本目のシュートが決まって先制。試合再開のドローは福大に奪われたが、南山は相手のミスに素早く反応し、ゲームを支配する。第1クオーター(Q)でさらに2点を加え、4-0とした。

第2Qは最初のドローから福大に攻められるも、G柴田真由(4年、千種)が正面からのシュートを好セーブ。2分と4分に得点し、6-0とした。このあと両チームが2点ずつとって、8-2で試合を折り返した。

MF(ミディ)の前田(左端)は相手の速攻をつぶし、何度も攻撃のきっかけをつくった

第3Qは福大に先に決められた。開始のドローをとられて攻め込まれ、左からシュートを打ち込まれた。南山は攻め込んでのパスミスから速攻をかけられ、連続失点。8-4となった。攻められるシーンが続いたが、南山は前田真穂(4年、愛知)らが食らいつき、守りきった。すると13分、福大の反則でゴール前でのフリーシュートを山内理紗子(2年、天白)がきっちり決め、9-4で最終Qへ。

第4Qは点の取り合いになった。まず福大に決められ、9-5。南山のベンチからは「打っていけ! 」との声が飛び、6分に神田が右からのシュートでこの試合3点目。10-5になると、南山はGを柴田から鬼頭佳望葉(3年、昭和)に交代。その後、南山がとって、とられて、とって、12-6で勝ちきった。

点をとりたいという思いもある

試合後、南山のゴーリーである柴田に第4Qでの途中交代の理由を尋ねると、その場で柴田が「なんで私交代だったんですか? 」とゼネラルマネージャー(GM)の出澤純さんに質問。すると出澤GMは「ダム(柴田)のせいじゃなくて、パン(鬼頭)に試合を経験させようと思ったんだよ。『自分がしっかり守って流れを持っていかせなかったから、後輩に受け渡すことができました』って答えたらいい」と話し、柴田は「だそうです!」と笑顔で言った。

出澤GMは「柴田は並々ならぬ努力で1枚目になって、いまでは全国に通用するGになった」と言う

柴田は当初、点取り屋のAT(アタッカー)だった。2年生の夏にけがをして、Gに転向。一からGについて学んで努力を重ね、レギュラーを勝ちとった。彼女にはそんな芯の強さがある。チームからの信頼を受け、ラストシーズンは主将を任せられた。「もしGも点をとれるポジションだったら、走っていきたいんですけど……」と柴田。本当は自分が点をとりたいという思いもある。それでも「自分が守ったボールが得点につながってくれたら本当にうれしいんです」と、信頼できる仲間たちに任せている。

Gは最後尾からチーム全員の姿を見られるポジションだ。オフェンス陣が点を決めればディフェンス陣と喜び合い、苦しい時間帯でもしっかり声を出してディフェンス陣を励ます。Gとして主将として、チームの雰囲気づくりに心を砕く。

現在、南山大女子ラクロス部には71人が所属しているが、高校までのラクロス経験者は一人もいない。柴田は言う。「スポーツの経験があるとかないとか、上下関係なんかにはとらわれず、自主練をやろうと誘い合って、みんなで力をつけてきました。コートで輝いてる選手はもちろんですけど、ベンチやスタンドで応援してくれる部員全員が魅力的なんです。その場で一人ひとりが持ってる力を最大限発揮できるのが、私たちの強さだと思ってます」

試合前、南山大チームはベンチとスタンドに顔を向け、大声援に応えていた

11月24日、佐賀での準決勝では関東覇者の立教大と対戦する。「私たちの目標はあくまでも日本一なんで、佐賀でもしっかり勝ちます」と、柴田は前を見すえる。過去の全学で関東・関西勢以外が準決勝を突破したのは、男女を合わせても2012年の女子の金城学院大だけで、金城も決勝では敗れている。南山大は日本の大学ラクロスに新しい歴史を刻めるか。

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