陸上・駅伝

特集:第96回箱根駅伝

中央大主将・田母神一喜 初のハーフマラソンで好走、箱根駅伝をあきらめない

走り終わった後にサムズアップする田母神(すべて撮影・藤井みさ)

上尾シティマラソン ハーフ男子大学生の部

11月17日@埼玉・上尾運動公園陸上競技場とその周辺
115位 田母神一喜(中央大)1時間5分0秒

11月17日にあった上尾シティマラソンで、中央大陸上部長距離ブロック主将の田母神(たもがみ)一喜(4年、学法石川)が初めてのハーフマラソンに臨んだ。中距離を主戦場としてきた田母神は、ことし主将に就任してから長距離の練習を開始。本戦のメンバー入りへアピールを続けていく。

初のハーフは「な~がいですね!」

夏から本格的に長距離の練習を積み始めた田母神は、10月26日の箱根駅伝予選会の前に疲労が出て、予選会は走れなかった。そこで1度気持ちが落ち込んでしまったという。上尾では走り終えてすぐ座り込んでしまう場面もあったが、表情は充実感に満ちていた。

田母神の手元の時計では64分56秒。(※スタートに時間がかかったため、レースの記録では1時間5分0秒となった)藤原正和監督からは「前半は絶対に抑えるように」との指示を受け、その通りに10kmまで抑えていた。後半からスピードを上げ、50人ほどを抜いたという。「指示通りできたんじゃないかなと。欲を言えば64分半をひとつの目安にしていたので、まあ70点ぐらいですね」

64分台を確信したが、スタートに4秒かかっていて記録は65分ちょうどだった

ハーフマラソンの感想を聞いてみると「な~がいですね! とてつもなく長いです」と、まずは文字どおり率直に答えてくれた。「12~3kmあたりでまず『長いな』と思って。18kmあたりまでは余裕だったんですけど、(1km)3分5秒ぐらいで押してたのを3分に切り替えるのが……。余裕はあるのに体が動かない、って感じでした」。まだ押していけるのが1km3分5秒から3秒だから、これを3分フラットから2分台にする練習を積んでいく必要があるという。「急ピッチなんで、どこまでできるか分からないですけど」と言いながら、ある程度の手応えは感じているようだ。

できれば箱根のアンカーを

今年の中央大は選手層が厚く、とくに下級生の台頭が目立つ。それでも田母神は上尾の結果を受け、「みんなに『おっ?』と思わせられたんじゃないかなと思いますね。今日は『もう一回ちゃんとやってやろう』と自分でも思えたので、収穫でした」と語った。

ロードレースは高3のときに出た都大路、大澤駅伝(栃木県佐野市)以来だったという田母神。楽しかった、と笑顔があふれた。「(自分は)トラック向きの選手だと思うんですが、長距離はロードのほうがいいですね。(中大記録会の)10000mのとき、キツくなって残り12周って言われて『ええっ』てなったんですよ。ロードだと1kmが早いです(笑)」と、新鮮な感想も口にする。

夏から本格的に長距離に取り組んで、ここまでこられた。田母神の才能がなせるわざだ

中央大長距離ブロックの主将として、目標としている箱根駅伝出場へ。「一応山の対策もしてるんです。下りでスピードを生かせることもあると思うし。でも2月からオーストラリアでシーズンインする予定なんです。(トラックでの)東京オリンピックもあきらめてないんで、そっちもチャレンジしていきたいなと。できればアンカーを走りたいです」と、正直な思いを語った。箱根は走りたいが、体への負担が大きくなりすぎないようにもしたい。

次は11月30日、12月1日の日体大記録会10000mに出る予定だ。チーム内の選考も厳しくなる時期だが、田母神は何ひとつあきらめてはいない。2020年正月の箱根路に、彼の走る姿があるだろうか。

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