陸上・駅伝

特集:第51回全日本大学駅伝

「最強チーム」の立命館 全日本は12位どまり、ラストの丹後駅伝は完勝

レース後、浮かない表情を見せる今井(左から2人目)ら選手たち(撮影・松尾誠悟)

第51回全日本大学駅伝が11月3日にあり、立命館大学は12位でゴールの伊勢神宮に駆け込んだ。10月の出雲駅伝では過去最高成績に並ぶ6位。勢いに乗ってシード権獲得の8位以内を目指していただけに、チームには悔しさが充満していた。

「厳しい方の意味で想定通り」

伊勢神宮宇治橋の鳥居前で選手たちは表情を曇らせた。山菅善樹監督は「悔しいですね。8区の今井へ我慢してつなぐことをテーマにやってきました。耐えて、耐えて、放り出されそうになったときもありましたけど、何とか。厳しい方の意味で、想定通りのレースになりました」と話した。

城西大、日体大、明治大、拓殖大と四つの関東勢を上回りはした。だが、目標としてきたシード権内の8位には1分43秒及ばなかった。「関東を相手に後ろから追う展開は苦しい、ということがよく分かったレースでした。前で前で、とレースを組み立てていかないと、シードは難しいですね」。山菅監督はシード権をとる大学との差をそう口にした。

エース今井、ほろ苦かった最後の全日本

1区(9.5km)の岡田浩平(3年、洛南)が区間11位で2区(11.1km)の高畑祐樹(4年、水口東)に託す。高畑は出雲駅伝後の中京大記録会5000mで13分50秒68をマーク。好調のままに快走し、区間新記録を更新する31分58秒(区間9位)で順位を二つ上げる。4区(11.8km)を任された「メガネランナー」山田真生(まき、1年、中京学院大中京)は出雲に続き全日本でも力走。シードを得られる8位との差を1分16秒とする。13位で襷(たすき)を受けた7区(17.6km)の吉岡遼人(3年、草津東)は、順位を三つ上げ、10位で8区(19.7km)のエース今井崇人(4年、宝塚北)へとつないだ。だが今井は右脇腹のけいれんで、本調子とはほど遠い走り。順位を二つ下げる結果となった。

苦しい表情でゴールする今井(撮影・藤井みさ)

今井は言った。「1区からいい走りをしてくれて、シード圏内に入れるかもというところでブレーキをかけてしまいました。エース失格のレースです」と自分を責めた。走り始めた直後、右脇腹にけいれんが起きたという。走る前に十分なアップの時間が取れなかったのが原因か。2回生で走ったハーフマラソンで経験したけいれんと同じ症状が出た。「僕さえしっかりしてれば……。申し訳ないです」。今井にとって最後の全日本は、ほろ苦かった。

次のエース山田の成長にも注目

チームを指導して7年目となる高尾憲司コーチは選手たちに言った。「来年は関西の選考会を通過できない可能性も50%ぐらいある。来年のことを考えると、シードを取ってあげたかったな」。エース今井や2区を走った高畑が抜けるのは痛い。だが、次世代のエース山田の登場は大きい。今井も「練習でも強いです。(中京大記録会で)13分台が出たのには驚いた」と話す。高校時代はけがの多かった山田だが、大学ではけがなくレースに出ている。5000mのベストタイムも14分30秒から13分50秒に急成長。その山田は「関東との差を感じました。差を縮められるように、個人の力を強化していきたいです」と言った。再来年のユニバーシアードも狙いたいというルーキーの今後の活躍から目が離せない。

メガネランナー・山田の今後にも注目だ(撮影・藤井みさ)

11月17日には今シーズンのチームで臨む最後のレース、丹後大学駅伝があり、8区間中7区間で区間賞かつ区間新記録という驚異的な走りで、2位の関西学院大に10分以上の差をつけて優勝した。高尾コーチが「最強チーム」と呼んだチームから4回生が抜ける来年の立命館は、どんな戦いを見せてくれるだろうか。「打倒関東」を掲げる彼らの挑戦は、終わらない。

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