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特集:全日本バレー大学選手権2019

東海大の3年生エース・新井雄大 4年生と同じ気持ちで絶対に日本一を

全日本バレー大学選手権2019
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新井(手前の10番)は東海大のエースとして、どんなボールも打ち抜く(すべて写真提供・関東大学バレーボール連盟)

全員がそれぞれの役割を果たし、攻撃にも複数で入る。それが近年の男子バレー界ではスタンダードになりつつあり、ワールドカップでは日本代表もそのスタイルで4位と躍進した。それでも「ここぞ」という場面で勝負を託されるのが「エース」と呼ばれる存在であり、一度ゾーンに入れば止まらない。打って打って打ちまくる。東海大の新井雄大(3年、上越総合技術)がそんな一人だ。

打って打って打ちまくった昨年の準々決勝

昨年の全日本インカレ準々決勝がまさにそうだった。筑波大が樋口裕希(現・堺ブレイザーズ)や小澤宙輝(ひろき、現4年、甲府工)が攻撃の軸となる中、東海大は新井を中心に攻めた。1本決めるごとに調子を上げ、最終セットは「新井に上がれば決まる」と言っても過言ではないほどに高い得点能力を発揮。東海大はフルセットの末に勝利を収め、2年連続のベスト4進出を果たした。

新井が初めて脚光を浴びたのは、高2のときに初めて出た春高バレーだった。大会初日の最終試合となった上越総合技術(新潟)ー弘前工(青森)戦、開始は夜8時にずれ込んだ。観客席は人がまばらになっていたが、新井のスパイク音が「ズドン! 」と会場に響くと、至るところから歓声が沸き起こった。

上越総合技術高時代のチームメイトは幼なじみや親戚同士ばかりで、練習内容も選手たちで話し合い考えながらと自由な環境だった。新井の攻撃力を生かすため、当時はとにかく高いトスを思い切り打つスタイルで全国大会に進んだ。初めての春高は3回戦で敗退したが、きらびやかなコートで思いきりプレーする喜びを味わった。

高2のときに初めて出場した春高バレーで、新井の名は一気に全国区になった

そして翌年、最後の春高は初戦で優勝候補の一角と言われた星城(愛知)と対戦。星城の都築仁(現・中央大3年)は新井とともに「世代を代表するエース」として注目されていた。その星城に勝てば、優勝候補筆頭の駿台学園(東京)と当たる。言うならば最悪の組み合わせだった。勝つのは都築の星城か。それとも新井の上越総合技術か。注目が集まった1回戦、勝ったのは上越総合技術で、エース対決もほとんどのスパイクを自ら決めた新井に軍配が上がった。

当時のアンダーカテゴリーを率いていた酒井新悟監督(現・久光製薬スプリングス監督)の目に留まり、荒井はU20日本代表の選考合宿に招聘(へい)された。レベルの高い選手たちとプレーする中で視野が広がり、高校卒業後は「バレー選手としてもっと強いチームに入って成長したい」と、東海大に進んだ。

1年生の全日本で石川祐希から受けた刺激

上越総合技術の監督も東海大OBだったから、練習の厳しさは予想していた。しかし現実は想像をはるかに上回っていた。

「とにかく基礎を徹底するんです。アップもパスも必ず毎日基本からじっくりやるし、ボールに触る、打つだけでなく、声を出すことも求められる。まず雰囲気に圧倒されました」

腰痛を発症してしまい、初めての大学のシーズンは満足いく結果を残せなかった。だがチームは全日本インカレでベスト4まで進み、最終日の3位決定戦では高校時代からのあこがれだったという石川祐希(現パッラヴォーロ・パドヴァ)を擁する中央大と対戦。敗れはしたが、石川のすごさから大きな刺激を受けた。

新井は高校時代と同様に、アンダーカテゴリーの日本代表にも選出された。とくに今シーズンはユニバーシアード日本代表、U23代表に加え、ワールドカップ前の夏合宿では石川らとともにシニア代表にも召集された。「合宿また合宿という繰り返しで、休みは移動日だけ。コンディションを整えるのが本当に大変でした」と苦笑い。試合では専門とするオポジットのポジションに加え、サーブレシーブも担うアウトサイドヒッターとしても出場した。プレーの幅が広がったことで、バレーがもっと面白くなった。

新井(左から2人目)は3年生ながら、自分がチームで果たすべき責任を感じている

「大学では、チームのために何をするか。3年とはいえ上級生なんで、周りに対してアプローチしなければならないし、少しずつですけど、言葉にして伝えられるようになってきました。そこにプラスして、日本代表合宿では世界を見すえた戦術に触れて、自分に何ができるのか、日々チャレンジしてます。大学でも、もちろん同じです。試合に出てなくても、僕よりも優れたところを持ってる選手もたくさんいます。いまでも毎日学ぶことばかりです」

爆発力では早稲田にも負けない

今シーズンは代表としての活動が多かったため、「今年が一番東海大にいる時間が少なかった」と振り返る。今シーズンのチーム始動時に、小澤翔監督から言われた言葉がある。

「4年生と同じ気持ちで戦え、と。それだけの責任を持て、ということであり、自分もそうしなければならないと思ってました。実際はなかなか難しい面はありましたけど。でもエースと言われる立場である以上、日本代表に選ばれたとかそういうことよりも、いかにチームを勝たせられるかってことの方が大事だろうなって思ってました。だから今年の全日本インカレは、絶対に勝ちたいんです」

3連覇がかかっている早稲田が相手でも、新井は打ち抜く

これまで新井は「日本一」をなしとげた経験がない。その「日本一」を達成するには、どんな相手にも勝たなければならない。いま思い描く明確なターゲットは、今年の春と秋リーグを負けなしで制し、全日本インカレでは3連覇がかかっている早稲田大だ。個々の能力が高いうえに戦術遂行度も高く、常に手ごわい相手ではある。それでも勝機がないわけではない。

「スパイクやブロック、爆発力では負けてないと思います。その勢いをつけるためにも、自分は上がってきたボールはたとえブロックが何枚ついてこようと打ち抜く気持ちでいるし、プレーだけでなく感情表現や行動まで含めて、チームを引っ張る存在になりたい。オポジットとしても集大成と呼べるような大会にできるよう、目標はもちろん『日本一』です」

最後の1点を取りきるまで、打って打って打ちまくる。そしてチームを勝利に導く。エースの仕事をやり抜くだけだ。

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