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特集:全日本バレー大学選手権2019

福岡大・孫田菜奈はどんなボールも全力で打ち抜く 雑草軍団がいざ決勝へ

全日本バレー大学選手権2019
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「どんなトスでも打ちきる」。そんな思いで孫田は準決勝に挑んだ(すべて撮影・松永早弥香)

第66回 全日本大学女子選手権 準決勝

11月30日@東京・大田区総合体育館
福岡大 3(25-20.17-25.25-21.25-19)1 東海大

全日本インカレ5日目の11月30日、男女の準決勝4試合が大田区総合体育館で開催された。女子の第1試合は福岡大が3-1で東海大に勝利し、2014年以来5年ぶりとなる決勝進出を決めた。第2試合は筑波大が3-1で順天堂大に勝利し、明日の決勝で連覇を狙う。

燃えたエースは大きな声でトスを呼んだ

その第1試合で“九州の星”福大が躍動し、強豪ぞろいの関東勢を打破した。センターコートに場所を移し、迎えた東海大との準決勝。九州リーグで課題としてきた立ち上がりの悪さを克服すべく、この大会ではスタートローテーションを変更。その戦略が奏功し、最初のサーバーとなった主将の伊藤寿奈(4年、国東)がサービスエースで先制した。「『自分がやらなきゃ』という気負いはなく、練習通り打てました」という主将の1本がチームを勢いづかせた。ミドルブロッカーの林田愛佳(2年、誠英)の活躍もあり、第1セットは福大が25-20で先取した。

しかし相手は今秋の関東1部リーグを制した東海大だ。第1セットの得点源だった林田に対するマークを厚くし、第2セットは25-17で東海大が奪取。相手の勢いに屈しかねない場面で、むしろ「燃えた」と言うのが福大のエース、孫田菜奈(4年、慶進)だ。相手のスパイクをレシーブした直後、「レフト! 」と会場に響き渡る大きな声でトスを呼び、自ら決める。「やられたらやり返すじゃないけれど、レシーブしたボールは自分で打って決めたい。絶対決めてやる、と思ってました」と孫田は言う。

どんな相手だろうと真っ向勝負で立ち向かう。第3セット、再び流れを引き戻したのも孫田のスパイクだった。追いつかれても、セッターの碇香菜子(2年、熊本信愛女)に「ミスしてもいいから。思いきりトスを上げてくれれば、どんなトスでも打ちきるから」と声をかけた。その言葉通り、上がったトスはすべて、渾身の力で打ち抜く。

劣勢でトスが集まるサイド陣や、相手が警戒している林田の負担を減らすべく、伊藤もラリー中に移動攻撃をしかけ、要所で得点。第3セットを福大が制し、2-1と再びリードした。

渾身の力で3枚ブロックをも打ち抜く

エリートそろいの関東チームには負けない

福大は2014年に全日本インカレで準優勝を果たしている。しかし今シーズンは鹿屋体育大の壁を突破できず、九州リーグは2位に終わった。4年生にとってラストチャンスとなる全日本インカレは、ただ「日本一になりたい」というだけでなく「大きなモチベーションがあった」と主将の伊藤が明かす。

「福大には強い高校からきた選手はほとんどいません。でもそのおかげでプレッシャーを感じることなく、常に挑戦者として戦える。とくに関東のチームに対しては、絶対負けたくない、という気持ちがありました」

東海大に象徴されるように、関東1部のチームには高校時代に全国制覇を経験した選手がズラリとそろう。対する福大は伊藤が大分の国東高、孫田が山口の慶進高。どちらも強豪と呼ぶには及ばず、同じ県のライバルには東九州龍谷高や誠英高がいる。全国制覇はおろか、全国大会出場すら遠い目標だった。

そんな相手に対して個の力では及ばないかもしれない。ならばその差を埋めるべく、必死で練習する。伊藤が「ブロックとレシーブの関係性。とくに1本目のレシーブが上がった後の2本目のボールを確実に上げて、打ちきれるトスにする。そこを意識して取り組んできました」と言うように、相手の強打を拾い、攻撃で切り返す。

第4セット終盤はまさに練習通りとも言うべき守備からチャンスをつなげ、連続得点。20-18から一気に東海大を突き放した。マッチポイントに続き、最後も孫田のスパイクで3枚ブロックを打ち抜いた。

孫田は自らのスパイクで勝利を決め、全身で大きくガッツポーズをした

「関東には高校時代から有名な選手がいっぱいいて、みんなエリートばかり。それに対して私たちは九州の寄せ集めのようなチーム(笑)。でも、どこよりも練習してきた自信はあるんで、『絶対関東のチームには負けない』と思ってやってきました。どんなに相手のブロックが高くても、負けずに、逆にその高さを利用する。やってきたことを信じて、苦しくなっても全員で勝ちたいです」

決勝で戦う筑波大は、昨年の全日本インカレ3回戦で敗れた相手でもある。リベンジと初優勝を誓い、ラストゲームへ。試合を重ねるたびに強くなる雑草軍団が、日本一に挑む。

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