東海大、専修大に敗れ準々決勝敗退 大倉颯太が最後に見せた悔しさのわけ
どんなビッグプレーを成功させても、どんなに劣勢に立たされても、東海大の大倉颯太(2年、北陸学院)は憎らしくなるほどのポーカーフェイスを崩さなかった。しかし試合終了直後、彼はかすかにその表情をゆがませているように見えた。彼を占有していたのは、ただひとつの感情。悔しい。悔しい。悔しい。
試合終了まであと5分、東海大のリズムが崩れた
試合は第4クオーター(Q)の終盤まで、ほぼ東海大の勝ちゲームだった。ほとんどのマッチアップがミスマッチとなる専修大を、大倉を起点とした攻撃で圧倒。2Qの終盤には19点差をつけた。
第4Q残り5分、流れが一気に変わった。インサイドで奮闘する平岩玄(4年、土浦日大)と八村阿蓮(2年、明成)が、ともにあと1ファールで退場というところまで追いつめられ、専修大のゾーンディフェンスにリズムを狂わされた。大倉は言う。「たぶん、専修側には『リズムを崩そう』くらいの狙いしかなかったと思うんですけど、僕たちはそこで『ラッキー』と思ってしまった。イージーミスをして、点の取り合いになってしまったことで、チームが守りに入ってしまいました」
それでも自信はあった。いくら相手にシュートを決められても、返せるだけの準備はしてきた。しかし3点差で迎えた残り2秒、スローインの出し手としてサイドラインに立った時点で、「もうエンディングは見えていた」と大倉。用意したセットプレーを展開するにはスローインの位置が低く、スペースがとれなかったのだ。「イチかバチか」を狙って八村から受けたボールは、ダブルチームにはばまれ、喜びに沸く専修大ベンチの前に転がっていった。
生活のすべてをこのチームにつぎ込んできた
昨シーズンの大倉はルーキーながら、リーグ戦とインカレ優勝という素晴らしい成績の立役者となった。優勝メンバーがほぼ全員そろう今季は、恐ろしいほどの完成度を誇るチームに変貌すると思われたが、予想だにしない苦しい1年となった。春の関東学生選手権は準々決勝敗退。秋のリーグ戦前には肉離れを起こし、大会終盤になるまでコートに立てなかった。司令塔を欠いたことに加え、チームビルディングに失敗した東海大は、リーグ6位という信じられない結果に沈んだ。
大倉自身もその状況を打開するために、「生活のすべてをこのチームにつぎ込んできた」と振り返る。昨年から、夜中までスカウティングに励んでいた男が言う「すべて」は、並大抵のものではないだろう。しかしチームはなかなか変わらず、結果が出なかった。「僕的には、チームがいい状態を継続できたことは一度もなかったという印象。このインカレで優勝して初めて『最後はいいチームだった』と言えたと思うんですけど、ベスト4にすら入れなかった。結局はそこまでのチームだったと思います」。淡々と振り返った。
「今後のキャリアに残るだろう悔しい試合」と表した専修大戦を糧に、大倉はどのように成長し、どのようにチームを変えていくのだろう。来季はプレーヤーとしてだけでなく、リーダーとしての彼の手腕にも注目したい。