バスケ

特集:第71回全日本大学バスケ選手権

東海大、専修大に敗れ準々決勝敗退 大倉颯太が最後に見せた悔しさのわけ

大倉はこの試合、24得点(うち3ポイント5本)、7アシスト、8リバウンドという素晴らしいスタッツを残した(すべて撮影・青木美帆)

バスケ第71回全日本大学選手権 準々決勝

1213@東京・駒沢オリンピック公園総合運動場
東海大 71-74 専修大

どんなビッグプレーを成功させても、どんなに劣勢に立たされても、東海大の大倉颯太(2年、北陸学院)は憎らしくなるほどのポーカーフェイスを崩さなかった。しかし試合終了直後、彼はかすかにその表情をゆがませているように見えた。彼を占有していたのは、ただひとつの感情。悔しい。悔しい。悔しい。

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試合終了まであと5分、東海大のリズムが崩れた

試合は第4クオーター(Q)の終盤まで、ほぼ東海大の勝ちゲームだった。ほとんどのマッチアップがミスマッチとなる専修大を、大倉を起点とした攻撃で圧倒。2Qの終盤には19点差をつけた。

第4Q残り5分、流れが一気に変わった。インサイドで奮闘する平岩玄(4年、土浦日大)と八村阿蓮(2年、明成)が、ともにあと1ファールで退場というところまで追いつめられ、専修大のゾーンディフェンスにリズムを狂わされた。大倉は言う。「たぶん、専修側には『リズムを崩そう』くらいの狙いしかなかったと思うんですけど、僕たちはそこで『ラッキー』と思ってしまった。イージーミスをして、点の取り合いになってしまったことで、チームが守りに入ってしまいました」

それでも自信はあった。いくら相手にシュートを決められても、返せるだけの準備はしてきた。しかし3点差で迎えた残り2秒、スローインの出し手としてサイドラインに立った時点で、「もうエンディングは見えていた」と大倉。用意したセットプレーを展開するにはスローインの位置が低く、スペースがとれなかったのだ。「イチかバチか」を狙って八村から受けたボールは、ダブルチームにはばまれ、喜びに沸く専修大ベンチの前に転がっていった。

試合終了直後、大倉は悔しさのあまり膝をつき、なかなか立ち上がれなかった

生活のすべてをこのチームにつぎ込んできた

昨シーズンの大倉はルーキーながら、リーグ戦とインカレ優勝という素晴らしい成績の立役者となった。優勝メンバーがほぼ全員そろう今季は、恐ろしいほどの完成度を誇るチームに変貌すると思われたが、予想だにしない苦しい1年となった。春の関東学生選手権は準々決勝敗退。秋のリーグ戦前には肉離れを起こし、大会終盤になるまでコートに立てなかった。司令塔を欠いたことに加え、チームビルディングに失敗した東海大は、リーグ6位という信じられない結果に沈んだ。

大倉自身もその状況を打開するために、「生活のすべてをこのチームにつぎ込んできた」と振り返る。昨年から、夜中までスカウティングに励んでいた男が言う「すべて」は、並大抵のものではないだろう。しかしチームはなかなか変わらず、結果が出なかった。「僕的には、チームがいい状態を継続できたことは一度もなかったという印象。このインカレで優勝して初めて『最後はいいチームだった』と言えたと思うんですけど、ベスト4にすら入れなかった。結局はそこまでのチームだったと思います」。淡々と振り返った。

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「今後のキャリアに残るだろう悔しい試合」と表した専修大戦を糧に、大倉はどのように成長し、どのようにチームを変えていくのだろう。来季はプレーヤーとしてだけでなく、リーダーとしての彼の手腕にも注目したい。

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