大学サッカー

連載:サッカー応援団長・岩政大樹コラム

特集:第68回全日本大学サッカー選手権

インカレ明治vs関学を見て思う、大学サッカーの変わらぬ価値

インカレ準決勝、明治大vs関西学院大を見てきました(撮影・山本倫子)

2019年も年の瀬。今年もいろいろありました。スポーツをやっていると、一年の締めくくりはいつもスポーツ。大学サッカーでいくとそれはインカレ。今年は明治大の優勝で幕を閉じましたが、12月19日に実施された準決勝、明治大vs関西学院大の試合をふらっと見に行ってきました。

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迷った関学、明治の猛撃で一気に7-3へ

試合開始時間に少し遅れて到着したのですが、その時点で1−1。到着してすぐに明治が2点を追加しました。まず目についたのは明治の選手たちの質の高さ。みな動きがしなやかです。3−4−1−2のシステムを基本としながら、特に中央の選手が流動的に動きながらもバランスが保たれています。今年、関東1部をダントツの強さで優勝したことは知っていましたが、いやはやさすが。その強さもうなずけました。

しかし、前半の終わりに3−1の展開にできたことで、後半の戦いが後手に回ってしまいます。後半開始から3−4−2−1から3−1−4−2にシステムを変更して、前に人を多く配してきた関学に一気に同点にされてしまいました。

ここで明治も動きます。システムを4−4−2に変え、メンバーもそれに合う選手たちに大胆に変えてきました。対する関学は同点になったことが逆に戦いを難しくしたか。3バックの前が1枚になったことで、空いてしまうスペースを埋めにインサイドハーフの立ち位置を少し戻させるか、そのままにするか。迷いが生まれているうちに怒涛(どとう)の攻めを受けてしまい、結果的に7−3で明治が圧勝しました。

よく言えばスペクタクル。悪く言えば大味な試合。若さあふれる大学生らしい試合でもあり、大学最後の試合にかける思いが互いにぶつかり合った実に爽快な試合でした。

2002年冬、岩政さんもインカレ準決勝の舞台に立った(撮影・小澤達也)

思い出したのは2002年、大学3年生だったときのインカレ準決勝。私が大学日本一に最も近づいた年でした。相手は常勝・筑波大。僕ら東京学芸大は優位に試合を進めながら、延長の末、兵働昭弘(ひょうどう、元清水エスパルス)に決勝点を奪われ、敗退しました。あのころはいまのように戦術的にシステムをいじりながら試合をしてはいませんでした。その分、局面の個々の駆け引きはもっとしていたかな。

時代とともに変わる部分もありながら、大学サッカーの変わらぬ価値がそこにはあると感じました。

大学サッカーはむしろ“これからのリーグ”だ

今年、Jリーグが「育成リーグ」を立ち上げるニュースがありました。おそらく近いうちに発足するでしょう。18歳から21歳の選手たちがプレーするとなれば、大学サッカーと競合するところも出てきます。しかし客観的に見て、大学サッカーはむしろ“これからのリーグ”だと思います。ただ高校からプロにいけなかった選手たちの受け皿になるだけではいけません。それでは育成リーグと同じ。これからよりその差別化が必要になります。

他にさまざまな誘惑がある中で、サッカーにもう一回真剣に打ち込んでみることにも価値はあるでしょう。サッカーを掘り下げて“自分たちで”考えること、部を“自分たちで”動かすことで新たな気づきもたくさん得られます。サッカーへの関わり方の選択肢、あるいはサッカーだけでなく将来にさまざまな可能性を広げるられる場所としても、機能をより高めていくはずです。

「サッカーは自分のすべて」であることは変わらずとも、「サッカーが社会の一部」であることを認識、理解した上でサッカーに打ち込むことは、これからとても大切な感覚になっていくと思うのです。来年以降は大学サッカーにも少しずつ関わりを深くしていくつもりです。このコラムもよろしくお願いします。

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