陸上・駅伝

連載:M高史の陸上まるかじり

明治学院大学の「オンライン補強」に参加して感じたチームの意識改革

明治学院大学陸上競技部長距離ブロックのオンライン補強に参加させていただきました!

昨年秋、「M高史の走ってみました」でお世話になった明治学院大学陸上競技部長距離ブロック。スポーツ推薦はなく、陸上部の寮もないという環境ですが、その中で自主性を大事に強化を進め、成長してきました。

スポーツ推薦も寮もなし 自主性を大事に成長してきた明治学院大で走ってきました!

前回の取材から半年以上が経ちました。最近は新型コロナウイルスの影響により集合しての活動ができない中、皆さんがどのように現状を打破しているのかを知るべく、オンライン補強に参加、取材しました!

補強の意図、部位を論理的に説明

取材当日、教えていただいたZOOMのIDとパスワードを入力し入室。皆さんにご挨拶をして、オンライン補強がスタートしました。昨年、取材でお世話になったこともあってか、皆さん温かく迎えていただいて感謝です!

昨年9月「M高史の走ってみました」の取材でも大変お世話になりました!

副将・佐藤大輔選手(3年、千葉東)がファシリテーターとなり、補強の意図、強化する部位などを論理的に丁寧に説明していました。「プレゼンが得意!」という佐藤選手はそのまま社会人としてすぐに活躍できるのでは! と感じるほど、わかりやすく伝わっていて、僕も大いに勉強になりました(笑)。

自主性を尊重するのが明学流。基本メニューを提示しますが、やるやらないは各自の判断に任されています。「時間は限られているので、自分が今ここを強化したいという選手が参加しています。新入生はわからないことが多いので、細かく丁寧に説明しています」

トレーニングの種目ごとに動画付きでわかりやすく丁寧な説明がありました

この日は7種目(フロントブリッジ、バックブリッジ、片足サイドブリッジ、ヒップリフトキープ、連動Vクランチ、もも上げフロントブリッジ、バッククロスクランチ)の体幹トレーニング。

マネージャーさんが画面で選手の足や腰の位置、角度などをチェックしながら、声をかけます。選手に声をかけるということは、当然ながらマネージャーさんもトレーニングの意図を理解する必要があり、声をかけている様子からも日頃からよく勉強されているというのがわかりました!

さてさて体幹7種目が終わって、一息ついて油断していたところ……続いてはブルガリアンスクワット。さらに下半身を追い込みました!

ブルガリアンスクワット、臀部を鍛えることができオススメです!キツいですが(笑)

おかげさまで翌日、筋肉痛(笑)。今回も体を張って取材させていただきました。

やるべきことを積み重ねていく信念を持ち続けて

オンライン補強のあとは選手の皆さんにもお話をうかがいました。

主将・座間武尊(たける)選手(3年・川崎市立橘)。第一声で「好きな食べ物はオムライスです!」と笑顔で話してくれた明るく情熱タイプのキャプテンです!

「明学の魅力は1人ひとりが自分で考えて陸上をするところです。自分が何をすべきか考えて行動し、箱根を夢物語で終わらせない。自分の行動に責任を持ち、覚悟を持って挑戦したいですね。現在、集まることができないのは選手にとっての試錬となりますが、逆に今まで恵まれていたことに気づき、やるべきことを積み重ねていく信念を持ち続けてたいですね!」と熱く力強く語ってくれました。

人数が多く画面1つでは入りきらず、マネージャーさんが随時スクロールして確認をします

続いて、補強のファシリテーターも務められた副将の佐藤選手。「好きな味噌汁の具は、なめこです!」と座間キャプテンに続いて教えてくれました(笑)。

高校まで野球部だった佐藤選手は「青山学院大学の竹石さん(尚人、鶴崎工)の走りに憧れて、大学から陸上を始めました!」という異色の経歴。「オンライン補強ではファシリテーターを務めているので、学んだことをブラッシュアップして、そしてアウトプットできています。昨年の秋に5000mで自己ベストを出した後、11〜12月は不調で苦しかったです。『自分がやらなきゃ誰がやる』という気持ちで練習をしています。自分が『魅せる』走りをしたいです。陸上でなければ到達できない景色を見たいですね!」

ふたりの3年生主将・副将を支えるのは4年生です。

安藤海(かい)選手(4年・横浜隼人)は「もう一度土台を作り、予選会で力を発揮したいですね。明治学院に恩返ししたいです!」。

磯崎浩平選手(4年・三浦学苑)は「各自練では、自分で分析して計画していくことが求められます。どこが足りていないのか、自分で加えていくことですね。自分は後半の失速を改善したいです!」と、ラストイヤーにかける覚悟が伝わってきました。

ルーキーの思い「箱根出場で恩返しを」

2年生の注目選手は千葉廉也選手(2年・保善)。箱根を走るという気持ちが強まったのが今年の箱根駅伝でのことでした。「補助員をしたのですが、実際に走っている選手を間近で見て、とても悔しい思いをしました。そこから自分自身も変わっていきました。より速いスピードを求めて、メリハリをつけて練習していきたいです。1日1日を大切に、応援してくれる人のために結果を出したいです!」と静かに闘志を燃やします。

「(オンライン補強は)みんなで集まってできるので、モチベーションも上がりますね!」というルーキーの高見智志選手(1年・専大松戸)。「高校時代、思うように結果が出ず高校で陸上をやめようかと思ったとき、昨年の主将で専大松戸の先輩である坂上真生さんが親身になって相談に乗ってくださいました。坂上さんが果たせなかった箱根出場で恩返ししたいです!」と決意を語ってくれました。

3年生の座間主将、佐藤副将を中心に、限られた環境でもオンラインを駆使してチームを引っ張る姿勢がうかがえました

チームを支えるマネージャーの豊泉里沙子さん(4年、富士森)は、高校までは硬式テニス部。駅伝観戦は大好きで大学から陸上のマネージャーに。「マネージャーになってから役割も考えるようになり、考え方も変わりました。オンライン補強では選手の顔が見れますし、コミュニケーションも図れます。目標は箱根にチームで出場することです。ラストイヤーなので叶えたいですね! 選手がいないとマネージャーはできないので、選手に感謝です。選手の心に寄り添ってサポートし、後悔しないように行動していきたいです」とマネージャー最上級生としての熱い気持ちが伝わってきます。

今だけでなく、社会に出てからも見すえて

続いて指導されているコーチの皆様にもお話をうかがいました。サイラス・ジュイコーチはこの日は不在でした。

棚瀬亮治ヘッドコーチ
「選手の成長を感じます。自覚を持って、絶対やるという危機感や必死さが伝わってきますね。毎週土曜日のミーティングでは選手同士も情報共有をしていて、意識の高まりを感じます。自分のためだけというよりも、誰かのために走れる選手は強いと思います。家族や恩師、お世話になった人のために恩返しや貢献する走りをしてほしいですね!」

門間滋コーチ
「ウチは力のある子がなかなか来ないので練習を積み重ねて3、4年でようやく戦力になってくるんです。そのため上級生が抜けると戦力が落ちるんです。2年生までに経験値を上げる指導をしています。自主性や積極性など明らかに昨年よりも成長していますね。いまは活動が制限されていますが、電話やLINEなどを使ってコミュニケーションを取るようにしています」

写真右下は棚瀬ヘッドコーチ、左下は門間コーチ、右上はマネージャーの渡邊愛美さんです

久保健二コーチ
「あまり言い過ぎない、答えを出しすぎない。選択肢を用意しています。今の自分にとって大事なのは何か考えてやってみることが大事です。自らやるという点では1年前とは大きく変わりました。人間的にも4年間を通して成長して、社会に出てからも活躍してほしいですね」

競技経験とともに社会人経験も豊富なコーチの皆様からは、学生として競技・学業に対する姿勢、社会に羽ばたくための心構えや人間力の育成、社会人になってからもそれぞれの分野で活躍してほしいというメッセージが伝わってきました。

昨年、9月にうかがった時からチーム全体の意識改革も進み、本気で箱根本戦出場のため戦う集団に変貌を遂げつつある明治学院大学。試合や記録会が再開した時、皆さんの進化した走りにも注目したいです!

M高史の陸上まるかじり