陸上・駅伝

連載:M高史の走ってみました

スポーツ推薦も寮もなし 自主性を大事に成長してきた明治学院大で走ってきました!

明治学院大陸上部の練習に伺ってきました。部員のみなさんと!(すべて撮影・提供 明治学院大学陸上部)

「M高史の走ってみました」です。明治学院大陸上部の練習に参加してきました! 昨年の箱根駅伝予選会では過去最高に並ぶ20位でした。4年生だった鈴木陸選手が1時間5分1秒(個人130位)で走り、箱根駅伝の関東学生連合チームに選出されました。鈴木選手は9区で出場し、史上初めて明治学院大のユニフォームが箱根路を駆け抜けました!

練習場所は明治学院大の横浜キャンパス。自然に囲まれた開放的なキャンパスです。JR戸塚駅からバスが出ていますが、歩くと約25分。坂が多く、着くまでにいいウォーミングアップができそうです(笑)。

箱根駅伝復活を狙う専修大、「挑み、結果にこだわる」練習に参加してきました!

やる気さえあれば入部OK

指導に当たっているのは、棚瀬亮治ヘッドコーチ、門間滋コーチ、久保健二コーチ、そしてケニア人のサイラス・ジュイコーチです。

箱根駅伝の常連校や、出場に手が届きそうな大学のほとんどにはスポーツ推薦制度があり、全国各地から有力選手が集まってきます。その中で明治学院大にはスポーツ推薦がなく、指定校推薦、AO入試、一般入試で入ってくるそうです。さらに昨今、大学の陸上部に入るのにも基準タイムを設定している大学が多い中、明治学院大は「やる気さえあれば入部OK」!

棚瀬亮治ヘッドコーチ(左)、門間滋コーチと「現状打破!」

棚瀬ヘッドコーチは「競技力が低かったとしても、頑張る子が多いんです」と語ります。「明治学院で陸上をやりたい」という選手が集まってくるそうで、雰囲気がよく、選手たちのモチベーションも高く、明るいチームでした!

横浜キャンパスには寮がなく、自宅から通学する選手も半分くらいいるそうです。そのため「選手たちの自主性が大切になってきます」と棚瀬ヘッドコーチ。「どんな状況でも心を乱さず、いまできることに集中する。悪条件でも動じない心を身につけてほしいですね。ないものねだりをするのではなく、いまある環境でベストを尽くしたいです」と話されました。

競技力以外の部分も伸ばしていく一例として、合宿の食事の際に「ひとことスピーチ」があるそうです。「下級生のときにうまく話せなかった選手たちも、上級生になるにつれて話せるようになってくるんですよ!」。心と体の成長、競技力だけでなく人間性も磨いていく指導方針が伝わってきました。

「動じない心」を体現するようなポイント練習

普段の練習はグラウンドが中心ですが、長い距離の走り込みをする際は日産スタジアム周辺だそうです。お伺いした日の練習はトラックで4組に分かれての12000mペース走でした。

ポイント練習の前に距離、ペース、練習の意図などを確認します

前半、中盤、後半とギアチェンジしていく、実戦的な練習でした。

棚瀬ヘッドコーチ、門間コーチは選手たちの走りを見守り、声をかけます。

「夏合宿の疲労が少し残ってはいますが、予選会に向けて実戦に近づけていく練習です」と、棚瀬ヘッドコーチは練習の意図を教えてくれました。

M高史、前半はCチーム、後半はDチームで走らせていただきました!

後半ペースが上がっていきまして、かなり必死でした(笑)

この日はやや気温が高かったのですが、選手のみなさんは設定タイムを刻んでいきます。棚瀬ヘッドコーチの言う「どんな状況でも悪条件でも動じない心」を体現するような走りっぷりでした。

ポイント練習を終えて、リラックスした表情で皆さんとクールダウン

ポイント練習を終えると、みなさんと一緒にダウンジョグ。ポイント練習で集中していたときから一転、リラックスした表情でクールダウン。かしこまった状況で取材するよりも、こういうリラックスた状況で話した方が面白い話題になったり、話が弾んだりするんですよね(笑)。一緒に走っていただいたみなさん、本当にありがとうございました!

経験豊富なコーチ陣

練習後、門間滋コーチにもお話を伺いました。仙台育英高校、中央大学という駅伝名門校で走ってきた門間コーチ。実業団のプレス工業では、監督兼選手として話題になりました。

2012年から明治学院大のコーチですが、最初は驚きが大きかったそうです。というのも、この年はチームの10番手の選手が箱根駅伝予選会の出場基準記録である5000m16分30秒(当時)を切れず、予選会に出ることもできませんでした。そこからコツコツと強化。選手と一歩一歩、前進していきました。「強豪の高校出身でない選手も多く、追い込み方を知らない子たちも多いです。でもその分、伸びしろもありますし、頑張り方を引き出してあげたいです。学生たちと一緒に成長していきたいですね」

サイラスコーチ、久保コーチは競技面、精神面でも選手たちをサポートしています

そして、取材当日は会えなかったのですが、ケニア人のサイラスコーチは選手と一緒に走ることも多いそうです。高校からずっと日本で過ごし、日本語もペラペラ。駅伝や陸上に対する強い思いがあるので、チームにいい影響を及ぼしているそうです。選手たちも「練習でサイラスコーチについていけばいける!」という安心感もあるのでしょう!

さらに大学や実業団での競技経験も豊富な久保健二コーチによるメンタル面や競技に取り組む姿勢に関する指導は、選手のみなさんにとって刺激になっているそうです。

年々力をつけてきた坂上キャプテン

キャプテンの坂上真生選手(4年、専大松戸)にも話を聞きました。大学進学の際に「これから強くなっていく大学」という印象があったため、明治学院大を選んだそうです。コツコツと力をつけ、前回の箱根駅伝予選会ではチーム3位の1時間5分25秒(個人163位)。今年は関東学生連合のメンバー入りが見えてくるほど実力を高めました。

チームをまとめる坂上真生キャプテン! ポーズもバッチリ決めていただきました!

チームの特徴を尋ねると「あったかい雰囲気のチームです。寮もなく自由が多い分、自主性が重要になってきます。自分で考えて行動できる人にとっては、すごく成長できる環境ですね」。予選会については「箱根駅伝に一歩でも近づけるようにしたいです。去年が20位なので、10番台を目指したいですね」と語ってくれました。

女子マネの渡邊さんはマラソン2時間50分!

そして、チームを支えるマネージャーのみなさん! 今回の取材では本当にお世話になりました。女子マネージャーの渡邊愛美さん(3年、逗子)は高校まで選手として走っていました。高2の冬にはフルマラソンをなんと2時間50分で走ったというスタミナの持ち主! おそらく大学駅伝の女子マネージャーの中で最速なのではないでしょうか? そんな渡邊さんですが、競技は高校までと決めていたそうで、いまは裏方としてチームを支えています。

タイム計測や給水で、マネージャーのみなさんもグラウンドを駆け回ります!

「選手が自主的に動けるようにサポートしていきたいです!」と話してくれました。選手とのコミュニケーションを大切にしていて、選手の話を聞くことを意識しているそうです。

明治学院とM高史ということでMポーズ! ファラー選手みたいになっております(笑)

「どんな人にマネージャーとして入ってきてほしいですか?」と聞いてみたところ、「陸上が大好きで、4年間真剣にチームに向き合える人。笑顔がステキな人、大歓迎です!!」と、元気に返してくれました。

いよいよ10月26日に迫った箱根駅伝予選会。自主性を重んじてコツコツ積み重ねて、一歩ずつ強さを増してきた明治学院大の走りに注目ですね!

関西の雄・立命館の強さの理由は? 一緒に走ってきました!

M高史の走ってみました

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