陸上・駅伝

「史上最高」の反発性を実現した新素材を搭載 ミズノが新シューズを発表

ソーシャルディスタンスを取りながら記念撮影する(左から)飯塚翔太、水野社長、松岡修造、田中史朗

7月1日(水)、ミズノがオンラインで発表会を開催し、新素材「MIZUNO ENERZY(ミズノエナジー)」とそれを搭載した新しいシューズ「WAVE DUEL NEO(ウエーブデュエルネオ)」を発表した。

箱根駅伝の区間新記録10人中、9人はナイキのシューズ。唯一ミズノの真っ白なシューズを履いていた島津に注目が集まった(撮影・北川直樹)

ナイキの厚底シューズが発表されてから、陸上界のシューズ勢力図はガラリと変わった。記録会やハーフマラソン、駅伝などでも選手の足元はナイキの厚底靴がとにかく目立つようになった。その中にあって、箱根駅伝10区で区間新記録を樹立した創価大学の島津雄大(当時2年、若葉総合)が履いていた真っ白なシューズに注目が集まった。これこそ、今回発表された製品「WAVE DUEL NEO」のプロトタイプだ。

総合スポーツメーカーとして「反発」を研究した成果

発表会に登場したミズノ代表取締役社長・水野明人氏は「今まで総合スポーツメーカーとして、いろんな用具を開発してきた。バットやゴルフクラブなどで『反発』を長らく研究してきた結果、今回の新素材が生まれた」と言及。「ミズノエナジー」の反発性を体感できるコンセプトモデル「THE MIZUNO ENERZY(ザミズノエナジー)」の発売も合わせて発表した。

コンセプトモデルはバブルのようなソールが特徴だ

続いて登壇したグローバル研究開発部次長の佐藤夏樹氏は「この自粛生活でスポーツ全般ができない状況だが、外を走ることはできる。ランニングシューズは市場性も高く、グローバル市場での成長余地もある」とし、今後はランニングシューズのみならずバレーや卓球、バスケなど他の競技にもこの素材を取り入れていけるのでは、とさらなる可能性を口にした。

新素材誕生の背景には改めて「総合スポーツ用品メーカーであること」、「80年以上前から積み上げてきた科学的な視点でのものづくり」を強調。シューズの研究開発だけを行っていてはここまでたどり着けなかった、という。打撃、そしてボールを遠くに飛ばす技術を応用し、人が走る動作も「人体が落下して地面から跳ね返る」という現象と捉え、研究してきた成果だとした。

新モデル「WAVE DUAL NEO」が白のプロトタイプの流れを組むモデルだ

新素材には「ミズノエナジー」「ミズノエナジーライト」「ミズノエナジーコア」の3種類があり、ランニングシューズ「WAVE DUEL NEO」には新機能ミッドソールとして「ミズノエナジーライト」が搭載された。今までの自分の走り方、感覚を一切高めることなく、反発性を高めるという考え方で開発されているという。

「反発」がエネルギーに変わる

発表ののちは、ミズノブランドアンバサダーの松岡修造氏、ラグビー・キヤノンイーグルス所属の田中史朗選手、ミズノトラッククラブ所属の飯塚翔太選手が登場。新しいシューズを履いた感想として松岡氏は「高反発な答えをします。このシューズを履いてて難点があるんです」と顔をしかめ、「これを履いたら他のシューズは履けません」と続け、修造節を披露した。

飯塚が実際に走る場面も。「自分は体重が重く力も強いけど、それにも負けないです」

新素材の「反発性」にかけて、「反発が力に変わった瞬間」とたずねられると、松岡氏は「才能がないと言われていたけど、プロになった。できない、無理だと言われたことに反発することがエネルギーになる」と力強く回答。

田中は「日本人でも世界で戦える、と反発して世界に出た。子どもたちにもそういう気持ちを持ってほしいなと思います。史上最高の反発がワールドカップのベスト8ですね」。飯塚はリオデジャネイロオリンピックの4×100mリレーで銀メダルをとった時のことに触れ、「2走だったんですが、気持ちだけでもでかく、自分が一番強いという思いで走りました。それが反発ですね」と答えた。

ラグビーをブームから文化にしていきたい、と語る田中

これからの目標を聞かれると、飯塚は「スポーツの力で世界にエナジーを!」を挙げ、「改めてスポーツでエナジーを与えることができる、ともう一度世界に届けたいと思う」。田中は「ブームから文化へ!」として、「前回(2015年)のワールドカップのときは一瞬ラグビーが盛り上がったけど、ブームで終わってしまった。今回はしっかり日本でも『ラグビーが文化だ』と言われるように、エナジーを届けられるようにしていきたい」と、それぞれの思いを語った。

「WAVE DUEL NEO」にはアッパー部分がハイカットとローカットの2つのタイプがあり、価格はハイカットタイプが2万5300円、ローカットタイプが2万900円(ともに税込み)。7月中旬から順次販売を予定している。世界で100万足の販売を目指すというミズノの新シューズ。ランナーたちの足元の勢力図を塗り替えていくのか、今後も注目だ。

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