陸上・駅伝

創価大・新家裕太郎 3000mSC自己ベストで自身初の優勝、目指すは「山の5区」

新家は3000mSC自己ベストで自身初の優勝をたぐり寄せた(撮影・藤井みさ)

第83回東京陸上競技選手権大会

7月23~26日@駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場
男子3000mSC優勝 新家裕太郎(創価大)8分57秒82

今大会に新家(にいなえ)裕太郎(創価大2年、大阪)は合宿前の練習の一環として3000m障害(SC)に出走し、調整もほとんどしていなかった。レース前、榎木和貴監督からは「2000mまでは2番手あたりにいて、最後の1000mで仕掛けよう」と言われていた。その通りの展開で自身初の優勝をつかみ、8分57秒82という自己ベストを記録した。

個人練習だけで臨んだ大会で自己ベスト

レースは内田賢利(立教大1年、駒大)と新家の2人が飛び出した展開で、内田のすぐ後ろに新家がついていた。残り1000mで新家はスピードを上げたが、内田も譲らない。最後の障害を越え、ホームストレートで新家は内田に並ぶと一気に加速。両手を開いてトップでゴールした。「残り1000mでしっかり切り替えられたので、そこは本当に収穫になったと思います」と新家。ラストスパートで勝負は決したが、実は今まで最後に競り勝ったという経験はない。「いつも負けて、良くて2位止まりでした。陸上人生で初めて優勝できました」と笑顔をのぞかせた。

内田(右)との一騎打ち、新家(中央)はラストスパートで競り勝った(撮影・松永早弥香)

3000mSCには大阪高校の時から取り組んでいたが、大学では箱根駅伝を走りたいと考え、5000mや10000mなど距離を伸ばして練習をしてきた。大学に入ったばかりの時は5000mで15分05秒だったものの、今年3月には14分13秒までに記録を短縮。もう一度、3000mSCを走ってみようと思って出場した東京選手権で、初の8分台を記録した。

ただ、大会前は新型コロナウイルスの関係で、思うように練習もできなかった。感染拡大防止のため、選手たちは1人1部屋の寮に留まることで行動を規制し、練習は個人で学内のグラウンドを走っていた。集団走行はできず、ポイント練習も一人ひとり間隔を開けて取り組むというものだった。その中での優勝は新家の自信になり、これから始まる夏合宿への弾みになった。

「3000mSCの選手は山も速い」を体現したい

創価大学は今年の箱根駅伝で9位となり、初めてシード権を手にした。新家も16人のエントリーメンバーには入ったものの、当日は5区を走った築舘(つきだて)陽介(当時主将)の付き添いだった。「次はもう築舘キャプテンがいないんで、今度こそは自分がつかみ取るという気持ちでやっています」と、初めての箱根路を見すえている。2年目のシーズンも意識にあるのは5区だ。「3000mSCの選手は山も速いというイメージが僕にもあるので、他の選手たちにもひけをとらないように、3000mSCも磨いて箱根に向けて頑張りたいです」と意気込む。

新家(左)は3000mSCを鍛える一方で、山の5区を見すえた練習にも取り組んでいく(撮影・松永早弥香)

また今年は、創価大にとって初となる全日本大学駅伝出場も期待されていた。11月1日開催予定の今大会は、新型コロナウイルスの影響で選考会を実施できなかった地域もある。関東代表は前大会上位8校のシード校を除き、各校8選手(留学生は1人まで)の昨年の10000m公認記録で書類選考し、合計タイムの上位7校を選ぶ方法をとった。その結果、創価大は9位で初出場を逃した。チームとしても今年こそはという思いがあり、新家も落胆こそしたものの、「自分たちがタイムを出していなかったというだけ。今はもう、箱根に向けて取り組んでいるんで」と次の目標に切り替えている。

大学での目標は「箱根駅伝総合3位以内」。今年こそは山を駆け上り、チームの起爆剤となる走りを狙う。

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