野球

特集:東京六大学 2020真夏の春リーグ

優勝の喜び、勝利の美酒を後輩たちにも知ってほしい 立教大学・宮慎太朗主将

後輩たちにも優勝の喜びを味わってほしい。強い気持ちでシーズンに臨む(写真提供:すべて立教大学野球部)

8月10日に開幕予定の東京六大学野球春季リーグ戦。6季ぶりの優勝を目指す立教大学を引っ張るのは、宮慎太朗主将(4年、市立船橋)です。おのおのが自分と向き合ったこの時間を糧に、14度目のリーグ優勝を目指すと誓いました。

1日3回、ぶれることなく自主練習をやり抜いた

「長かった。本当に長かったです」。宮は新型コロナウイルスによる自粛期間をそう振り返る。6月19日より「体育会再開ロードマップ」と「野球部新生活ルール」にのっとり自主練習が再開されたが、全体練習が再開となったのは同27日。立教大は3月も2週間、練習を休止しており、それと合わせると約3カ月半、チームとしての活動ができなかった。

宮は緊急事態宣言発令に伴う自粛をする際、部のFacebookを通じて「一緒に乗り越えよう」と題したメッセージ動画を配信。「収束した後には明るい未来が待っています。気持ちだけは前向きにして、一緒に乗り越えよう」と力強い呼びかけをした。ただその時は「自粛期間は2、3週間くらいかと思っていました」。

自分と向き合うには長い時間になった自粛期間。それでも宮の気持ちが折れることはなかった。千葉・市川市にある実家周辺にはキャッチボールをする場所もなかったが、黙々と自主練習に励んだ。朝は5kmほどのランニングとスイング、オンラインで授業を受けてからはスイングとカベ当て(カベを使っての送捕球の練習)、そして夕飯後はダッシュを繰り返してからまたバットを振った。1日3回。野球部の合宿所である智徳寮に戻るまで、ぶれることなくやり抜いた。

学生の本分である勉強にも真摯に取り組んだ。卒業後は社会人チームで野球を続ける予定だが、体育の教員資格も取っておきたいと、授業では画面に集中した。

宮は自粛期間中もぶれない姿勢で文武両道を貫いた

自粛期間中はLINEを通じて、チーム内のコミュニケーションもしっかり取った。155人いる部員がレギュラークラスのAからDまでの4班に分かれ、班ごとに毎日の自主練習の内容を報告し合ったという。

宮が自主練習で特に力を入れたのが素振りだ。「これまでバットではチームの力になっていなかった」という思いをバネに、最低でも日に700、多い日は1000を超えた。チーム事情もあった。「昨年までは田中誠也さん(大阪ガス)という絶対的なエースがいましたが、今年は野手が盛り立てていかなければならないので」。

その自覚は他の主力選手も共有していたようだ。全体練習が再開されると、いずれもスイングスピードが上がり、打球音も変わっていた。宮は主将の立場から「みんなバットを振り込んできたんだな、と思いました」と嬉しそうに話す。

生粋のリーダーは熱い言葉とプレーで盛り立てる

宮は市立船橋高でも主将を務めた。今と変わらぬ熱いプレーでチームを鼓舞し、3年夏は千葉大会決勝までけん引している。ちなみに決勝で対戦したのは、早稲田大のエース・早川隆久主将(4年)を擁する木更津総合高。この時は2対3で甲子園の夢を絶たれた。

生粋のリーダーである宮は、全体練習が再開となったその日、こんな言葉を仲間たちに伝えたという。

「野球ができることが当たり前ではないことが分かったと思うから、野球ができることに心から感謝しようと。もしかしたら(感染の状況によっては)また野球ができなくなるかもしれないので、1日1日を有意義なものにしていこうという話もしました」

宮は入学したばかりの1年春(2017)、先輩たちが成し遂げた35季ぶり13度目の優勝と、59年ぶり4度目の大学日本一を見届けた。その時は戦力にはなれなかったが、チームに優勝を経験した者がいることがいかに大きいか、強く感じている。しかしその後は2年春の2位が最高。3年生以下は優勝の美酒をまだ味わっていない。

「ですから、後輩たちに優勝がどんなものか肌で感じてもらうためにも、来年のチームを誰も優勝を知らないチームにしないためにも、何としても優勝したいと。毎年必ず優勝を知る代がいることは、強い立教を作るための力にもなると思っています」

14度目のリーグ優勝に向かって、チーム1の“熱男”が先頭に立つ。

 

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