一発勝負の「真夏の早慶戦」 打の慶應義塾大学か投の早稲田大学か
東京六大学野球春季リーグ戦第6日は15日、3戦全勝の慶應義塾大学と1勝1敗の早稲田大学が対戦する。活動自粛期間があり各大学とも攻撃面に課題を残す中、秋春連覇を狙う慶大は打線が好調。早大は投手力を支えに巻き返しを狙う。新型コロナウイルスの影響で74年ぶりの1回戦総当たりのリーグ戦のため、一発勝負の「真夏の早慶戦」となる。
打線つながる慶大は1試合5点以上
慶大は13日の明治大戦を猛打で制した。2回、リーグ戦初出場初先発の萩尾匡也(2年、文徳)のソロホームランからはじまり計16安打で11点を挙げた。
4番の正木智也(3年、慶應義塾)が打線を引っ張った。3回に無死満塁からレフトへ犠牲フライをきっちり打ち、4回には2死二、三塁からレフト前へ2点タイムリー、6回には2死二塁からレフトスタンドへ2点本塁打と計5打点の活躍だった。
「追加点がほしい場面で1本(ホームラン)打ててよかったです。前半戦で3連勝できて、後半戦に向けてチームに勢いがついたと思います。ここからまた気を引き締めてやっていきたい。チームの流れを変えるようなバッティングをもっとしていきたいと思います」と正木はさらなる活躍を誓った。
2年生だった昨年は、2学年上の郡司裕也(現・中日ドラゴンズ)が4番に座り、正木は5番を打つことが多かった。秋、郡司は打率、本塁打、打点の3部門でリーグ1位の成績を残し、三冠王を獲得した。「郡司さんの存在は大きかったですが、自分は自分らしい4番の姿を見せていきたいです。気負い過ぎず、打席ではしっかり自分のバッティングをすることを心がけています」と正木は話した。堀井哲也監督も「破壊力があって、なおかつミート力もある」と正木の打撃力を高く評価している。
主将の瀬戸西純(4年、慶應義塾)も4安打2打点と打ちまくった。「ここ2試合はバッテリーに助けられた試合展開だったので、今日は野手陣で盛り上げていこうと試合前からみんなに声をかけていました」と話した。初戦の東大戦から5、6、11得点と打線はつながっている。
堀井監督は「早稲田のここまでの戦い方を見ると、投手力も打力も安定している。対策を立ててコンディションも整えて、しっかりしたゲームができるように頑張りたい」と、監督としては初めて臨む早慶戦への意気込みを語った。
4番の正木も「早稲田は他の大学に比べて意識するところはありますけれど、僕らはリーグ戦の中で日々成長することをテーマにしています。また成長して早稲田に向かっていけるように頑張ります」
先発投手安定の早大は打線がカギ
一方の早大は明大との初戦で白星スタートしたが、2戦目の法政大戦を延長10回タイブレークの末に1-2で落とした。3戦目の東京大戦は1-0とリードしていた5回終了後、雷雨によりノーゲームとなった。
初戦は主将の早川隆久(4年、木更津総合)がリーグ初完投勝利。2戦目は徳山壮磨(3年、大阪桐蔭)が7回を投げ1失点(自責点0)。ノーゲームとなった東大戦では西垣雅矢(3年、報徳学園)が5回まで無失点に抑えていた。先発した3投手とも安定したピッチングを見せている。優勝争いに踏みとどまるために、早慶戦は絶対負けられない試合になる。慶大の勢いを止めるには、打線の奮起がカギを握る。
昨秋は慶大が開幕から8連勝で最終節の早慶戦を迎え、初戦を勝って9連勝で優勝を決めた。しかし第2戦、第3戦は早大が意地を見せ連勝し勝ち点を奪っている。15日は午後1時の試合開始前に、今年野球殿堂入りした前田祐吉・元慶大監督と石井連蔵・元早大監督(ともに故人)の表彰式が実施される。両氏は、名勝負として語り継がれる1960年秋の優勝をかけた「早慶6連戦」をともに青年監督として指揮。その後の国際的な貢献も評価された。
今リーグは3000人を上限に観客を入れているが、前売りした15日分は既に販売枚数に達し、当日販売はないという。
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