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同志社大バレー部主将・本圖真也は「皆のお兄ちゃん」 人生最後のリーグ戦への思い

唯一の4年生として17人の後輩をまとめ上げる主将・本圖真也

同志社大男子バレーボール部は昨秋、リーグ3位と全国ベスト16入りを果たし、躍進を遂げた。代替わりを終え、昨年以上の結果を出すべく新チームが稼働した。4年生が主力を担っていた昨年とは異なり、フレッシュな戦力が目立つチームに。雰囲気も明るく、練習内容も全員で話し合って決めることが多いという。主将は、サウスポーミドルブロッカー(MB)の本圖(もとず)真也(4年、洛南)。唯一の4年生として、兄のような優しさで17人の後輩たちをまとめ上げている。

2人で入部、2年生からは学年で1人になった

「勉強とスポーツをしっかり両立したい」。石川を飛び出し、県外の洛南高に一般受験で入学した。前向きな性格で、文武共に高いレベルを求められる学校でもマイペースを崩さなかった。中学から続けてきたバレーボールでも強豪の一員として仲間としのぎを削り合い、レギュラーに。貴重な左利きのセンターとしてチームに貢献した。

多くの先輩が同志社に進学していたことや、練習試合をたびたび行っていたことから、本校のチームの雰囲気はよく知っていた。基本は明るく、試合では熱いチームカルチャーに魅力を感じ、進学先に選んだ。

選手として入部したのは2人のみ。1年生の人数とやるべき仕事が釣り合わなくなり、2年生に手伝ってもらうことが多かった。学年が上がる直前に片方の部員も退部してしまい、本圖は一人に。最高学年になった際の不安は感じていたが、「まあ何とかなるか」と本圖節を発揮し、乗り越えていた。

転換期となった3年の春

高校3年の1月に足の靭帯の手術をしていたため、本格的にプレーができるようになったのは1年生の夏頃。早くも西日本インカレ、秋季リーグの試合メンバーに選出された。インカレ1回戦では格上に勝利。自分のプレーも納得のいく内容だった。大金星につながるパフォーマンスができたことで、自分の力が通用するという確信を得ることができた。

転換期となったのは3年の春。リーグ開幕2日前に腕の骨を折ってしまい、春季リーグ・西日本インカレの2大会でコートに立つことができなくなってしまった。「周りから今年の同志社は強いかもしれないといわれていたので、なおのこと悔しかったです」。春季リーグの結果は10位。前年秋の結果が5位で、さらなる飛躍が期待されていただけに、入替戦手前という結果は受け入れがたいものだった。

同じ境遇を経験している先輩からの叱咤

チームに貢献できない自分の状況に不甲斐なさを感じていた本圖、支えとなった存在は1つ上の金光出雲(2020年卒、松山工業)だった。金光も3年のときにひざのけがで春季リーグを欠場しており、同じ境遇を経験している。引退するまでひざが完治することはなかったが、エーススパイカーとして最後までチームを支えたタフな選手だ。

「秋リーグで復帰して、春よりいいところにいけたら自分のおかげっていえるんだから、秋に全部ぶつけることだけ考えろ」。らしくない自分を叱咤するような先輩からの鼓舞に救われていた。後ろ向きな考えを消し、目の前の大会だけを視野に。本圖は4年生のラストシーズンに華を添えるべく気合を入れ直した。

昨年の秋季リーグで復帰し、数々の快挙にも貢献した本圖(奥)

夏に復帰し、秋のリーグ戦に出場。ベストメンバーで迎えた秋季リーグは36年ぶりのトップ3入りを果たした。他にも創部初の近畿大戦勝利やインカレ3回戦進出など、数々の快挙を成し遂げた昨シーズン。主将となった今季は、目標をリーグ優勝に定め、新チームを一から作り始めた。

バレーボールを中心とした生活は大学が最後

新型コロナウイルスの影響で4月から約3カ月間、部活動が禁止に。自粛期間中はオンライントレーニングを取り仕切っていた。一方的に話す形になることが不安点だったが、一人ひとりの趣味を知ることができ、いいところもあったという。普通に部活動をしているだけでは知ることができなかったことを知るよい機会となった。

「皆のお兄ちゃん」は決して後ろ向きな姿は見せない

バレーボールを中心とした生活は大学が最後。春季リーグ中止という事実はしっかりと受け入れ、気持ちはすでに秋へと切り替えている。後輩から「皆のお兄ちゃん」と評される本圖の主将ぶり。叱ることを苦手とし、快活で前向きなキャプテンシーでチームを引っ張っている。

たとえ最終年のリーグ戦が一つなくなっても、決して後ろ向きな姿は見せない。「チームメートと一緒に楽しくバレーボールをできたらな、と思います」と本圖。秋季リーグ開幕を信じ、人生最後のリーグ戦に向けて明るく前に進んでいく。

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