早稲田大学の早川隆久と明治大学の入江大生、ドラ1候補の投げ合いで明暗
東京六大学野球秋季リーグ戦第1日
9月19日@神宮球場
明大 000 000 001|1
早大 200 041 00X|7
【明】入江、磯村、西城、石原-篠原、植田【早】早川-岩本
【二塁打】西川(明)岩本2、丸山(早)
「特別な1日になった」と、大学ナンバー1左腕は感慨深げに言った。
東京六大学野球の秋季リーグが19日、神宮球場で開幕し、いきなりドラフト1位指名候補の投げ合いが実現した。早大の左腕・早川隆久と、明大の右腕・入江大生。お互いに待ち望んだ対決だった。
2人は2016年夏の甲子園の準々決勝でも対戦している。早川は木更津総合(千葉)を春夏連続ベスト8に導いたエース。一方の入江は、作新学院(栃木)の3番一塁手だった。同校には今井達也(現埼玉西武ライオンズ)という絶対的なエースがいたからだ。
入江はしかし、甲子園で3試合連続本塁打を放ち、チームの全国制覇に貢献する。3本目が早川からセンター左へ打ち込んだ一発だった。2人は大会後、18歳以下の日本代表に選ばれ、一緒にアジア選手権を戦っている。入江から「明大では投手として勝負する」と聞いた早川は「神宮で投げ合えるよう頑張ろうと誓い合った」と懐かしむ。
最後のシーズンにようやく実現した直接対決。「本調子ではなかった」という早川は、直球に頼らず、変化球を交えて丁寧にコーナーをついた。次第に球の走りも良くなり、球速も150kmをマークし始める。三回と八回は3者三振。九回に1失点したが、2安打17奪三振で投げ切った。
一方、入江は一回から150kmを超える直球で押した。しかし、2死から四球で走者を出すと、連続二塁打を浴びて2点を先行された。五回にも4点を失い、この回で降板。試合後、取材に応じた入江は、しばらく言葉が出てこなかった。「大一番でこんな投球しかできない。自分の実力のなさを改めて実感した。ファンや応援団の皆さまに申し訳ない気持ちです」
相手を強く意識していたのは、入江の方だったのかもしれない。「先にマウンドを降りたくない。何とか2点で終わるよう粘りたかった」と唇をかんだ。「圧倒的な力の差を見せつけられた。悔しいです」
8月にあった春季リーグは1回戦総当たり制の短期決戦だったこともあり、2人の投げ合いは実現しなかった。今秋も2回戦総当たり制のため、いつもなら両エースが再び先発する可能性が高い3回戦に持ち込むこともできない。「マウンド上で対決できる最初で最後のチャンスだった」と悔しがった入江だが、「明日(2回戦)も投げるチャンスがあれば、絶対にいい投球をしたい」と最後は雪辱を誓った。
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