大学陸上・駅伝

特集:第52回全日本大学駅伝

東海大・名取燎太 チームを引っ張る自覚、今年も笑顔でゴールテープを切りたい

昨年の全日本大学駅伝、優勝のゴールテープを切って胴上げされる名取(撮影・安本夏望)

名取燎太(4年、佐久長聖)は昨年の全日本大学駅伝で、アンカーとして東海大の16年ぶり2度目の優勝のゴールテープを切った。今年は4年生としてチームを引っ張る立場にある。昨年注目されてからどう変わったのか、そして今後目指すものについて聞いてみた。

東海大・塩澤稀夕主将 駅伝二冠を目標に、チームの要として結果を見せ続ける

昨年3大駅伝デビュー、「成長できた」年に

名取は佐久長聖高校3年のとき、全国高校駅伝で1区を走り区間賞を獲得。期待のルーキーとして東海大に入学した。しかし入学直前に疲労骨折。夏に復帰したものの、その後アキレス腱や足首のけがなどを繰り返し、思うように走れない状態が続いた。2年生の11月に両角監督から別メニューでの練習を提案され、そこからひたすら地道な足づくりが始まった。とにかく歩くことから始まり、1月からは走り込み。長い距離に特化した練習で「2年生に比べたら3年生の年は成長できた」と振り返る。

そしてハーフマラソンで結果を残し、全日本大学駅伝のアンカーで学生3大駅伝デビュー。前を走る青山学院大の飯田貴之(当時2年、八千代松陰)を抜き、区間2位のタイムで大会MVPも獲得した。「結果的に優勝のゴールテープを切れたということは、シンプルに嬉しいです。アンカーの経験はその後に生きてきてるので、すごいいい経験をさせてもらったなと」

自身初の大学駅伝で、東海大優勝のゴールテープを切って一躍主役となった(以下全て撮影・藤井みさ)

いい経験、とはハーフマラソン程度の距離をしっかり走れるという手応えだという。「長い距離でも気持ち的に余裕ができて、練習でも気負いすぎずできるようになっているなと思います」

続く年始の箱根駅伝では4区区間2位だったが、このとき実は足を痛めており、万全の状態ではなかったという。11月終わりぐらいに尾てい骨を痛め、その後の立ち上げの練習で無理をして足を痛めた。当日は痛み止めを飲んで出走していた。「練習があんまりできてない中でも、今までやってきたことがあったのである程度走れるという自信がありました。区間賞は取れなかったんですが、いままで1年間やってきたからこそ故障しても取れた区間2位だったのかなと」。練習の積み重ねが名取を成長させた。

あるであろう試合に備えて、練習を怠らず

昨年は長い距離に特化していたので、今年はしっかりトラックのレースに出て、5000mは13分45秒切り、10000mは28分20秒切りを狙っていこう、と定めていた。しかし新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、3月の学生ハーフを皮切りに数々の大会が中止に。「狙っていた」という関東インカレも5月開催は中止になった。

4月7日に緊急事態宣言が発令されると、学校にも入れず、グラウンドも使えなくなった。寮に残る選手と帰省する選手にわかれたが、4年生は就活する人以外はみんな残ったという。はじめは各自のジョグのみで、ポイント練習のときだけ車で競技場まで送ってもらい、競技場の外周を使って練習に取り組むなどした。モチベーションが落ちたりしませんでしたか、と聞くと「あるであろう試合に備えて、モチベーションが高いわけではなかったけれど自分の練習をしっかりやろうと思いました」と振り返った。

地道な練習の積み重ねが名取を強くした

結果的に4年生最初のレースは、7月11日の東海大記録会になった。ホクレンディスタンスチャレンジに出たかったが、教育実習の日程の関係でここを目標として練習をしてきた。「審判とかがいて、みんながユニフォームで走って……久々に『これだな!』みたいな感じがしました」と思い返す。

しかし記録会の2週間前ぐらいに足を痛めてしまい、うまく走れていない、調子が上がってこないという感覚があった。結果的に5000m13分55秒23のタイムをマーク。「そういう(足を痛めている)中でのタイムと考えると悪くないけど、(練習を積んだあとの)あのタイミングでってなるともう少しタイムを出しておきたかったです。目標としては(13分)40秒台ぐらいで走っていきたい」と現状に満足していない。

今はけがも治り、夏合宿では順調に練習を消化できた。次は9月27日の東海大記録会で10000mのタイムを狙うつもりだと話してくれた。そして有言実行、28分10秒51で走り自己ベストを更新し、目標を達成した。

もう一度、優勝のゴールテープを

名取はチームでは副主将を担う。そのことについて聞くと「副主将といっても名前だけなんで……(笑)」とかわす。だが、4年生としてチームを引っ張っていく自覚は十分だ。「僕自身あまり言葉で言うタイプではないので、練習で引っ張ってチームの底上げに貢献できたらなと思います」。主将の塩澤稀夕(きせき、伊賀白鳳)、西田壮志(たけし、九州学院)とともにチームの「三本柱」と自他ともに認める存在。「チームの中心として、やることはしっかりやっとかないとな、と思っています」

走りで引っ張っていくタイプだという名取。4年生として責任感をにじませた

11月1日の全日本大学駅伝は、2連覇に挑戦できる唯一の大学として「優勝を目標に」と口にする。走りたい区間は3区、7区、8区のどこかで、優勝に貢献できる働きをしたいと考えているという。重ねて聞いてみた。やっぱりもう1回ゴールテープを切ってみたいという気持ちはありますか? 「正直あります」とはにかんで答えた名取。2年連続、笑顔のゴールとなるだろうか。

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