陸上・駅伝

特集:第52回全日本大学駅伝

札幌学院大学は最強チームで伊勢路へ挑む 全日本大学駅伝北海道地区代表

代表を決めた北海道大学駅伝で優勝のテープを切るアンカーの宮本蒼人(撮影・すべて堀川貴弘)

全日本大学駅伝に3年連続27回目の出場をする札幌学院大学は、8月の北海道地区選考会を留学生のローレンス・グレ(3年、札幌山の手)抜きで制した。力のある1年生も加わり、過去最高のチームに仕上がっている。

過去最高順位を上回れるか

「関東を除くチームの中でナンバーワンをとる、と言いたいところですが……」。今大会の目標について鹿内万敬監督はそう切り出した。現実を見ると立命館大学や関西学院大学といった関西勢も強い。「関西勢や皇學館大学(東海地区)あたりと順位を争えればいいかなと思います」。特に皇學館大は20位だった昨年の大会で一つ前にフィニッシュしたチーム。今回は是非先着したい。

1年生も活躍した皇學館大が4年連続本戦出場 全日本大学駅伝東海地区代表

これまでの最高は鹿内監督が選手として走った25回大会(1993年)と26回大会の19位。その成績にあと一歩に迫った昨年のメンバーから、7人が残った。

エースのグレと楽しみな新戦力

チームの軸は留学生のローレンス・グレだ。5000mは13分30秒57、10000mで28分27秒16の自己記録を持ち、昨年の日本学生対校選手権(全カレ)の5000mで4位に入賞した。

ただ、今季は、新型コロナウイルスによる渡航制限で、母国ケニアからの来日が9月上旬までずれ込み、選考会となった8月15日に札幌・モエレ沼公園の周回コース(8区間、101.06km)で開催された北海道大学駅伝に出場できなかった。入国しても隔離期間があり、調整不足から9月の全カレも欠場。ただ、そんなエースの現状を鹿内監督は9月中旬、「ようやく選手と合流し、練習のペースメーカーなどをやっている様子を見る限り、本番では問題なく走れるでしょう」と心配していない。

一方で力のある1年生の走りがチームの刺激になっている。北海道大学駅伝では谷川純也(札幌山の手)、大柳達哉(明成)、宮本蒼人(北海道栄)の1年生3人が走った。谷川の持つ5000mで14分26秒38、10000mで29分46秒63の自己ベストは、両種目ともグレを除く日本選手最高記録。北海道駅伝では2区(9.78km)を走り、トップの札幌国際大学を逆転する好走を見せた。そのほか、大柳も5区(13.04km)を区間新記録で走り、宮本はアンカーとして最長の8区(19.56km)を走りきった。9月に入って谷川、宮本は調子を落としたが、やはり1年生の村上一大(秋田北鷹)が伸びてきた。

北海道大学駅伝で3区のランナーにトップでたすきをつないだ谷川純也

コロナ禍で全体練習ができたのは6月から。その後も室内のウェートトレーニング場が使えないなど支障が出た。自主練習が続く中、宮本は実家のある千歳市と札幌市をジョギングで往復するなど1日に150kmもの距離を走ったことがあるという。圧勝した選考会を振り返って鹿内監督は「自主練習期間中に練習をやれた選手が力をつけた。去年の選考会はグレの“貯金”で勝ったが、彼がいなくても勝てるチームづくりができたことが大きな成果」と話す。

監督も主将も手応えあり

9月上旬には函館など道南で1週間合宿を組んだ。30km走などもこなし、鹿内監督は「順調に練習を消化できたので、この効果がどうでるか楽しみ」と話している。

北海道大学駅伝で鹿内監督(背中)からの指示にガッツポーズで応える7区の野村隼斗

全日本で2年連続アンカーを務めた駅伝主将の野村隼斗(4年、札幌山の手)は。選考会でも7区(16.3km)で区間賞を奪ってチームに貢献。本大会の目標について「まずは繰り上げ出発なしにたすきをつなぐこと。これまでで一番強いチームになっていると思うので上位に食い込んで、北海道枠を『2』に増やしたい」と意気込む。伊勢路初出場を目指す陸上部主将の鈴木大聖(4年、滝川西)も北海道の増枠を口にする。このほか、昨年の大会で1区を走った宇野翔(4年、黒石商)も調子を上げ、本大会で鍵になる選手になりそうだ。

第52回全日本大学駅伝対校選手権大会 北海道地区選考会

8月15日@札幌・モエレ沼公園(1周3.26kmの8区間、101.06km)
1位 札幌学院大学 5時間23分49秒
2位 北海道大学 5時間29分6秒
3位 札幌国際大学 5時間38分21秒

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