大学野球

近畿大学の坂下翔馬 首位打者狙うルーキーはドラ1候補の佐藤輝明と黄金の三遊間

関西学生野球で首位打者を狙う近畿大学の坂下翔馬(撮影・沢井史)

関西学生野球の秋季リーグ戦で、1年生ながら首位打者争いのトップに立っているのが坂下翔馬(智辯学園)だ。5節終了時点(12日)で26打数10安打、打率.385をマークしている。高校では1年夏からレギュラー格の活躍を見せ、甲子園に計2回出場。昨年の第29回U18(18歳以下)ワールドカップ(韓国)では高校日本代表の主将を務めた。身長165cmと小柄だが、パンチ力があり高3夏の奈良大会では5本塁打を放ち、1大会個人本塁打記録を打ち立てた。そんな坂下でも大学野球の壁に何度も跳ね返された時期があった。

2019年の高校日本代表。左から奥川、永田監督、坂下主将、佐々木(撮影・朝日新聞社)

打撃復調し中軸へ抜擢

「もちろん大学のピッチャーのレベルは高いんですけれど、自分が打てないのはそれだけではないことがわかりました。自分が打てる形を崩していて、ヘッドが全然出てきていなかったんです。それに気づいてからはヘッドが出る練習法を教えてもらって、試していくうちにだんだん試合での感覚が戻ってきたんです」

開幕時は8番だった打順が、5節目の立命館大学戦では5番まで上がった。実は5番を打つのは野球人生で初めてだった。だが、抵抗は全くなく「むしろチャンスで回ってくるから楽しかったです。今までは自分がチャンスを作る立場でしたけれど、今は還す役目なので新鮮でした」と前向きに捉えている。

最上級生の佐藤を質問攻め

何より、坂下には強力な味方がいる。「困ったことや迷ったことがあると必ず質問している先輩がいるので、これだけプレーできているんです」と本人が満足気に語る先輩というのが、今年の大学球界、いやアマチュア野球界No1.打者とも言われ、今秋ドラフトで最も注目されている佐藤輝明(4年、仁川学院)だ。

ドラフト1位指名間違いなし 近大の佐藤輝明

物おじしない性格でもある坂下は、智辯学園時代も寮にいる時に1年生ながら3年生の部屋に入っていき、コミュニケーションを深めたことがある。だが、大学では1年生と4年生。しかも一見、強面(こわもて)なイメージのある大先輩だが、坂下からするとその先輩とのコミュニケーションが貴重な成長の場なのだ。

通算13本目の本塁打を放ち、現行の関西学生野球の最多本塁打記録に並んだ佐藤(撮影・朝日新聞社)

「佐藤さんは自分からはあまり言わない方なのですが、僕が話しかけると何でも教えてくれます。(4年生に話すのは抵抗がないか? の問いに)全くないです。僕が聞いて何かを盗もうって必死で(笑)。佐藤さんみたいなすごい人が身近にいることは今まで初めて。だからこそ、何でも聞いてみたいって思うようになったんです」

守備でも三遊間を組む間柄で、試合では細かいアドバイスも多くしてくれるため「そのお陰で今、落ち着いてプレーできています」と頼れる先輩の言葉に心から感謝する。練習でもノックは常に隣。練習後は2人で並んでトンボがけをし、身長186cmの佐藤と20cm以上ある差を感じさせない距離感の近さがうかがえる。

「佐藤さんはプレーだけではなくて、人間的にも尊敬できる先輩です。マイペースでも面倒見が良くて、自分が話しかけても何でも教えてくれる。優しい先輩です」

春のリーグ戦が新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となり、この秋のリーグ戦が最初で最後の大先輩との三遊間コンビで迎える公式戦だ。残りは次節(17日から)の関西大学戦の2試合のみとなるが「とにかく何かを吸収して今後に生かしたい」と目を輝かせる。

1年生がリーグに新風

関西学生ではこの秋、1年生の躍動が目立つ。立命大では昨夏の甲子園の覇者・履正社の1番打者・桃谷惟吹が不動の先頭打者として出場し、関大では有馬諒(近江)もマスクをかぶった。同志社大学では同じ智辯学園のチームメートだった塚本大夢が遊撃手のレギュラーをつかみ、先日の関西学院大学戦ではホームランを放っている。

立命館大学の桃谷惟吹(左)と関西大学の有馬諒(撮影・朝日新聞社)

坂下は「同級生の活躍はもちろん気になります。塚本はホームランを打って素直にすごいと思うけれど、自分はホームランを打つバッターではないので。チャンスで1本、いい当たりが打てたらいいって思っています」と言う。

残り2試合、大先輩が有終の美を飾るために一躍を担うことができるのか。ルーキーの一挙一動からも目が離せない。

in Additionあわせて読みたい