復帰の山田泰史が引っ張り日本文理大学は4年ぶりの全日本 九州地区代表
4年ぶり10回目の出場となる日本文理大学(大分)は、9月の九州地区選考会で各選手が安定した走りを見せ、力のある福岡大学や3年連続代表だった第一工業大学(鹿児島)を合計タイムで上回り、伊勢路への切符をつかんだ。
距離短縮の5000mでエースが力走
例年は10000mで争われていたが、今回の選考会は新型コロナウイルスの影響で各校の練習不足などを考慮し、半分の5000mに距離を短縮した。最終組に登場したエースの山田泰史(4年、日本文理大附)は昨秋に左足を負傷し、本格的に練習を再開したのは今年6月になってから。まだ長い距離を走ることに不安があったという。そんな中で、距離の短縮は山田にとって「追い風」になった。
スタート直後から前に飛び出すと、九州大学の2選手と2000m付近まで併走。最終的にはその2選手に先着を許したが、チームトップの14分42秒21でこの組の3位に入った。山田は「自己ベストを狙っていたが、思ったよりも体が重かった」と振り返り、まだ万全ではなかったが、「ケガ明けで、最低限の貢献はできたと思う」とホッとした表情を見せた。全日本での個人的な目標は「関東や関西の選手に一人でも多く勝つこと」。状態を上げて、大一番に臨む。
上原、木原ら2年生も成長
選考会では2年生の活躍も目立った。第1組では上原健太郎(2年、球磨工)が15分18秒34、第2組では木原雄大(2年、日本文理大附)が15分7秒08でそれぞれの組のトップに入った。上原は「強い先輩方がいるので、トップを狙って何よりチームとしての流れを作りたかった」と、思い通りの走りができて満足のいく内容だったようだ。
選考会の結果を受けて、就任2年目の石橋修監督は「できは80点くらいだが、持っている力は出してくれた。まだまだ選手の伸びしろはある」と総括した。
石橋監督は早稲田大学時代に箱根路を走った経験があり、その後は、強豪の青森山田高の監督や青森県陸上競技協会の強化担当を歴任した。チーム運営で心がけているのは、何度も学内の選考会を実施し、指導者と選手がそれぞれ納得したベストメンバーでレースに臨むことだ。「うちは近いタイムの選手が多い。1~4年生まで常に競い合うという意識がチームを強くする」と石橋監督。選考会は5000mに合わせて選手を選んできたが、全日本では長い距離を走る区間も考慮して選手をエントリーすることになる。
今後を占う106.8kmに
「今の2年生が4年生になる3年後までに全日本で入賞」。これが、チームが描く直近の目標だ。今回の伊勢路の舞台は、現在地を確かめる意味もある。
石橋監督が「全国で走ることが当たり前にならなければならない。『九州は日本文理大の時代』と言われる礎をつくっていきたい」と言えば、山田も「全日本に出るだけでは意味がない。自分たちが何か残せるようなレースにしていかないといけない」と意気込む。チームの今後を占う106.8kmになる。
第52回全日本大学駅伝対校選手権大会九州地区選考会
9月20日@福岡・久留米総合スポーツセンター陸上競技場
1位 日本文理大学 2時間1分20秒77
2位 福岡大学 2時間2分58秒97
3位 九州大学 2時間3分51秒71
4位 第一工業大学 2時間4分1秒79
5位 長崎国際大学 2時間11分55秒44