陸上・駅伝

特集:第52回全日本大学駅伝

東海、青学、駒澤が「優勝」を目標に 全日本大学駅伝監督アンケート

昨年の全日本大学駅伝で優勝し、インタビューを受ける東海大の両角監督(撮影・安本夏望)

11月1日に開催される第52回全日本大学駅伝。全国から25校が出場し、日本一をかけて争われる。先日発表されたチームエントリーの際に全日本大学駅伝事務局が行ったアンケートをもとに、各大学の監督・チームの目標についてまとめた。

※回答は10月7日のチームエントリー時点のもの。

優勝を狙う3校、戦力バランスよく充実

ズバリ「優勝」とはっきり目標に書いたのは東海大学、青山学院大学、駒澤大学の3校。特に東海大は大学初の全日本大学駅伝2連覇がかかる。東海大は4年生の塩澤稀夕(きせき、伊賀白鳳)、名取燎太(佐久長聖)、西田壮志(たけし、九州学院)の「三本柱」を中心に、両角速監督いわく「1年から3年まで均等なエントリー」になった。3年生の市村朋樹(埼玉栄)、長田駿佑(東海大札幌)、本間敬大(佐久長聖)のトリオも伸びてきている、期待の選手として挙げる。

青山学院大の原晋監督は「各学年バランスよく人材豊富」とチームの特徴を挙げた。その中でも伸びているのは「(当日)出走する4年生」。4年生でエントリーされているのは岩見秀哉(須磨学園)、神林勇太、(九州学院)、新号健志(秋田中央)、竹石尚人(鶴崎工)、松葉慶太(浜松日体)、𠮷田圭太(世羅)の6人。このうち何人が走ることになるだろうか。

竹石は昨年の出雲駅伝以来の学生駅伝となるか(撮影・佐伯航平)

全日本大学駅伝最多、12回の優勝を誇る駒澤大は「下級生に力がついてきている」とチーム力の充実をにじませる。エース・田澤廉(2年、青森山田)のほか、4年生の伊東颯汰(大分東明)、加藤淳(西脇工)など全日本大学駅伝経験者もメンバー入り。大八木弘明監督が特に伸びていると回答したのは小林歩(4年、関大北陽)、鈴木芽吹(1年、佐久長聖)の2人だ。

全日本大学駅伝チームエントリー発表・シード校編 各校主力が順当にメンバー入り

優勝争いにもからむ? 上位をうかがう実力校

前年5位の東洋大学は「3位以内」、同6位の早稲田大学は「3位以上」と回答。東洋大はコロナ禍の状況下でチーム内のコミュニケーションが増え、「駅伝に向けていい雰囲気を作れている」と酒井俊幸監督。早稲田大の相楽豊監督も「力のあるメンバーが揃っており、充分に優勝を狙うことができるチーム」と自信をのぞかせる。

帝京大学は「総合4位、本学総合タイムを更新する」。中野孝行監督は「どの選手がどこを走っても安定感がある層の厚さ」と自らのチームを評価している。その他、明治大学が「5位」、國學院大學が「5位以上」と回答している。明治大は前年、箱根駅伝予選会の翌週の大会ということもあり15位に終わったが、今年は戦力が充実し、上位をうかがう力は十分にある。國學院大の最高順位は2018年の6位。それを超える大学史上最高位を目指す。

明治の小袖は11日のトラックゲームズinTOKOROZAWAでも好結果を残した(撮影・安本夏望)

「シード権」または「8位以内」と回答したのは東京国際大学、日本大学、中央学院大学、城西大学、山梨学院大学、そして関東以外から唯一、立命館大学。昨年初出場で初シード権を獲得した東京国際大は、昨年も8位以内を目標にしていた。大信田秀次監督は今年のチームについて「4年生主体のチームができたことで計画通りにチーム強化ができた」。東京国際大以外の関東4校はいずれも過去にシード権を獲得したことがあり、今回「常連校」として返り咲けるかが注目される。

全日本大学駅伝チームエントリー発表・関東地区推薦7校編 伝統校復活なるか

近年、関西地区のトップを走る立命館大は昨年12位。長距離部員15名と小所帯ながら、「戦力・チームワークともに充実している」と山菅喜樹監督。チームの柱の岡田浩平(4年、洛南)前川紘導(4年、網野)吉岡遼人(4年、草津東)山田真生(2年、中京学院大中京)は「上位校のエースに比肩するまでに成長している」と自信を見せる。また、関西では関西学院大学の竹原純一監督も選手の底上げができたと記し「関西トップ、ひと桁順位」を目標とする。

昨年は6区まで好調だった順天堂大。写真は5区区間2位だった主将(当時)の藤曲寛人(現トヨタ自動車九州)(撮影・藤井みさ)

昨年6区終了時点で2位と健闘したが、最終的に9位に終わった順天堂大学の長門俊介監督。2区8km付近で橋本龍一がコースを間違えるアクシデントがあったことを踏まえ「昨年の再現(コースを間違わない!)、長距離区間の克服」と少しお茶目に回答。6区まで昨年のような走りができ、長距離区間も上位で走れば優勝争いにからむ可能性も。箱根駅伝予選会では上位10名がハーフマラソンを63分以内で走っており、実力はじゅうぶんだ。また「支援してくださる医療従事者への恩返し」と系列病院、医療系学部を多く持つ大学ならではの言葉もあった。

地域出場枠増を目指して

全日本大学駅伝では、毎年成績に応じて翌年大会の地域に割り当てられる枠の数が変動する。各8地区の基本枠は1ずつ。現在はシード枠として8、9位~17位の大学の所属地区に成績枠計9を配分、各地区の出場枠は最大で15とするルールになっている。

昨年は東海地区に2枠があったが、皇學館大学が19位、愛知工業大学が21位だったため東海地区の枠は基本枠のみの1に減った。関西は立命館大が12位、関西学院大学が17位で成績枠を2獲得(前年と同様)したが、関東のシード枠(8)、基本枠(1)、成績枠(7)の合計が16となったため、超過分が18位の京都産業大学の所属する関西に割り振られ、3枠から4枠への増加となった。

地区枠を増枠したいという目標を掲げたのは、北海道地区代表の札幌学院大学、東海地区代表の皇學館大、中四国地区代表の広島経済大学、九州地区代表の日本文理大学の4校。チーム最高7位(1994年の26回大会)の実績を持つ広島経済大の尾形剛監督は15位以内、学生トップレベルの実力を持つエース・川瀬翔矢(4年、近大高専)を擁する皇學館大の日比勝俊監督は16位以内と具体的な順位を示した。

9月の日本インカレ5000mで2位となった川瀬翔矢(撮影・藤井みさ)

また、目標順位を明言しない大学も。日本体育大学は「全員駅伝で力を出し切る」とし、7月に就任したばかりの玉城良二監督の初陣に臨む。東北大学は「一昨年の最下位脱出」。国立大ならでは、大学から陸上を始めた選手もいるチームで全国の舞台を駆ける。

信州大学は「北信越記録の更新」と記した。信州大のこれまでの最高タイムは2015年第47回大会の5時間39分38秒だ。昨年18位の京都産業大学は「去年より上の順位でゴールする」ことを目標とした。今大会唯一の初出場校となるびわこ学院大学の吉岡幹裕監督は、「繰り上げなく襷をつなげれば100点」。初の全国大会にチーム一丸となって臨む。

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