陸上・駅伝

特集:第52回全日本大学駅伝

順大・三浦龍司 全日本大学駅伝1区区間新&区間賞、高校時代の苦い思い出を払拭

1区を任された三浦(右)はラスト300mで一気にスパート。そのままトップで襷をつないだ(すべて撮影・朝日新聞社)

第52回全日本大学駅伝

11月1日@愛知・熱田神宮西門前~三重・伊勢神宮内宮宇治橋前の8区間106.8km
1区区間賞 三浦龍司(順天堂大1年) 27分07秒☆区間新記録

11月1日の全日本大学駅伝で順天堂大は8位となり、14年ぶりにシード権を獲得した。1区を任されたスーパールーキーの三浦龍司(洛南)は、27分07秒と従来の区間記録を18秒更新する区間新記録での区間賞で、チームにいい流れを生み出した。その2週間前にあった箱根駅伝予選会では、1時間1分41秒と大迫傑(現ナイキ)が持っていたハーフマラソンU20日本記録を更新。「この2回の大会でかなり自分に自信をつけることができたので、これからも怖じ気づくことなく走ることができるかなと思っています」。レース後、晴れやかな顔で三浦は言った。

順大・三浦龍司 大学初戦で3000mSC日本歴代2位、“壁”を超えて世界へ

ラスト300mで勝負

今年7月、大学に入って初めての3000m障害(SC)で8分19秒37をたたき出し、日本歴代2位の記録を樹立。そして10月17日の箱根駅伝予選会でも日本人1位の5位で結果を出している。ルーキーながら三浦は圧倒的な存在感を放っているが、高校時代、ロードに関しては苦い記憶があるという。

全国高校駅伝(都大路)には3年連続で出走し、1年生の時は4区・区間27位、2年生の時は1区・区間9位、最後の都大路では1区・区間21位と苦しんだ。今大会の1区には、昨年の都大路で1区・区間9位だった明治大の児玉真輝(鎌倉学園)や、同じく1区・区間4位だった帝京大の小野隆一朗(北海道栄)の姿もあった。1区の距離は9.5km。都大路の1区は10kmと距離も近い。「ある意味、自分の高校時代の苦い思い出を払拭できるいいチャンス」と思いながらレースに臨んだ。

1区には留学生のローレンス・グレ(札幌学院大3年、札幌山の手)がいたこともあり、前半はグレのリズムに合わせて走り、最後にスパートして前に出ようと考えていた。レースはひとつの大きな集団で進んだが、7.6km付近で京都産業大の北澤涼雅(3年、久御山)がスパートすると縦長になっていった。グレは途中から2位集団に後退したが、三浦は2、3番手の位置でタイミングを狙っていた。

三浦(14番)は余裕をもってレースを進められたと振り返る

ラスト300m、中継所が見えたところで一気にスパート。表情も変わった三浦に誰も追いつけず、そのままトップで伊豫田達弥(2年、舟入)に襷をつないだ。「ラストスパートまで意外と余力を残すことができたので、うまく切り替えられました」。思い描いていた通りの走りができたことで、箱根駅伝においても前半区間を走るイメージができてきたという。

「東京オリンピックの切符を狙います」

高校までの自分と何が違うのか、三浦自身は明確にその差を実感できていないと話す。ただ、今年はコロナ禍でレース数が少なかったことは大きな要因だと考えている。「波が少ないうちにレースをこなせました。疲労の抜き方とかこのシーズンで勉強になったというか、新たな考え方になったと思うので、そういったところはよかったなと思います」

今シーズンはレースが限られてしまったが、逆に学んだことや得たものもあるという

次の舞台は12月4日の日本選手権3000mSC。これまでのレースの中で養ったスタミナを生かし、スピードのメリハリを取り戻すことで東京オリンピック参加標準記録(8分22秒00)を突破しての優勝を狙う。「ここからの調整が大切になってくるかなと思います。東京オリンピックの切符を狙います」。まっすぐな目で言い切った。

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