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特集:第72回全日本大学バスケ選手権

京産大が目指し続けてきた関東超え 10点差で日体大に敗れ、北條海樹「これが現状」

前回大会で大東文化大に敗れてから、北條(右)たちはずっと関東のチームを倒すことを考えてきた(撮影・全て青木美帆)

第72回全日本大学選手権 1回戦

12月9日@国立代々木競技場第二体育館
京都産業大学 78-88 日本体育大学

インカレ3日目の男子最注目カードは、日本体育大学に軍配が上がった。78-88で敗れた京都産業大学は、今年も“関東超え”を果たせなかった。「去年、大東文化大に負けてから、1年間ずっと関東のチームを倒すことを考えて、チーム内で激しくやりあってきたつもりだけど、それでも10点差。これが現状なんだなと。フィジカル、コンタクト、スピード、関西のチームとは全然違いました」。ガードの北條海樹(3年、金光藤蔭)は試合後にそう話した。

日体大戦に備えて挑み、それでも関東の強さを見せつけられ

日体大との対戦が決まってから、京産大はこのチームに打ち勝つことだけを考えて練習を積んできた。試合開始直後のオフェンスに選択したのは、武原諒汰(3年、東海大諏訪)のロングパスからのサンブ・アンドレ(3年、沼津中央)のダンク。試合前から使うと決めていたセットプレーで、日体大に先制パンチを食らわせることに成功した。

この試合を通じて使ったゾーンプレスも、対日体大のために用意したもの。フロントコートにボールを運ぶまでに時間をかけさせ、積極的にボールカットを狙い、いくつも速攻を成功させた。

藤原瞭我は関西リーグ戦ではほぼ出場がなかったが、大舞台で力を発揮した。今後の成長が楽しみな選手だ

「普段以上にボールへの執着心を出せた」。北條はこのように振り返るが、日体大は彼らを上回るパフォーマンスを発揮した。井手拓実(3年、福岡第一)にゾーンの穴を突くように次々と3ポイントを沈められ、強靭なフィジカルを押し出したディフェンスで、体力を消耗させられた。京産大の上田隼輔(3年、尽誠学園)は言う。

「日体大は僕らのオフェンスをかなりスカウティングしていたようで、何度もセットプレーを止められました。それでもシュートを決めなきゃいけなかったし、監督からは『サンブに頼ったらいけない。お前と北條が点をとっていかなきゃ』と言われていたんですけど、決められませんでした。実力不足です。関東の強さと僕らの弱さを感じさせられました」

下級生の頃から試合に出場している北條と上田にとっては、上田が挙げた自分自身の「弱さ」を痛感する試合となった。第4クオーター終盤に訪れた追い上げのラストチャンスで、ふたりはついに決定的なシュートを決められなかった。気持ちが混乱していたのか、ベンチから何度も「ハドルを組め」と指示を受けた。

30得点20リバウンドと大暴れしたサンブ(中央)。第4クオーターには追い上げムードを演出するバスケットカウントを決めたが、後続がついてこなかった

インカレで4年生に恩返しをしたかった

敗戦がほぼ確定した残り50.4秒、京産大は出場時間のなかった4年生をコートに送り出し、上田をベンチに下げた。上田の目線はずっと下を向いていた。

「自分のメンタルの弱さと実力不足が悔しくて。でも、本当は前を向かなきゃいけなかったんです。練習から『どんな時でも下を向かない』とみんなで徹底していたし、試合に出られなかった4年生が最後にコートに立つ姿を見届けなきゃいけなかった。これも自分の弱さだなと感じています」

一方の北條は4年生たちをコートに迎え入れると、色白のほおを赤くして涙をにじませた。

「今年はチームがうまくかみ合わなくて、インカレ直前になっても自分自身を含め悪い時期が続いたんですけど、4年生はそれでも僕たち下級生のことを考えて、背中を押してくれました。そんな4年生に恩返しするのはインカレのコートだと思っていたのに、全然納得いくプレーができなくて……。だから感情が込み上げてきたんです」

今大会を通じて、上田は自身の課題を痛感させられた

一昨年も昨年も、関東の分厚い壁に跳ね返されてきた北條と上田。しかし、今年の敗北はこれまで以上に大きな痛みと気づきを与えたことだろう。上田は「アウトサイドのシュート力と体の強さを身につけたい」と課題を挙げ、北條は「今まで通りにやっていたら来年も同じ結果になる。誰よりも練習して、最後の年にいい結果を残したい」と話す。

残されたチャンスはとうとうあと1回になった。大願成就を果たすために必要なのは、他ならぬ彼ら自身の奮闘以外にない。

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