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特集:第72回全日本大学バスケ選手権

筑波大バスケ部主将・渡邊悠 逆境を乗り越えプレーで示したキャプテン像

ドリブルで果敢に攻める渡邊(左、写真は全て筑波大女子バスケットボール部提供)

昨年12月12日、拓殖大に68-50で勝利し、全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)を第3位で終えた筑波大女子バスケットボール部。前年の2回戦敗退から返り咲いた筑波大を率いたのは、約1年間のブランクを抱えながらも、鋭いドライブからの得点を武器とする渡邊悠(4年、福島西)だ。

復帰後すぐに任された大役

大学2年時に右膝の十字靱帯を痛め、3年時はほとんどの試合に出場できなかった。しかし昨シーズン終了後、けがから復帰したばかりの渡邊に任されたのはキャプテンという大役だった。

試合勘が戻らない中、どんなキャプテンとしてチームを率いるべきか。渡邊は「キャプテンになりたての頃は、メンバーのサポート役に徹しようと思っていました」と話す。

一方、柏倉秀徳監督から提案されたのは「プレーで引っ張る」というキャプテンの在り方。「まだ完全なパフォーマンスを発揮できない自分が、プレーでチームを盛り立てられるのか」と不安になった。

コートから盛り上げたインカレ

だが、そんな渡邊を4年生のメンバーが支えてくれたという。コロナ禍で数々の大会が中止となる中、4年生がチームに声を掛け、インカレへのモチベーションを保ち続けた。

佐藤由璃果(4年、八雲学園)は「4年生全体でチームのために何ができるか考えました」と話す。十分な練習ができない状況下、1年生をチームに溶け込ませるため、少人数でのオンラインミーティングや、1年生のみで話し合ってもらう機会を設けた。「この期間の自主的なチームづくりが、後のチームワークに生きたのではないか」と柏倉監督は話す。

インカレ3位決定戦の拓殖大戦でシュートを狙う渡邊

9~10月にかけて開催された秋季リーグ戦中もけがを抱え、本調子ではなかった渡邊。インカレ直前までは、「プレーでチームを引っ張れるのか」と不安を拭い切れていなかった。だが、ここでも柏倉監督の「背負いすぎるな」という言葉が自身を奮い立たせたという。インカレを通じてチーム1の得点力を示し、コートからチームを盛り上げた。

チームと監督への感謝の言葉

筑波大は今年度も、日本一を目標に掲げてインカレに臨んだ。11日の準決勝では、筑波大のミスに乗じて得点を重ねる東京医療保健大に対し、48-81で敗れた。だが、負けを引きずらず、翌日の3位決定戦では拓殖大に勝利。佐藤は「2年前は3位決定戦で負け、4位で終わった。今回はその経験を無駄にせず、チーム全体で気持ちをうまく切り替えられました」と話す。

渡邊(右奥)をはじめ、声を掛け合う筑波大の選手たち

試合後、渡邊の口から発せられたのは、チームと柏倉監督への感謝の言葉だった。「自分一人ではキャプテンを務められなかったと思う。技術面でチームを引っ張ってくれた佐藤、ベンチのメンバーやマネージャーなどの仲間、監督の支えに助けられました」。

来年度の筑波大は、今回の拓殖大戦で個人プレーが光った樺島ほたる(3年、桜花学園)や、多彩な攻撃を持ち味とする池田沙紀(2年、岐阜女子)などがチームの核となる。一方、渡邊と佐藤はWリーグに挑戦する。筑波大の活躍、そして4年生の新天地での活躍から今後も目が離せない。

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