阪神タイガースの佐藤輝明ら新人もはつらつ 異例のプロ野球キャンプがスタート
プロ野球は2月1日、12球団一斉に春季キャンプがスタートしました。新型コロナウイルスの影響で無観客という異例の「球春」となりましたが、新人たちも3月26日のセントラル、パシフィック両リーグ同時開幕へ向け生き残りをかけた戦いが始まりました。オープン戦は2月23日から始まる予定です。
「浜風」意識して左方向へ
近畿大学から阪神にドラフト1位で入団した佐藤輝明内野手(仁川学院)はタイガースの一員を意識した沖縄・宜野座でのキャンプ初日となった。大学時代、通算14本塁打を放って関西学生リーグ(新リーグ)の最多本塁打記録を更新した。ドラフトでは4球団が競合し、自らの地元、兵庫県西宮市に本拠を置くチームへの入団が決まった。
背番号「8」のユニホームに袖を通した身長187cmの大型内野手は、ランニングなどから風格さえあった。午後、打撃ケージに入ると、矢野監督やコーチらがケージに歩み寄った。佐藤輝が左打席でバットを振り抜く。ほとんどが中堅から左翼方向への打球だった。沖縄の空へ伸びていく白球は、他の打者に比べ、明らかに高い。無観客でなければ、気の早い阪神ファンから大きな声援も飛んだはずだ。
矢野監督「振る力は十二分に通用する」
フリー打撃で左翼方向への打球が多かった理由を問われ、「逆方向にもしっかりと。特に(本拠が)甲子園なので」と言った。早くも「浜風」を意識していた。甲子園球場の右翼から左翼へ吹き抜け、特に左打ちの長距離打者を苦しめる甲子園の特有の風を想定していた。
89スイングで柵越えは9本。矢野監督は「あれだけ高さのある打球を打てる選手はプロでも多くない。振る力は十二分に通用する」と感想を語った。
「しっかり振ることを意識しました」とさらりと言った佐藤輝は、初日の感想を問われると、「全部疲れましたね。でもまあ、これがキャンプだと思う」。落ち着いたものだった。
打ち損じが目立つなどまだ粗削りだ。三塁には新主将の大山悠輔(つくば秀英高-白鷗大学)がおり、外野の定位置争いも厳しい。それでも、この21歳からは、真剣勝負での打席を見たいと思わせる空気が漂っているように感じた。スケールの大きな新人が登場した。
楽天の早川とDeNAの入江は対照的
東京六大学を沸かせたドラフト1位の投手は対照的な初日だった。ドラフト会議で4球団が1位指名した東北楽天ゴールデンイーグルスの早川隆久(木更津総合-早稲田大学)は沖縄・金武町でマイペースな調整を貫いた。新人を含むほぼ全員の投手がブルペンに入るのをよそに、守備練習やダッシュなどで汗を流した。横浜DeNAベイスターズのドラフト1位の入江大生(作新学院-明治大学)は沖縄・宜野湾で初日からブルペンに入った。捕手に片ひざをつかせたり、通常通りに座らせたりして、速球だけを投げ込んだ。