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特集:ジャパンラグビートップリーグ

リコーのメイン平、20歳の新人はニュージーランド経由の万能バックス

2試合連続FBで先発するリコーのメイン平(撮影・全て斉藤健仁)

高校を卒業後、日本の大学に進まず、父の母国であるニュージーランド(NZ)で2年間、武者修行し、今季からリコーブラックラムズに加入したのが万能バックスのメイン平(たいら)である。トップリーグ(TL)2試合目でFB(フルバック)としてリーグ初先発し、持ち前の突破力で初トライも挙げた20歳の若きタレントだ。

フルバックで先発つかむ

御所実高時代、主にCTB(センター)やSO(スタンドオフ)としてプレーしてきたメインだが、2月28日のTL第2節、強豪ヤマハ発動機ジュビロ戦では15番のFBとして初先発し、23-22の勝利に貢献した。「一応、バックスの全ポジションプレーできると言っていますが、プレシーズンマッチでは12番、13番(CTB)をやっていて、今週、15番と発表されてびっくりしました」と振り返った。

開幕のパナソニック戦で途中出場(右端)し、TLデビューした

本人は「早くコンタクトしたいので12番が一番向いている」と話すがNZにいた時も15番でもプレーしており、高い順応性を見せた。「今週、みんなとコミュニケーションすることを意識して、11番、14番(ウイング)をコントロールして、いいディフェンスができた。最後のディフェンスでは我慢の部分で、チームスローガンの『BIGGA(Back in game,Go again=試合に素早く戻りプレーに参加すること)』を体現でき、いい結果につながった」と破顔した。

U18、高校日本代表などで活躍

メインと言えば、高校1年生ながら、リコーと同じ黒いジャージーで知られる奈良県の強豪・御所実業で花園(第96回全国高校大会=2016年度)デビューを飾り、ベスト4進出に貢献した。さらにU18欧州チャンピオンシップでは高校2年生で唯一の日本代表に選ばれ、3年になると7人制ラグビーでユースオリンピック代表としてブエノスアイレス大会(アルゼンチン)での銅メダル獲得に貢献した。最終学年では単独チームとして国体で優勝したが、花園には出場できなかった。それでも高校日本代表に選出されるなど将来が嘱望された逸材だった。

高校3年生の時は全国大会出場は逃したが、高校日本代表に選ばれた

NZ出身の父と日本人の母の間に宮崎市で生まれた。大学などで英語を教えている父のマーティーさんがラグビーもしていた影響で5歳から競技を始めた。小学生の頃から母に連れられては、宮崎・シーガイアで合宿をしていた日本代表の練習を見学していたという。また、本郷中学時代は宮崎ラグビースクールに通うだけでなく、陸上部にも所属し、ラグビーのフィジカル強化のために投てき種目にも精を出した。

高校は、人工芝のグラウンドがあり環境が良く、母にも勧められたこともあり、奈良・御所実業に進学。名将・竹田寛行監督の自宅に下宿しながら研鑽(けんさん)を積んだ。「竹田先生はラグビーよりも私生活を大事にしていて、人間性の部分でたたき込まれました。(中学の)12人(制)から高校では15人となり、スペースが狭くなったので(タックルを受けつつ相手を)ずらして前に出るプレーを意識して取り組みました。それは今に生きていると思います」

御所実高では1年生で全国大会に出場し4強に貢献

実はメインは小学校に上がる前と小学6年時の2回、半年間ずつ父の故郷であるNZのウェリントンに住んだ経験があった。強豪大学から誘われ、日本の大学へ進むかどうかも悩んだが、「チャレンジしてみなさい」という母の一言でNZ行きを決心した。「2年間は絶対、向こうでやってみたいと思っていました。小さい頃からハリケーンズに憧れてました。スーパーラグビーでプレーするのが夢でした」

NZの武者修行では壁も

父親がNZ人だったため、日本代表だけでなく「オールブラックスになれる資格もあった」が、ラグビー王国の壁はやはり高く、厚かった。オークランドに近いノースハーバーのマリストクラブなどでプレーし、2年目は「力を発揮できていいシーズンだった」と振り返ったが、上位カテゴリーでプレーすることはかなわなかった。ただ、自分(身長178cm)よりも大きな選手ばかりの中での練習、試合での経験は大きな糧となった。

NZでは基本に立ち返り、大きな相手にどうしたらタックルに入れるかを考えて、片手でコンタクトするとボールを奪われたため両手でしっかりコンタクトするなど学びを得たという。メインは「トップリーグはレベルはもちろん高いですが、ニュージーランドでやってきた基本プレーは生きてくる。いい土台が作れたと思います」と自信ものぞかせた。

シーズンを通じ安定した力を出せることを目指す

リコーのスタッフには御所実高出身者もおり、現地に視察しに来たコーチと食事する機会もあり、誘われた。「(NZに)残りたい気持ちもありましたが、リコーとの縁がありましたし、いずれはトップリーグでやってみたいと思っていました。このチャンスを逃したくなかった」と、再び、日本でのプレーを決意した。

同世代に負けられない

TLで対戦したい選手として、高校日本代表でともに戦った同学年のチームメートで、今季、帝京大学を中退し神戸製鋼コベルコスティーラーズに入団したSO李承信(リ・スンシン)の名を挙げた。それ以外にも御所実の同級生SH谷中樹平(帝京大2年)やSO/FB青木拓己(大東文化大2年)らのプレーも気になるという。「ニュージーランドでも(試合結果を)確認していましたし、日本に戻ってからも成長やプレースタイルを勉強するために(大学ラグビーを)見ています」。今後も年齢の近い選手たちと切磋琢磨していくはずだ。

神戸製鋼の李承信、SOに挑む異色の新人は未来の日本代表司令塔候補の20歳

平という名前は、母の旧姓である平原から一文字をもらって名付けられたという。体重も高校時代よりも5kg増えて91kgほどになり、本人が「得意」という、狭い中でも前に出るプレーは高校時代よりも、より磨きがかかっている。当然、TLの活躍次第では、メインは新人賞の候補にもなってくるはずだ。

ユース年代での日本代表を歴任したメインは「将来、日本代表になりたい気持ちは強い」と語るものの、「そんな先のこと考えずに、今はリコーでどれだけ活躍できるか。自分の強みを出しながら、スタメン取ってシーズンがいい形で終われるようにやっていきたい」と前を向いた。

大学2年生と同じ20歳でTLで躍動することは、桜のジャージーに向けて大きなアドバンテージとなろう。3月6日のNTTドコモレッドハリケーンズ戦も2試合連続でフルバックとして先発する。舞台は前節に続いて、高校1年生の時に名前を全国区にした花園ラグビー場だ。

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