陸上・駅伝

学生女子ハーフは同タイムでの決着 小林成美、鈴木優花の見すえる世界

ほぼ同時にゴールする2人。小林(左)の胸がわずかに早かった(すべて撮影・藤井みさ)

第24回日本学生女子ハーフマラソン選手権大会 

3月14日@陸上自衛隊立川駐屯地内周回コース
1位 小林成美(名城大2年)1時間14分36秒
2位 鈴木優花(大東文化大3年)1時間14分36秒
3位 荒井優奈(名城大2年)1時間14分45秒

3月14日にあった日本学生女子ハーフマラソンで、名城大の小林成美(2年、長野東)が初優勝を飾った。前回優勝者である大東文化大の鈴木優花(3年、大曲)はわずかの差で2位に。3位には小林とチームメートの荒井優奈(2年、須磨学園)が入った。3人は8月に中国・成都で開催予定のワールドユニバーシティゲームズのハーフマラソン日本代表に内定した。

積極的な走りで先頭を引っ張った鈴木

例年ならば島根県松江市で開催される「まつえレディースハーフマラソン」と共催で行われている学生女子ハーフ。今年は新型コロナウイルスの影響もあり、松江での大会は中止に。陸上自衛隊立川駐屯地内の周回コースにて、無観客で行われた。

朝から強風が吹きつけていたが、男子の大会が終わったあともさらに風は強まり、ホームストレートでは向かい風、バックストレートでは追い風が吹きつけている状況だった。始めから先頭に立ったのは鈴木。「位置取り、最初の勢いが大事だと思っていました。1回引いてしまうと中に埋まってしまう気がしていたので、前で引けて良かったと思います」と積極的な走りに徹した。

鈴木(1番)は終始積極的に先頭を引っ張った

前回優勝者であり、数々の結果を残している鈴木は他の選手からも常にマークされていた。一度後続を引き離したが、また集団となり15kmすぎでは先頭は10人ほどに。「みんなそれぞれユニバへの思いが勢いとして伝わってきて、もう1回切り替えないといけないな、と思い集中力を高めていくことができました」と振り返る。「苦しいなというのは頭をよぎりましたが、とにかく自分のリズムで押していくイメージで走りました」

悔しい気持ちを糧にレベルアップした小林

小林は3位以内に入り、日本代表を決めるために、前半は温存して後半勝負と考えていた。鈴木が先頭に出ても、焦らず周りの流れに乗っていこうと考えていたという。最後の1周を残したところで、先頭からは鈴木、小林、荒井の3人が抜け出した。名城大の米田勝朗監督からは「3人で行け!」と激が飛んだ。ラストの直線は強烈な向かい風。荒井が遅れ、鈴木と小林がスパートしてほぼ同時にゴールを割った。鈴木の足が一歩早いように見えたが、ゴールラインには小林の胸が先に入っており、同タイムで小林が優勝、鈴木は2位となった。勝敗をわけたポイントを、小林は「最後は気持ち」といい、鈴木は「自分の甘さ」だと答えた。

ラスト1周、鈴木(中央)、小林(左)、荒井の3人に絞られた

小林は昨年のホクレンディスタンスチャレンジ網走大会10000mで32分08秒67のタイムをマーク。学生歴代7位で、東海学生記録を8年ぶりに更新した。9月の日本インカレ10000mでは先輩の加世田梨花(4年、成田)に次ぐ2位。全日本大学駅伝、富士山女子駅伝ではそれぞれ区間新を出して区間賞を獲得し、名城大学の優勝に貢献している。

成長著しいが、どんな取り組みをしてきたのか、とたずねると「特別な取り組みはしていないのですが、昨年は新型コロナウイルスの影響でアジアクロカンのモロッコ遠征も、予定していた海外留学も中止になってしまいました。その悔しい気持ちをバネに地道に練習を積み重ねて来られたのが今の自分につながっていると思います」と答えてくれた。

鈴木の2連覇か、小林の初優勝か

鈴木は今年、チームのキャプテンとなった。ゴール後もチームメートに最後の声かけをしている姿が印象的だった。そのことについて問われると「いち選手としても、一人の人間としても、誰から見ても見本になれるような選手でありたいと考えています。チームの主将として、みんなにとっての大きな存在となれるように引っ張っていきたいと思います」。キャプテンとしての覚悟と思いを感じさせた。

あまりの強風に髪が乱れ、困ったような笑顔を見せる3人

目標は2人とも「優勝」だ。特に鈴木は前回優勝しているため、今大会で優勝すれば2連覇になる。「2連覇した人が今までいないと聞いているので、自分が新しく歴史を作りたいです。学生記録を出してしっかり優勝を決めたいと思います」と力強く目標を宣言した。今日のようなデッドヒートが、世界の舞台でも見られることを楽しみにしたい。

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