野球

特集:2021年 大学球界のドラフト候補たち

大阪商業大学の福元悠真主将、フォア・ザ・チームのその先へ

開幕週は守備につかず指名打者で出場した大商大の福元悠真(撮影・沢井史)

関西六大学野球で4季連続優勝を狙う大阪商業大学を主将で引っ張るのが福元悠真外野手(4年)だ。奈良・智辯学園高2年の時、第88回選抜高校野球大会(2016年)で優勝に貢献。大学に進んでケガに苦しみながらも昨秋は最優秀選手に輝くなど成長してきた。右の長距離打者としてプロ野球ドラフト候補にもあがっている。

相次いだケガ

高校時代から脚光を浴びてきた強打者は、遠回りをしてきた。大学ラストイヤーの舞台に何とか立つことができた。入学直後の1年春に華々しくリーグ戦デビューを飾ったものの、「大学ではケガしかしていないんです」と本人が話すように、その秋には右肩、2年春のリーグ戦後には右足太ももの肉離れと、大学ではとにかくケガに悩まされた。

第88回選抜高校野球大会2回戦で本塁打を放った(撮影・朝日新聞社)

「自分が今、離脱するとチームに迷惑をかけてしまう。今年は最後の年。どうしてもリーグ戦に出たいので、何としてもという気持ちは強いです」と、意気込みを見せる。

実は今、ユニホームがはち切れんばかりの太ももの左右の大きさが少し違う。今春のキャンプ中に右足内ももを再び痛めたため、右足をテーピングで固定しているのだ。「テーピングでグルグル巻きにしているので、右足が少し細くなっているんです。その影響で足が上がらないので、今は走りづらいですが……。正直なところ、少し痛みが出ても無理をしたくなりますが、今は大きいケガにならないように固定しています」と、その理由を明かしてくれた。

昨秋の関西地区大学選手権大会の1回戦、近畿大学戦では、左越えに特大の2点本塁打を放ち、ケガから完全復活の兆しを見せた。とはいえ、野球人生でここまでケガが続くことは初めてで、不安をぬぐい切れないままシーズンを終えた。

オフもほとんど休まず

昨年末は12月23日からチームは年末年始のオフに入ったが、福元は30日までグラウンドに顔を出し、年明けは1月2日からグラウンドに出て1人で練習を続けた。「2021年は勝負の年なので、万全の準備をしたかったんです。だから体が自然とグラウンドに出向いていたというか……。休んでいる場合じゃないと思ったんです」

室内練習場で黙々と筋力トレーニングなどをこなし、大学ラストシーズンへ向け準備を進めた。そのお陰でフリー打撃練習では打球の伸びに変化を感じた。「この打球でも入るのかという当たりが増えてきました。オープン戦でも、そういう手応えはつかめてきました」。その矢先に春のキャンプでは右太ももの古傷を痛めた。大事を取って指名打者として出場する試合も多かったが、本職である右翼手として先発出場することが自身にとっては万全の姿と言える。

「求められるのは長打。そういうところはしっかり出していきたいですが、打ちたくて前のめりになっている時もあります。そこは(富山陽一)監督から指摘されますし、修正していかないといけないです」

チーム4連覇の先にプロへの道がつながる(撮影・沢井史)

開幕戦(4月3日)の神戸学院大学戦は、4番、指名打者で出場し、3打数2安打4打点で5-0の快勝につなげた。2回戦は4打席3四球とバットを振らせてもらえなかった。選球眼には元々自信を持っており、連勝スタートのチームのために、つなぎ役ができたと前向きに捉えている。

「個人がどうと言うより、チームとしての結果が欲しいんです。今年の目標はリーグ戦で優勝して、日本一になること。キャプテンをやっているので、チームとして勝っていきたいという気持ちの方が強いです。その後に個人の結果はついてくると思っています」

満身創痍のキャプテンが、大学ラストシーズンにどんなパフォーマンスを披露してくれるのか。フォア・ザ・チームの精神で、そのひと振りに思いを込める。

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