アイスダンス高浪歩未、西山真瑚組 早大カップルがシニア参戦へ「ワクワクしている」
フィギュアスケートのアイスダンスで、21年3月に「早大生カップル」として誕生した高浪歩未(あゆみ、国際教養学部2年、ケイ・インターナショナル東京)、西山真瑚(しんご、人間科学部通信教育課程〈eスクール〉2年、目黒日大高)組。来シーズンのシニアデビューに向けてトレーニングを積んでいる。4月にアメリカ・デトロイトに渡ったが、新型コロナウイルスの感染拡大で予定を早めて帰国。現在は東京を拠点に練習を続けている。前回のインタビューでは結成の経緯や今後の目標を語ってくれた二人。今回はアイスダンスの魅力や早稲田大学での学びについて紹介する。(※競技引退に伴い高浪さんのギフティング受付は終了しました)
アメリカでスケートを始めた高浪
――高浪選手はいつごろからアイスダンスを始めたのですか。
高浪 7歳のとき、母親の仕事で滞在していたアメリカ・デトロイトでスケートに出会い、1年後にクラブに入りました。一人でもアイスダンスに取り組める環境があったので、パターンダンスを練習したり、バッチテスト(フィギュアスケートの昇級試験)を受けたりしていました。
――日本に戻ってからの活動について教えてください。
高浪 10歳で日本に戻り、「アクアリンクちば」(千葉市)を拠点にシングル選手として試合に出ていました。新横浜のリンクでアイスダンスのレッスンを受け始めたころ、「男の子と一緒に滑ってみない?」と声をかけてもらったのがきっかけで、中学2年から本格的にアイスダンスに取り組み始めました。シングルと両立していましたが、高校3年のときにアイスダンスで国際試合に派遣され、力を入れたいと思うようになり専念することにしました。
――アイスダンスが楽しいと感じるときはどんなときですか。
高浪 二人で作り上げるストーリーは一人でやっているときとは違いますし、試合でエレメンツを入れてうまく演技ができたときが一番うれしいです。
西山 一人で表現しきれないことが二人になることで演じられるようになりますし、それだけストーリー性も出てきます。カップルによってもそれぞれのカラーがあるので、自分たちに合ったストーリーを、自分たちらしく披露したいと思います。
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トップ選手の練習から学ぶ
――憧れのアイスダンスカップルはどなたですか。
西山 2018年平昌オリンピック銅メダルのマイア・シブタニ、アレックス・シブタニ組(アメリカ)です。アジア系カップルとして初めてのオリンピックメダリストであり、表現力が自然で、欧米のカップルにはない魅力があります。アジア人の容姿のカップルとして参考になり、目標とするカップルです。また、カナダのクリケット・クラブで一緒だったナタリー・ダレッサンドロ、ブルース・ワデル組(カナダ)も参考にしています。彼らの練習を見ながら、こんなふうにスピード出さないといけないなと感じていました。
高浪 アメリカにいた頃、リンクに多くのアイスダンサーがいて恵まれた環境でした。当時は2014年ソチオリンピック金メダルのメリル・デイビス、チャーリー・ホワイト組や、2018年四大陸選手権優勝のケイトリン・ホワイエク、ジャンリュック・ベイカー組など世界トップクラスのカップルも練習していました。いろんな選手の日々の努力を見て、こういうふうにコミュニケーションをとるんだなとか、こうすれば上手になれるのかなとか感じていました。
――日本とアメリカのアイスダンス環境について教えてください。
高浪 日本では先生方がアイスダンスの貸し切り時間をつくってくれるので感謝しています。ただ、海外と比べると滑れる時間が限られています。アメリカでは週5日、1日3~4時間練習し、コーチも専門別に4人います。
――アメリカはアイスダンスが身近ですね。
高浪 アメリカはソロダンスのカテゴリーもあるので始めるきっかけは多いと感じます。(シニアに上がるまでは)シングルと両立してアイスダンスを続ける選手も多いです。
西山 北米には世界チャンピオンやオリンピックメダリストが何人もいます。日本は男子だったら高橋大輔選手(関西大学カイザーズフィギュアスケートクラブ)や羽生結弦選手(ANA)、宇野昌磨選手(トヨタ自動車)、女子だったら浅田真央さんを見てスケートを始める選手がいるように、日本のカップル競技もそうなったらいいなと思います。僕は男子選手がアイスダンスに興味を持ってくれる環境をつくりたいと思っているので、そのきっかけを作る一人になれたらと思います。
オリンピックへの夢、達成したい
――二人とも早稲田大学に進学。その理由は。
高浪 高校はインターナショナルスクールに通っていたこともあり、大学も英語で学びたいと思っていました。もともとスポーツだけでなくビジネスや体の仕組みに興味を持っていて、経済学や生物が学べる国際教養学部を選びました。早稲田大学は素晴らしい選手がたくさん在籍されていたのも一つの理由です。国際教養学部は英語で授業が受けられますし、様々な言語を学習できる「グローバルエデュケーションセンター」も利用しています。昨年度はほぼオンライン授業になりましたが、通学の時間をスケートやトレーニングに費やすことができました。
西山 僕は人間科学部なのですが、コーチングやメンタルトレーニングを学びたいと考えています。eスクールの先輩、羽生選手がオンラインの授業を続けながら、競技においても素晴らしい結果を残し、文武両道を実践してきた姿は本当にかっこいいです。海外に行っても学べる環境があるので僕もしっかり両立して頑張りたいと思います。
――今回、高浪選手も西山選手と同様にスポーツギフティングサービス「Unlim」に登録しました。どんな思いがあったのでしょうか。
高浪 現在、オンライン家庭教師などをして、練習代や渡航費など工面しています。西山選手と「ミラノ・コルティナダンペッツォ・オリンピックに出場する」という大きな夢を達成するため、「Unlim」に登録しました。今後、西山選手と一緒に結果を出す事ことで、微力ですがアイスダンスを始めたいと思ってくれる選手が一人でも増えるような普及活動にも支援金を活用していきたいと思います。
西山「すべてが必死です」
――シニアデビューを楽しみにしているファンも多いと思います。メッセージをお願いします。
高浪 この度は記事を読んでくださりありがとうございます。シニアデビューとなりますが、プログラムには様々な挑戦や工夫をしている最中です。今シーズンはたくさんの新しいことへ挑戦することになりますが、どの試合も全力を出しきり頑張りますので「あゆしん」の応援をどうぞよろしくお願い致します。
西山 シニアデビューですよ。もう、すべてが必死です。でも、一緒に頑張ってくれる歩未ちゃんがいます。とても心強いパートナーです。二人で練習を始めて、今ではワクワクしかありません。二人でどんなカラーを出せるのか、楽しみにしてください。「あゆしん」の応援、よろしくお願いします。
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