アメフト

法政大学オレンジ、ライバルに連勝しシーズン本番へ期待膨らむ

好調な法政大学。オープン戦で日大、早大を破った(撮影・北川直樹)

関東大学アメリカンフットボールで9年ぶりの甲子園ボウル出場を目指す法政大学が元気だ。春のオープン戦で昨年王者の日本大学に続き、過去8年、日大と関東の優勝を分け合ってきた早稲田大学にも競り勝った。コロナ禍でどの大学も試合数が限られ試行錯誤は続くが、優勝経験がない法大のメンバーは、満足することなく勝負の秋を見据えている。

殊勲者は背番号「0」の1年生

5月30日の早大戦。シーソーゲームの最後に決着をつけたのは1年生だった。終了間際、法大はQB平井将貴(3年、千葉日大一)からWR工藤裕康(3年、法政二)へのタッチダウン(TD)パスが通り13-13に追いついた。残り29秒、トライ・フォア・ポイント(TFP)の決勝キックを決めたのはキッカー(K)露峰哲太だった。「すごい緊張したんですけど、落ち着いて蹴れました」

早大戦の終了間際、決勝のTFPキックを決めた1年生の露峰哲太(撮影・朝日新聞社)

露峰は法政二高ではレシーバーと兼務だったが、大学では専属Kの道を歩もうとしている。中学生の時はサッカーチームでベンチを温めるサイドバックだったが、高校入学と同時に経験者に誘われ、フットボールの道へ。実は高2の関東大会準決勝でも同じようにしびれる場面でTFPのキックを決め、1点差でチームを決勝へ導いていた。「その時も落ち着いてきめられたんで」と照れ笑いを浮かべた。練習では55ydほどのFGを決められるという。

法大で初出場した5月16日の日本大学戦でも45ydのFGを決めた。有澤玄ヘッドコーチは「すごくいいですよ。法政二高の時から飛距離的には申し分なかった。ポテンシャル的には今後に期待大。あそこで普通に蹴れたのは1年生で十分。いい度胸している」と合格点を与えた。

背番号「0」。今季の法大の得点機は、本人が三番目の希望だったという番号から目が離せないかもしれない。

まだまだ、チームは発展途上

法大は最後に試合をひっくり返したが、敗色濃厚だった。試合時間残り1分余りで、6点のビハインドがあった。それでもディフェンス陣は集中力を切らさず、相手を何とかパントに追い込んだ。ここで早大のスナップが乱れた。パンターがファンブルしたボールを副将のLB山田敦也(4年、千葉日大一)が拾い上げて、逆転へつなげた。「僕はこぼれてきたボールをリターンしただけ。運がよかった。スナップが乱れたところで、自分たちがプレッシャーをかけられてボールをこぼしてくれた」

久々の早大戦勝利にも山田は満足していなかった。「結果は勝てたが、法政の課題がみえた試合。自分たちの本当の力を早稲田にぶつけられていない。試合で100%、120%の力を出せるか、突き詰めていく必要があると感じた。関西(勢)がビデオを見て、ビビるくらいのプレーをしていかないと。法政は甲子園(ボウルに)出ていないんで。もっと点差をつけて勝ちたかったというのが本心です」

法大副将のLB山田敦也(撮影・朝日新聞社)

日大戦もディフェンス踏ん張る

選手も首脳陣も納得はしていないが、今年の法大には簡単にあきらめない粘り強さがある。王者・日大を第4Qで逆転した試合もきっかけはDB猪尾健人(2年、法政二)のインターセプトからだった。11-13から攻撃に転じ、最後は平井が自ら10ydを走り切るTD。TFPのパスを成功させ2点を追加、19-13で逃げ切った。

法大の司令塔を務めるQB平井将貴(撮影・北川直樹)

その試合後、平井は「パスで決めきれないところがあった。パスでもっとオフェンスを組み立てるチームにしていけるよう、僕がもっと練習して成長していきたい」と課題を話していた。平井をはじめ主将のLB太田成哉ら法大には千葉日大一高出身者が多い。平井は「先輩が多かったのは一つの決めてになったが、選手主体、学生主体というフィロソフィー、雰囲気にひかれて僕はこの法政大学で日本一になりたいと思った」と言う。

法大は太田成哉主将(21)を中心に9年ぶりの甲子園ボウルを目指す(撮影・朝日新聞社)

今春は各チーム試合数が少なく、本当の力量は測れない。太田主将は「昨年、フィジカルとファンダメンタルという課題がでた。そこはチームで注視して取り組んでいる。もっともっとレベルが高くなっていかないと」と前だけを向いていた。

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