フィギュアスケート

高橋大輔に憧れる関西大学・三宅星南 覚醒の鍵は「自信を持って演技すること」

7月の「ドリーム・オン・アイス」で今季のプログラムを披露した(撮影・角野貴之)

北京オリンピックシーズンに入り、フィギュアスケート男子で飛躍を期待したい選手が関西大学総合情報学部2年の三宅星南(せな、岡山理科大学附属)だ。憧れの2010年バンクーバー五輪銅メダリスト高橋大輔(関西大学カイザーズフィギュアスケートクラブ)を育てた長光歌子コーチのもとで実力をつけている。今季からシニアに本格的に参戦する三宅に意気込みを聞いた。

全日本は点数面で成長を実感

三宅は岡山県矢掛(やかげ)町出身。2014年全日本ノービス選手権(ノービスA)優勝、2016年、ジュニアで推薦出場した全日本選手権で初出場9位となり新人賞を獲得、2018年世界ジュニア選手権に出場した。昨季は全日本ジュニア選手権で3位に入り、シニアのグランプリシリーズNHK杯、全日本選手権に出場、今季から本格的にシニアの舞台で戦う。

「全日本選手権では点数面で評価されたという部分が目に見えてわかり自信になりました」と振り返る。フリーのステップでは最高のレベル4を獲得するなど134.44点で、ショートプログラム(SP)とフリーを合わせて213.53点を出した。

2020年全日本選手権フリー。抜群のスタイルを生かし、壮大なクラシック音楽を演じた(代表撮影)

体幹トレーニングを強化

176センチの高身長を生かした演技力と伸びやかなスケーティングが持ち味。「最近は筋力や体幹がついてきてジャンプに安定感が出てきた」と長光コーチは目を細める。特にトリプルアクセル(3回転半)ジャンプの精度が上がっている。三宅も「トリプルアクセルへの気持ちがだいぶ変わってきました。昨年からトリプルアクセルが跳べない日がほとんどなくなりました。4回転に関しては調子の波はありますが着実によくなってきている感覚があります」と成長を実感している。

体幹トレーニングを強化し、その効果も出ている。「体の連動、全身をうまく動かすことにフォーカスしています。体幹がつくことでステップが踏みやすくなったり、上半身を大きく動かせるようになったり、連盟の方にも『芯ができてよくなっている』と言われます」。長光コーチからフリーレッグ(氷についていない方の足)の使い方を意識するように言われており、「高橋大輔選手や田中刑事選手はフリーレッグの使い方がうまいので、僕もフリーレッグがきれいな選手になりたい」と話す。

飛躍に向けた課題

同学年で岡山を拠点としていた早稲田大学の島田高志郎(木下グループ)、関西大学の木科雄登とともに「岡山トリオ」の一人として中学時代から注目されてきた。国際大会で経験を重ねてきたが、21年世界選手権銀メダルの鍵山優真(星槎国際高横浜3年)や19年ジュニア・グランプリ(GP)ファイナル覇者の佐藤駿(埼玉栄高3年、フジ・コーポレーション)らの急成長もあり、上位浮上のきっかけをつかめないでいた。

三宅の飛躍への鍵は「自信」。「(高橋)大輔もですが、自分を低く見るところがあって。もっと自信をもってほしい」と長光コーチは言う。たとえ能力があっても自信のなさが演技に表れてしまう。それは三宅自身も自覚している。「今でもあるんですが、自信がなくなるとすぼむような形になってしまって。気持ちがどうであれ堂々とやる。もっともっと自分を信じて滑れたらいいなと。それが一番の課題です」

「最高」のプログラムを届ける(撮影・浅野有美)

高橋大輔も踊った「白鳥の湖」を選曲

インタビューを実施した7月には今季のプログラムも出来上がっていた。SPは映画「ゴースト ニューヨークの幻」より「Unchained Melody」で吉野晃平さんが振り付けた。「ボーカルと動きがリンクするように意識して滑っています。ボーカルが盛り上がっていくところのステップが見どころです」とアピールする。

そしてフリー「白鳥の湖」は特に目を引く作品に仕上がっている。「昨季の『幻想即興曲』を使おうと思っていましたが、練習するにつれて自分のできることも増えていますし、もっと新しいことに挑戦してみたいなと思いました」。王道のクラシック曲を宮本賢二さんの振り付けで演じる。

「白鳥の湖」といえば、高橋大輔のヒップホップバージョン(ニコライ・モロゾフさん振り付け)が有名で、三宅もずっと使いたかった曲だ。「高橋選手のヒップホップは革命的でした。僕の曲はクラシックのバレエ音楽を使っていて、バレエの動きがたくさん入っています。宮本先生から自分を軸にして周りに見てもらうように言われています。しっとり動くところ、バイオリンで軽快なところ。曲調の変化もしっかりつけていきたいと思います」と意気込む。

クラシックは自分に合う

こうしたクラシック音楽への挑戦は演技の幅を広げることにつながる。これまでは「キャラバン」や「Played-A-Live」に代表されるようなアップテンポで軽快な選曲が多かった。自身が好きな曲調、ジャンルであり積極的に使ってきた一方で、クラシックはあまり取り入れてこなかった。

「自分にクラシックが似合うとは思ってなかったです。宮本先生が『幻想即興曲』を提案してくださって、滑れるのか不安でしたが滑ってみたら自分の呼吸や滑りに合っていました。そこからちょっと意識が変わったというか、自分はクラシック音楽が似合うんだなというのを意識して選曲するようになりました」

岡山県矢掛町の地元愛も語ってくれた(撮影・浅野有美)

インタビューの最後にぜひ伝えたいと、地元愛について語ってくれた。「矢掛町は昔ながらの町並みが残っていて自然が多くてのどかです。小さい頃から町をあげて応援してくださって感謝しています」。地元の星として、恩返しを込めて飛躍を誓う。

星南という名前の由来は伝説のF1レーサー、アイルトン・セナから付けた、漢字には「南十字星のように輝いてほしい」という願いが込められている。

「自信を強く持って自分のやりたい演技を100%できる試合を増やしていきたいです」

自信を力にして輝きを放てるか。19歳の覚醒の時を楽しみに待ちたい。

【動画】関大・三宅星南「芯をすごく強く持って」 フリーはバレエ音楽「白鳥の湖」

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