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サン・クロレラが東海大バスケ部と河村勇輝を支援、若い世代に食事の大切さを伝えたい

サン・クロレラは大学バスケ界では初となる東海大学男子バスケットボール部とパートナー契約を締結した(写真提供・サン・クロレラ)

健康食品メーカーの株式会社サン・クロレラが8月19日、東海大学男子バスケットボール部とのパートナー契約締結を発表した。「Health is Wealth(健康は富)」をスローガンに掲げ、NBAのブルックリン・ネッツ、プロ野球の埼玉西武ライオンズ、渡邊雄太(バスケ男子日本代表主将、NBAトロント・ラプターズ)といった名だたるスポーツ団体・個人を栄養面でサポートするサン・クロレラが、初めて大学バスケのサポートに乗り出した。

東海大の勝ちに貪欲な姿勢、人を大切にする姿勢に共感

東海大バスケ部は6度の全国優勝経験を持ち、田中大貴(アルバルク東京)、ベンドラメ礼生(サンロッカーズ渋谷)ら多くのトッププレーヤーを輩出している強豪チーム。クロレラ(藻の一種)のサプリメントの提供や、アスリートフードマイスターによる栄養指導といった、「食と栄養」における様々なアプローチで同部をサポートする。

また、高校時代に高校生B1リーガーとして脚光を浴び、東海大に進学した昨年、ルーキーながらインカレ優勝の立役者となった河村勇輝(2年、福岡第一)とは、渡邉と同様の個人契約を締結。栄養面のサポートはもちろんのこと、将来的な日本代表入りを見据える河村を、同社が持つ海外ネットワークを駆使しながらサポートするというアイデアも持っている。

河村は特別指定選手として、三遠ネオフェニックスと横浜ビー・コルセアーズでBリーグの舞台を経験している(撮影・松永早弥香)

契約に至った経緯について、同社の中山太(ふとし)社長はこう説明する。

「同部の陸川章監督、木村真人統括コーチとお話しさせていただく中で、貪欲(どんよく)に勝ちを求めつつも、とても人を大切にしているチームだと感じました。今回のお話は同部OBの方からのご相談で実現したものですが、その方からもチームに対する強い思いが伝わってきましたし、とにかく熱い思いを持った人がたくさんいるチームという印象が強く残りました。当社は人と人とのつながりを大切にしています。パートナーとしてともに仕事に取り組んでいく中で、このチームとならいい関係性が築けるのではと感じ、契約をさせていただきました」

中山社長もバスケ経験者であり、プライベートでもバスケ観戦をしているという(写真提供・サン・クロレラ)

連戦でも戦える体作りをサポート

関東大学リーグの2部と3部を行き来していた東海大バスケ部は2001年、陸川さんが監督に就任したのを機に、一気に全国屈指の強豪に成長し、この20年で6度の全国制覇を達成している。こうした実績を挙げるに至った要因の一つに、部全体が家族のように結束し、互いを思いやりながら切磋琢磨(せっさたくま)するチームカルチャーが挙げられるが、中山社長もまた、このカルチャーに魅せられた格好だ。

専任のコンディショニングコーチを擁し、それに携わる学生スタッフも多数在籍する東海大バスケ部は、他大学とは一線を画するコンディショニング意識が根付いている。しかし、4~7月に開催された関東学生選手権(スプリングトーナメント)は、コロナ禍による活動制限や数度の延期で調整がうまくいかず、準優勝。陸川監督は大会後、「決勝では連戦の疲労がかなり出てしまった。準備の大切さを改めて実感した」と話していた。

陸川監督は人としての教育にも力を入れながら、東海大を強豪チームに育て上げた(撮影・松永早弥香)

同社の主力商品であるクロレラのサプリメントは、長距離の飛行機移動が当たり前のNBAで戦う渡邊を筆頭に、多くのプロアスリートがコンディショニング維持のために用いているもの。中山社長は「タフな状況でこそ当社の製品を生かしていただけると思います。当社のサポートでできるだけ連戦の疲労を軽減させ、トーナメント戦をしっかりと勝ち抜いていけるようなチーム作りに貢献したいです」と語る。

若い世代に“食もトレーニングの一部“という意識を

1969年の創業以来、幅広い対象に向けて製品を販売していたサン・クロレラが、“スポーツ栄養”という点に着目するようになったのは2016年。あるNBAチームの専属シェフから「製品を導入したいが、ドーピングに該当するような物質は入っていないか?」と問い合わせを受けたのをきっかけに、翌17年に国際的なアンチ・ドーピング認証を取得。19年にはマイナー契約からNBA入りを勝ち取ったばかりの渡邊と、同社初のサポートアスリートとしての契約を結んだ。

同社は現在、サッカー、格闘技、アイスホッケー、バレーボールなど様々な競技に携わるアスリートやチームとサポート契約を結んでいるが、その中でもバスケ関連の契約が一番多い。スポーツ市場参入へのきっかけがバスケだったこと、男女ともに競技人口が多いグローバルスポーツであることも大きな理由だが、何よりの理由なのが、中山社長自身が幼少期からバスケに熱中していたことだ。「東京オリンピックの日本戦も全部見ました」と話す中山社長は、「男子代表にとってはたくさんの課題が見つかった大会になりましたが、逆に言えば伸びしろが多いということですよね。今後、日本代表が大きくステップアップするターニングポイントに、河村選手を始めとする東海大の選手たちが関わってくれればうれしいです」と語る。

プロの前段階にあたる学生たちをサポートしていくことで、彼らの未来を変えていく(撮影・松永早弥香)

また、“大学スポーツ”というカテゴリーをサポートする意義について、中山社長は以下のようにとらえている。

「“食もトレーニングの一部“という意識を、学生の段階からしっかり伝えていきたいという思いは非常に強いです。というのも、プロとしてのキャリアをスタートさせる年齢から食事に対する意識を変えるのは、簡単なことではないからです。食事をエネルギーゼリーで代替したり、『先輩もそうだから』と自分に合わない食事スタイルを踏襲している学生アスリートは少なくないと思いますが、プロの前段階にあたる彼らの意識を変える手助けをすることで、選手寿命を延ばしたり、パフォーマンスの向上に貢献できるかもしれません。そういった意味でも、大学スポーツシーンをサポートすることはとても意義があることだと考えています」

中山社長は、大学界の屈指の強豪である東海大や、若い世代へ大きな影響力を持つ河村の発信によって、中高生などさらに下の世代にも食やコンディショニングに対する意識が育まれることにも期待しているという。両者のよりよいケミストリーが、若きアスリートたちの意識啓蒙につながることを願いたい。

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