青学は「男前大作戦」でいく! 全日本大学駅伝 前日監督会見で語られた展望は?
いよいよ明日11月7日の開催と迫った全日本大学駅伝。レース前日の監督会見がオンラインで行われ、駒澤大学・大八木弘明監督、東海大学・両角速監督、明治大学・山本祐樹監督、青山学院大学・原晋監督、早稲田大学・相楽豊監督、東京国際大学・大志田秀次監督の6人が出席した。
駒澤大・大八木監督の目標は「3位以内」に
会見ではまず、今大会のテーマと目標を各大学の監督に聞いた。相楽監督はテーマを「再チャレンジ!」、目標を「優勝」と掲げた。「今年学生駅伝三冠にチャレンジするとして出雲に臨みましたが、悔しい結果で終わってしまいました。この1カ月間しっかりと準備してきたので、仕切り直して再チャレンジしたい」。また前回大会では6区途中までトップを走っていたことに触れ、大会としても再チャレンジしていきたいと意気込んだ。優勝に届きますか? と問われると「混戦なので難しい戦いになると思いますが、昨年以上の準備はできています」とチーム力の充実をうかがわせた。
山本監督はテーマ「激走!!」、目標を「シード権」と書いた。「昨年3番に入りましたけど、まだまだチャレンジャーです。一人ひとりが自分の魂のこもった走りをして、まずはシード権を獲得したい。上位争いをしなければシード権は取れないので。先頭集団にくっついてレースを進めたいです」。大八木監督は「前半は流れに乗って後半勝負」、「目標は3位以内」。昨年は優勝したが今年は鈴木芽吹(2年、佐久長聖)を欠くなどベストメンバーで臨めなかったとし、「目標は3番以内と掲げて頑張っていきたいです」。しかし3番以内ということは、当然1位も視野に? と問われると「まあそうですね、1位に近い3位を狙って頑張りたいです」と笑って答えた。出雲駅伝9位と苦しんだ東海大。両角監督は「5年連続3位以内」と掲げた。出雲は不甲斐ない結果としたが「この駅伝は相性がいいので、相性の良さを生かして目標を目指していきたいです」
男の前を走る? 「男前大作戦」!
原監督には目標とともに、お決まりの作戦名も……と振られると、ニヤリと笑いながら「今年も巷ではやはり駒澤(の優勝)だと思います、私もそう思います。『男だろ!』のかけ声で学生たちは走るんですね! その『男』の前で走りたいし、27チーム中うちは一番イケメンを揃えてます!」ということで「男前大作戦! 優勝目指して頑張ります!」と高々と宣言した。打倒駒澤ということですか? と問われると「そうですね、一番上ですからね」。「すべての男より前で走りたい、最終アンカーの飯田(貴之、4年、八千代松陰)はチーム1のイケメンですから!」と重ね、「男前」の主将をアピールした。
出雲駅伝初出場初優勝と勢いに乗る東京国際大。大志田監督は「チーム最高位、3位」と記入。「出雲は目標を達成できましたが、全日本はまず、選手が自分の力を出せることが大事です」。とはいえ、優勝候補として多くの監督から東京国際の名は上がっているが……との質問には「まだまだ届かないと思うので、明日は選手がのびのびと走ってくれればいいなと思います」とあくまでも選手が力を出し切れるように、と強調した。
ヴィンセントは前半区間に入るのか
続いて、現時点でのメンバー表を見ながらレースの展望についてそれぞれの監督への質問があった。駒澤はエースの田澤廉(3年、青森山田)を7区に置いた。大八木監督は「7区、8区は距離が長いので、前半である程度戸惑ってもこの2区間で挽回しながら上位を争いたいと思っています」。原監督もこのあたりを考えながらオーダーを組みましたか? と問われ、「そうですね、田澤くんが7区にいますから。やはり6区から7区に渡すときに、駒澤より前にいなければ勝てないと思います」。ここで重要になってくるのが、補員となっている近藤幸太郎(3年、豊川工)の存在だ。「やはり近藤をどこに入れるかということだと思うんですよね。今しゃべると面白くないので、明日までお待ちくだされば」と笑ってかわした。
東海大はエース格の市村朋樹(4年、埼玉栄)を3区、主将の本間敬大(4年、佐久長聖)を7区に置いた。両角監督は苦笑しながら「今年は正直きついかなという感じなんですけど」と本音を漏らす。「他大学さんを見ると、早稲田が1~3区にスピードランナーを揃えていて、前半独走するような勢いもありますよね。他の大学がそこにどれぐらい食らいついていけるかだと思います」。名前を挙げられた相楽監督は「そう評価していただけるのは光栄です」。「昨年、先頭に立ったとはいえ秒差で続いていましたから。先頭で走れたら嬉(うれ)しいですけど、中盤、後半の勝負がより重要になってくると思います。中盤しっかり中押しをしたいなと思います」。具体的に何区で? と問われると「あまり触れすぎるとバレてしまうので」と笑い、「昨年3区でリードを奪ったものの5、6区で力尽きた。そこは去年からの課題です。去年よりも力をつけてきているので、いいレースをしたいなと思います」と改めて意気込みを口にした。
東京国際大は現状、主力のイェゴン・ヴィンセント(3年、チェビルベルク)と丹所健(3年、湘南工科大付)を補員登録している。過去2大会では留学生のルカ・ムセンビ(3年、仙台育英)が連続でアンカーを務めたが、「後半に留学生を持ってくることはないです」。「後ろの2人(7区・野澤巧理、8区・宗像聖)はそのために練習ができてるので、その中でオーダーは考えていくのかなと思います」。原監督はどこにヴィンセントを置くのか大志田監督に言わせたい様子で、「言われたほうがいいんじゃないですか」とけしかけたが、大志田監督は笑いながらかわした。
明治大の1区はエースの手嶋杏丞(4年、宮崎日大)。「我々はとにかく、先頭の見える位置でしがみついていく。手嶋から流れに乗っていきたいです」。順天堂大の2区に三浦龍司(2年、洛南)が配置されていることについて話を振られると「2区に来たってことは順大も前半勝負で挑むということ。かなりハイペースな面白いレースになると思います」と展開を語った。
戦力充実と評価の青学、明治
テレビ中継で解説を務める渡辺康幸(現・住友電工陸上部監督)さんからの質問は「いろいろなアクシデントがあったかもしれませんが、故障者もなくベストチームが組めているのはどの大学?」。これには原監督以外の5人が「青学」と回答。大八木監督はほかに「東京国際、明治」とも回答した。各監督から名指しされた原監督は「本来であれば出雲、全日本は1年生が活躍しないといけない大会ですが、残念ながら練習を欲張りすぎたか、スタートラインに立てませんでした」。しかしその分上級生の戦力が充実していると自信をのぞかせた。いっぽう、明治の戦力が充実してると評価し、「後半7、8区にいい選手を残しているので、初優勝もあるのかなと。危機感を持って頑張りたいです」
大志田監督は出雲、全日本の二冠を目標とする可能性を問われて「まったくないです」と即答。「まだまだ優勝を口にするチームではないと思います。ですが選手が何かを感じ取って頑張ってくれればいいと思っています。流れに乗って3位以内、その中に優勝があるかもしれないけど、(自分が)旗を振るのではなく、選手に頑張ってほしいです」という。
ランナー・大迫傑を使うなら何区?
今大会ではテレビ中継に大迫傑さんもゲストとして参加。大迫さんからの質問は「ランナー大迫傑を起用するなら、何区で起用したいと思いますか?」。それぞれのチーム状況を考えてどうか、という質問だった。
相楽監督は「学生時代はエース区間の2区を担当してもらってました。今は(距離変更があり)エース区間を3区と考えているので、そこで使ってみたいですね」と言いつつ、「全員大迫くんがいたら楽ですね」と笑わせた。山本監督は「彼の学生時代も見ているので、前半区間で……と思うけど、マラソンで活躍しているのを見ると7区、8区でゲームチェンジャーになれると思います。後半で使いたいですね」。大八木監督は「今のチーム状況でしたら、大迫選手は3区にほしい選手ですね」。前半区間にしっかりとした選手を置くと強くなるという思いを明かした。大迫さんの佐久長聖高校時代の恩師でもある両角監督は「距離的なことを言えば、後半2区間ぐらいを1人で走ってもらいたいですよね」と笑わせたあと、「短い距離ですけど、1区でぶっちぎりで走ってもらいたいですよね」と答えた。
原監督は「男前大作戦ですから、やはり1区でイケメンぶりを発揮してほしいですね!」。ここですかさず司会者から「レース展開的にも1区ですか?」と問われて、「レース展開でも、ビジュアル的にもいい!」。スピードランナーを1区に置きたいという考えだろうか? と思わせる答えだった。大志田監督は「やはりレースを決定づける走力があるので、チームとしては7区、8区に配置したい選手ですね」。前半ではなく? と聞かれると「彼が1人いたらチームとしてはどこでも攻められるので、今のチーム状況だったら7、8にいたらすごく安心できると思います」。やはりヴィンセントは前半区間に配置すると決めているのか、気になる答えだった。
さまざまな腹のさぐりあいもあった会見。レースは8時5分スタート、当日メンバー変更は6時半に確定する。はたしてどの区間に注目選手が入ってくるのか、伊勢神宮のゴールに真っ先に飛び込んでくるのは、どこの大学になるのだろうか。