東海大が3年ぶり6回目の秋リーグ制覇、大倉颯太の早期復帰で「チームがまた1つに」
第96回関東大学バスケットボールリーグ戦
10月2日~11月7日(1部)
1位 東海大(10勝1敗)3年ぶり6回目の優勝
2位 日本大(9勝2敗)
3位 白鴎大(8勝3敗)
4位 専修大(8勝3敗)
5位 日本体育大(7勝4敗)
6位 筑波大(6勝5敗)
2年ぶりに開催された関東大学バスケットボールリーグ戦(オータムカップ)。1部優勝の行方は11月7日の最終戦まで持ち越され、日本大学と東海大学に絞られた。ともに9勝1敗、7月の関東大学選手権(スプリングトーナメント)決勝でも激突した両者による一騎打ちは、77-59で東海大が制し、春の雪辱を果たした。
東海大が第1Qから日大にリード
先手を取ったのは春の王者・日大。いきなりコンゴロー デイビット(1年、報徳学園)のバスケットカウントと佐藤大介(3年、桐生第一)の3ポイントシュートで6点を稼ぎ、米須玲音(1年、東山)も続いて8点を先行。しかし、東海大も10月31日の早稲田大学戦から復帰した大倉颯太(4年、北陸学院)がチーム初得点を挙げると、八村阿蓮(4年、明成)のミドルショットがさえて持ち直す。
第1クオーター(Q)を21-19で終えた東海大は、次の10分間で試合を大きく動かした。ディフェンスでは開始5分弱でチームファウルが5つに達するも、インサイドを封じ相手に外のシュートを打たせてリズムを生み出す。すると、攻撃では残り4分22秒に大倉がバスケットカウント、河村勇輝(2年、福岡第一)も自らのレイアップとアシストで得点を演出してチームを加速させた。
前半終了時点でのスコアは44-30。第3Qは追いかける日大が息を吹き返し、鴇田風真(3年、八王子)と米須の3ポイントで一時は49-40まで迫った。だが、東海大はタイムアウト明けから佐土原遼(4年、東海大相模)、八村が攻守にわたってチームを牽引(けんいん)する。ゴール下で体を張り続けた両者はそろってバスケットカウントもマークし、60-44で第3Qを終了。最終Qも追いすがる日大を河村の連続スティールなどで食い止めた。東海大は試合終了まで強度の高いディフェンスを披露し続け、最終スコア77-59で直接対決を制した。
早期復帰を果たしたエース・大倉が優勝に華を添える
例年の2回戦総当たりではなく1回戦総当たりで行われた2年ぶりのリーグ戦は、どのチームにとっても1敗が重くのしかかる大会だったと言える。今大会当初、東海大はけが人が相次いでいた中でも白星を積み上げ、10勝1敗で優勝達成。陸川章ヘッドコーチ(HC)は「大倉がけがでいないなか、チーム一丸となってよくつないでここまできたなと思います。最後は、プレータイムの制限はあるんですけど、大倉が戻ってきてチームがまた1つになって戦えたことがすごく嬉(うれ)しいです」と選手たちをたたえた。
指揮官の言うように、今年2月に全治12カ月と診断された大けがから早期復帰を果たした大倉。コートに立てなかった日々も自分よりチームのことを第一に考え、「常に準備してきた」という東海大の背番号11は、この試合では22得点をマーク。これは、ゲームハイの27得点を記録した八村に次ぐ数字だ。河村の言葉を借りれば、「最後のワンピース」がそろってのリーグ優勝。チームにとっても喜びはひとしおだろう。
一方、スタートダッシュに成功しつつも敗れた日大。城間修平HCは、今年から徹底的に磨き上げてきたディフェンスに隙があったと分析する。
「先行できましたけど、ディフェンスの部分では気持ちの部分で構えてしまって、我々が今までやってきたことができていなかったです。それがベンチから見ていても非常に引っかかるところで、なんとなくディフェンスをやっているというか、自分たちから相手を動かしていくディフェンスができていなかったと感じました」
これについて、司令塔の米須も「前半、自分たちのディフェンスで圧をかけられなかったことが敗因かなと思います。後半はしっかりと自分たちから圧をかけて追いつける展開があったんですけど、そこでまた気の緩みが出てしまい離されてしまいました」と悔やんだ。
春の借りを返した東海大も、返された日大も、それぞれの指揮官と選手は「成長できた」と異口同音に述べた。彼らに土をつけた大東文化大も8位でリーグ戦を終えるなど、集大成となるインカレは混戦模様だ。ここからさらなる進化を遂げ、最後に笑うのは一体どのチームだろうか。