野球

佛教大学の木村光、ストレートに磨きをかけてさらなる成長を

佛教大学の木村光。京滋大学野球で2季連続最優秀投手賞に輝いた(撮影・全て朝日新聞社)

京滋大学野球で6連覇を果たした佛教大学で、最終学年に向けてさらに成長が期待されるのがエース木村光(3年、奈良大付)だ。秋のリーグでは防御率トップの1.00で2季連続最優秀投手賞に輝いた。チームが10年ぶりに出場した明治神宮大会では、大学野球の聖地3大会目の登板となり飛躍のヒントを得た。

明治神宮大会でチーム12年ぶりの白星

神宮大会初戦の近畿大工学部(中国・四国)戦では、先発マウンドに立ち8回を投げ2安打無失点。11奪三振、1四球と抜群の安定感を披露し、5-0で快勝としチームとしては大会12年ぶりの白星を飾った。本調子ではなく、「自分の持ち味のストレートが今日はあまり良くなかったけれど、ストレートでファウルをしっかり打たせたことで、(決め球にした)スライダーでの三振にもつながりました。出来るだけ長いイニングを0で抑えて木下(隆也=4年、奈良大付)さんにつなげようと思ったので、そういうピッチングができたことは良かったです」と振り返った。

三回までは1人も走者を許さないパーフェクトピッチング。四回、先頭打者に初安打を許したが、自らの好フィールディングでピンチの芽を摘んだ。八回1死から二塁打を浴びた以外は危なげないマウンドさばきを見せた。
完投することも十分あり得たが、田原完行監督は九回から左腕エースの木下をマウンドに送り出した。木村はちょうど100球で降板した。

神宮のマウンドは1、3年の全日本大学選手権に続き3大会目だった

「こういった素晴らしい球場のマウンドをあまり経験したことがないうえ、ウチのリーグはDH制なので、今日(木村が)打席に立ったことで下半身に疲労が溜まっているようにも見えました。それに、代打陣を試したかったというのもあったんです」と、指揮官はその理由を明かしてくれた。

10月下旬から開催された大阪市長杯(関西5大学代表決定戦)では初戦の関西大戦に先発し、8回を投げ6安打1失点、9奪三振。代表決定戦となった天理大戦は木下の後を受けて8回途中からマウンドに上がり、1安打を許したが後続を断った。いずれも好投が光り、最優秀投手賞に選ばれた木下に負けない快投が評価され、敢闘賞に選出された。

奈良大付高で夏の100回大会に初出場

木村は奈良大付高3年夏、エースとして第100回選手権(2018年)の甲子園に出場。初戦の羽黒(山形)戦で1失点完投勝ちした。2回戦の日大三(西東京)戦は強力打線につかまり4-8で敗れたが、2試合を全て投げ切った。当時ストレートの最速は143kmだった。

奈良大付高のエースとして夏の甲子園に初出場し初勝利を挙げた

公式戦経験が浅く、やや粗削りな部分はあったが、大きな可能性を秘めた右腕は、佛教大に進むと、1年春のリーグ戦からマウンドに立った。直後の全日本大学選手権決勝の明治大戦で神宮デビューを果たし、ストレートは146kmをマークしている。

1年秋には初勝利を挙げ、以降は佛教大の投手陣の柱となった。3年春には最優秀投手、ベストナイン、そして今秋は2度目の最優秀投手のタイトルを獲得。確固たる地位をコツコツと築き上げてきた。

最速148km、まだまだ伸びる

現在のストレートの最速は148km。2度目の出場となった今年6月の大学選手権以降、体重移動を意識してややダイナミックなフォームになったが、ストレートの質は格段に向上した。そのうえ、球場両翼のポール間を10往復したり、30mダッシュを増やしたりするなど練習内容にもこだわりを持ち、球質改善に努めてきた。

1年生の春以来、今春の大学選手権に続き立った今年の神宮のマウンドには、実はちょっとした違和感があった。「2年前は粘土質だったのですが、今はカチカチに固まっていた」という木村。それもあって降板となったのかもしれない。それでもスライダー、スプリット、落差のあるカーブを巧みに操り、大崩れしなかった。プロ野球のスカウトも「キレのある変化球もあり、これからが楽しみな投手」と、コメントしている。

明治神宮大会の初戦に快勝し、インタビューで笑顔をみせた

準々決勝では八回裏2死降雨コールドで優勝した中央学院大に1-7で敗れた。3番手としてマウンドに上がったが、試合後半は激しい雨がグラウンドをたたいた。無念のコールドで大舞台を後にしたが、来年はいよいよ大学野球ラストシーズンを迎える。「しんどくなってきてから粘れるよう、メンタル面などをもっと鍛えていきたいです」

そんな中で、こだわりのストレートもどこまで磨きをかけられるか。伸び盛りの右腕が本領を発揮するのは、まだまだこれからだ。

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