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白鷗大・網野友雄監督「“傍観者”を作らない」日々の練習で振り返りをする意義

網野監督は学生と向き合い、学生からの発信に期待している(写真提供・全て白鷗大学)

網野友雄監督(41)は2017年に白鷗大学の助教(現・講師)と男子バスケットボール部の部長兼監督になり、18年から本格的に部の指導を始めた。網野監督は当初から学生一人ひとりと向き合うことを大切にしており、「チームの中で自分の存在感を示し、思いを伝えることは自分の価値を高めるためにも必要なこと」と考え、学生自身が発言し行動することを求めている。

日々の練習から振り返りをし、ハドルを組む

練習前には網野監督から今日のポイントを伝えて、日によっては「今日は何を頑張る?」と学生たちに問いかけることもある。部の中では主将・副将が発言する機会が多いため、発言者をランダムで指名し、“傍観者”を作らないようにしている。練習は5対5で終わることが多く、練習の締めくくりとして各チームに5対5の振り返りを求めているが、その時は学生たちが考えて発言者を決めている。

「学生自身が今日はこれをすると決めて、終わった時にどうだったのかを振り返り、それから明日につなげるというのが大事です。それはただ練習のサイクルを回すだけではなくて、自分の考えを伝える練習にもなると思うんです」

コロナ禍になって、改めてSNSの意義を網野監督も感じた

もちろん口下手な選手はおり、自分の思いを伝えることに抵抗がある選手もいる。「話すことがすごく大切だと頭の中では分かっていても、なかなかうまく表現するのは難しいですよね。だからこっちから言い続けるしかありません」。練習中にハドルを組ませたり練習後の振り返りを徹底したりと、学生が話をする機会を増やしている。その上で監督の自分がどう反応するか、網野監督は難しさを実感している。

「コミュニケーションはキャッチボールなので、自分の思いを投げ続けただけではコミュニケーションにならない。それを返してもらって初めてコミュニケーションがとれているわけですから。こちらとしてもそれを意識した発言をしようと伝えているけど……これが難しい。感情的になると余計に。そこはもう、我慢比べだと思ってます」

頻度こそ多くはないが、練習にポートボールや運動会など、バスケ以外のことも取り入れている。それは練習に向かう学生たちのモチベーションを高めるとともに、部の雰囲気を盛り上げ、コミュニケーションをとるきっかけにもなっている。

SNSの発信は「感謝の気持ち」を込めて

情報発信の意義を考えるという意味で、白鷗大はTwitterなどのSNS発信を規制していない。ただ、リスクがあることはしっかりと伝えている。「自分の発信にはチームの名前が必ずくっついてくる。そこの当事者意識をしっかり持つ。なんとなく出したことでも、すぐ消せばいいやと思ったことでも、デジタルタトゥーが残りますから。そこは自分、チームの価値を下げる発信をしないようにということは伝えています」。網野監督自身も自分のTwitterなどで発信する際、「見た人が嫌な印象を受けないような発信が大前提」だと話す。

網野監督は練習時から考えや思いを言語化することを学生に求めている

特にBリーグのクラブや選手が積極的にSNSで発信している今、セルフプロモーションの大切さを網野監督も実感している。選手としてコートの上でプレーを見せるのが第一。ただそのコートの上ではなかなか見えないようなオフの姿を見せることは、普段からチームを応援してくれている人たちへの感謝の気持ちを伝えることになるのではと網野監督は考えている。「特にコロナ禍になってから、一般の方と接する機会が制限されてしまいました。色々な制限がある中でも大会が開催されることに感謝の気持ちもありますし、それは僕だけではなく学生たちも強く感じていることだと思います」。Instagramでは特にオフの部分を発信できればと考えて動画も積極的に投稿しているが、発信の仕方やデザインなどの点で、東海大学のInstagramに学ぶところも大きいという。

「自分たちが発信する価値をしっかり学生に学んでほしい。そういう発信をすることによって、より見られているという意識が出てくるでしょうし、プライドも持てると思うんです。一人ひとりがちゃんと意識して活動していければ、必ずプラスになるものだと思います」

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