バスケ

特集:第73回全日本大学バスケ選手権

白鷗大が初のインカレ決勝へ、筑波大相手に「チーム」という分厚い一枚岩で得た逆転V

第4Q、2点ビハインドの状況で笑顔を見せる白鷗大の松下(左端)。前半は「顔面蒼白」だった松下が、後半はしっかりとメンタルを立て直し、接戦を楽しんだ(撮影・全て青木美帆)

第73回 全日本大学選手権大会 準決勝

12月11日@国立代々木競技場第二体育館(東京)
白鷗大学 62-51 筑波大学

ディフェンスで引き寄せた泥臭い逆転劇に、代々木第二体育館が沸いた。創部初のインカレ決勝進出を果たした白鷗大学の面々は、コートを離れた後も長らく勝利の雄叫びを挙げていた。

最終Qに逆転し、無得点に抑える

前半は筑波大学ペースだった。第1クオーター(Q)こそ13-13のタイスコアだったものの、第2Qはわずか6得点で19-27と水を開けられた。「全員が『勝たなきゃ、勝たなきゃ』というメンタルで挑んでしまって堅かった」とは角田太輝(4年、佐賀北)の弁。網野友雄監督も「選手たちの気負いはベンチでも伝わってきたし、主将の松下(裕汰、4年、飛龍)は顔面蒼白(そうはく)で、何をすればいいか分からないような表情だった」と同調しつつも、「大会を通して粘り強い姿勢を体現し続けられていたので、後半勝負だと思っていました」とおおらかに構えていたと明かす。

ハーフタイム、網野監督や石井悠右アシスタントコーチの発破がけと、選手たち自身による盛り上げによって、チームは「らしさ」を取り戻した。「メンバー同士で鼓舞し合ったことでコミュニケーションの緊張がほぐれ、強気の姿勢が出たと思う」と話す小室昂大(4年、宇都宮短大附属)のシュートを皮切りに、ブラ グロリダ(4年、帝京長岡)、角田、脇真大(2年、岡山商科大附属)、松下とコートに立つ5人全員が持ち味を発揮して得点を重ね、第3Q終了間際の関屋心(3年、飛龍)のフリースローで3点差に迫る。

第4Q残り46秒。勝利がほぼ確実となった時間帯でも白鷗大は激しいディフェンスを貫いた

最終Qは、チームがアイデンティティとするディフェンスが更に冴(さ)えた。杉山裕介(3年、飛龍)がボールマンにへばりつき、シソコ ドラマネ(2年、高山学園)がリバウンドをもぎ取り、小室が浮いたパスを必死に弾く。攻めては角田が積極的にアウトサイドシュートを放ち、試合時間残り4分8秒、3本のフリースローを沈めて逆転に成功。その後も白鷗大はディフェンスの強度を一切ゆるめず、筑波大をタイムアップまでのおよそ5分間無得点に抑え、62-51で歓喜の瞬間を迎えた。

網野監督「個々の能力や努力する姿勢」に見劣りはない

高校時代に全国大会の上位に進出した選手や、アンダーカテゴリー代表がほとんどいない白鷗大は、ベスト4まで勝ち上がってきたチームの中ではメンバー構成がかなり地味だ。しかし、全員で守り、全員で攻めることで「チーム」という分厚い一枚岩となり、筑波大の吉田健司監督に「白鷗大の圧に押されて消極的なプレーが続いた」と言わしめるほどに、筑波大の面々の心をくじいた。網野監督も「過去の実績で見劣りするところがあっても、個々の能力や努力する姿勢にはない」と断言する。

前半はいい形を作れていた筑波大も、後半は立て直しがきかず。「試合を通して相手の方が気持ちが強かった」と半澤凌太(中央、4年、福島南)は振り返った

何度も踏まれて強くなった“雑草集団”が12月12日15時からの決勝で相まみえるのは、6度のインカレ制覇を誇るエリート集団・東海大学。「明日ももう一度チームとして戦って優勝したい」と話す松下を中心に、素晴らしい戦いぶりに期待したい。

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