青山学院大・鶴川正也「やっと元に戻った」、関東インカレ5000m日本人トップ

• ＃第101回関東学生陸上競技対校選手権
• ＃青山学院大学

青山学院大学の鶴川正也（2年、九州学院）にとって、関東インカレ男子2部5000m決勝はリベンジをかけたレースだった。日本人トップの3位につけ、「去年と違って少しは結果を残せた」と評価。だが、得意とするラストスパートで留学生に競り負けたことに、「悔しいというよりはもっと強くなろうというだけです」と現在地に満足していない。

大学1年目は「迷惑しかかけてなかった」

鶴川は九州学院高校（熊本）時代、1年生の時から国体少年男子B3000mで優勝、アジアユース3000mで4位などと活躍し、全国高校駅伝（都大路）には3年連続で出走。特に3年生の時にはエース区間である1区で区間賞を獲得している。

ルーキーイヤーだった昨年、鶴川は4月の金栗記念5000mで13分43秒96という自己ベストで大学デビューを飾ったが、翌5月の関東インカレ男子2部5000mでは14分22秒91での16位だった。「大事なレースで初めて外してしまって、その悔しさが1年ずっと胸に残っていた」と鶴川は振り返る。

翌6月にはU20日本選手権5000mで13分57秒47をマークして優勝。その直後に疲労骨折をしてしまい、練習を再開できたのは11月末になってからだった。1年目から駅伝で活躍したいと考えていただけに、寮のテレビで見る箱根駅伝はただただ悔しかった。「本当に自分が部にいるかどうかも分からないくらい全然貢献できず、なんのために（青山学院大に）入ったのか……。故障ばかかりで、迷惑しかかけてなかったです」。チームの力になりたい。その舞台を今年の関東インカレに定め、調整を続けてきた。

決勝ではキプリモをマーク

関東インカレ2日目の5月20日には男子2部5000m予選に出場し、鶴川は14分05秒64での2着でゴール。1着だった日本薬科大学のノア・キプリモ（4年）は、初日の男子2部10000mを制した選手。そのレースで先輩の岸本大紀（青山学院大4年、三条）がラストで競り負けた姿を見て、5000m決勝ではキプリモをマークしながらラストに勝負しようと鶴川は心に決めた。

22日の男子2部5000m決勝、城西大学のヴィクター・キムタイ（1年）を先頭にした留学生の集団が前に出ると、鶴川は続く第2集団の先頭につけ、すぐ後ろには東京国際大学の山谷昌也（4年、水城）と白井勇佑（2年、仙台育英）や同じ青山学院大の目片将大（青山学院大4年、須磨学園）などが続いた。3000mを過ぎてから再び大きな集団となり、キプリモを先頭にしてレースが進んだ。

ラスト1周を前にして白井が一気に前へ。バックストレートでキプリモが白井を捉え、そのキプリモのあとを鶴川が追う。しかしその差は開いていき、最後の直線ではキムタイに抜かれての3位でフィニッシュした。

充実の夏を経て、初の学生駅伝へ

ラストスパートで先頭を捉えられる位置にいたという意味では、鶴川が得意とするレース展開ではあった。「勝負をして（留学生2人に）負けたのでそれほど悔いはない」と鶴川は言い切った。ただ、ラスト1週前の位置取りで力を消耗したことは反省点として残り、ラスト200mからのキレは今後の課題と捉えている。

鶴川が何度も口にしたのはチームへの思い。「関東インカレで絶対結果を残し、チームのために少しでも力を発揮したいと思ってやってきたので、またここから切り替えていきます」。選手層が厚い青山学院大では、5000mで13分台や10000mで28分台の記録を持っていても、駅伝メンバーに入れていない選手は多い。鶴川は6月からのホクレン・ディスタンスチャレンジで5000m13分20秒台を狙い、夏に走り込んだ上で、自身初の学生駅伝を目指す。

かつてない悔しさを味わったレースから1年。今大会で日本人トップを勝ちとり、自信を取り戻したかという言葉に、鶴川はただ「やっと元に戻った」と答えた。