黒田朝日「勝って当たり前」の青山学院大で強くなる、三浦龍司と対等に戦える選手に
第101回関東学生陸上競技対校選手権大会 男子2部3000mSC決勝
5月22日@国立競技場(東京)
1位 佐竹勇樹(大東文化大3年)8分45秒75
2位 青木颯(湘南工科大3年) 8分48秒56
3位 黒田朝日(青山学院大1年)8分49秒44
4位 大吉優亮(帝京大3年) 8分51秒06
5位 上野航平(中央学院大4年)8分51秒09
6位 溝口泰良(創価大3年) 8分52秒84
7位 内田賢利(立教大3年) 8分54秒36
8位 後閑将太(上武大4年) 8分56秒50
関東インカレ最終日の5月22日、男子2部3000m障害(SC)決勝が行われ、青山学院大学ルーキーの黒田朝日(玉野光南)は8分49秒44での3位だった。「狙っていたのが優勝だったので、最後の最後で刺し切られて負けてしまったのは反省点ですし、悔しいところがある」と淡々とコメントした。
ラスト1000mで一気に前へ
5月21日の男子2部3000mSC予選で黒田は最初から先頭でレースを展開し、8分51秒69での1着で翌日の決勝へと駒を進めた。目指すは優勝のみ。決勝ではラスト1000mからペースを上げていくレースプランを思い描いていた。
決勝で黒田は集団の中ほどからレースを進め、最初の1000mは2分53秒。立教大学の内田賢利(3年、駒大)が集団の先頭に上がり、後続ランナーを引き離していく。2000mを前にして黒田がペースを上げ、2000mでは内田を先頭に1000mを2分57秒ペースで入ったが、その直後に黒田が内田を一気に抜き去る。
先頭に立った黒田はそのままグングン加速し、独走態勢に入った。しかしラスト1周で足の限界を感じ、思うようにペースが上がらない。最後の水濠では足が合わず失速。ホームストレートに入る前に大東文化大学の佐竹勇樹(3年、比叡山)につかまり、ゴールの直前に湘南工科大学の青木颯(3年、金井)にかわされての3位でゴールした。
一番学生で強いチームに入って自力を上げる
黒田は4月23日の日体大記録会1500m(3分52秒78)で初めて青山学院大のユニホーム着用し、2戦目が今回の舞台だった。鮮やかなフレッシュグリーンに、「これを着るとやっぱり大学生という、ひとつランクが上がった位置に来たなと実感しています。青山学院を背負って走ることになるので、名前に恥じないようにしっかり勝っていきたいです」と気持ちを引き締めた。
黒田は玉野光南高校(岡山)3年生だった昨年6月のU20男子3000mSC決勝で、順天堂大学の服部壮馬(2年、洛南)に次ぐ2位となり、8分39秒79と高校歴代2位の記録をマーク。高校歴代1位とU18日本記録は三浦龍司(順天堂大3年、洛南)が持つ8分39秒37、その差は0.42秒だった。
大学へ進むにあたり、3000mSCにも力を入れている大学に進む道もあったが、「最初から(トラックレース)1本でいくということはあまり考えてなくて、駅伝に出たいというのはありました。それで、一番学生で強いチームに入って自力を上げていきたい」と、青山学院大を選んだ。練習に合流してからはスピード練習や少しずつ距離を踏む練習をしており、3000mSCの練習はあまりできていない。今大会でのレースでも跳ぶ感覚が鈍っているのを実感したという。「単純に練習不足と、3000mSCへのもっていき方がちょっと良くなかったかな」
3000mSCの感覚を取り戻し、ラストのキレを磨く。その先に見すえるのは三浦が持つ日本記録(8分9秒92)。目標とする三浦と対等に戦えるだけの力を、この大学4年間で蓄える。
1年目は駅伝に出ることを目標に
黒田の父・将由さんは法政大学で3度箱根駅伝を走り、1年生の時には1区区間3位で現・駿河台大学の徳本一善監督と襷(たすき)をつないだ選手。また、黒田は昨年のインターハイ3000mSCでボニフェス・ムテチ(当時・仙台育英高3年)に次ぐ2位だったが、将由さんは同じく玉野光南高時代に3000mSCでインターハイを制している。そんな元実業団選手の将由さんは多くを語ることなく、黒田の自主性に任せて見守ってくれている。今大会のレースについても、黒田は「家族はライブ中継を見ていると思うので」と言い、頑張っている姿を見せたいと思いながらレースに臨んだそうだ。
駅伝で希望する区間を問われても、「あまり考えたことはないんです」と返す黒田だが、「大学だったら駅伝に出てなんぼだと思っているので、出ることを目標としてやっていきたいです」と言い、1年目から学生3大駅伝を目指す。選手層が厚い青山学院大では部内競争も熾烈(しれつ)だが、「僕よりも全然、力をもっている先輩がたくさんいらっしゃるので、まずはそこに追いつけるように力をつけて、1年生だからではないですけど、気楽に、そういう感じで駅伝シーズンに向かっていきたいです」
あのトップを独走するような積極的なレースを見せた黒田にしては、いささか控えめな言葉のように感じたが、言い切った言葉もある。
「青山学院はやっぱり勝って当たり前というのが一番大きいイメージで、今回は負けてしまったけど、勝っていけるような選手になっていきたいです」