陸上・駅伝

青学大・岸本大紀「1年目だけじゃないことを見せたい」駅伝で区間賞・日本人トップを

岸本はラストイヤー、トラックシーズンから結果を出し続けている

2020年1月2日、お茶の間を騒がせた1年生がいた。新潟県立三条高校から青山学院大学へ入学した岸本大紀。だが2年目、3年目は度重なるケガに苦しんできた。ラストイヤーを迎えた青山学院大のエースは今、トラックシーズンから力を見せつけている。

青山学院大・岸本大紀が10000mで日本人トップ「パワーアップした自分」を見せる

原監督体制では初の2区を走る1年生

岸本は1年生の時に出雲駅伝2区区間賞で大学駅伝デビューを飾り、続く全日本大学駅伝でも2区で区間新記録での区間5位。迎えた1月2日箱根駅伝、岸本は各校のエースが集う2区に抜擢(ばってき)され、原晋監督体制では2区を走る初の1年生となった。

岸本(手前)は出雲駅伝で大学駅伝デビューを飾り、区間賞を獲得した(撮影・安本夏望)

1区から7位で襷(たすき)を受け取ると先頭とは18秒差であったが、1km過ぎで先頭集団に追いついた。その後、レースは膠着(こうちゃく)状態になる中、岸本は冷静な走りで先頭集団の最後尾にいた。戸塚中継所手前残り500mでスパートをかけて集団の先頭に立ち、1位で襷リレー。1時間7分3秒で2区を走った日本人ルーキーの史上最高タイムで走破した。

苦しい思いをした2、3年目

華々しいデビューを飾った1年目とは裏腹に、2年目はケガで苦しいシーズンとなり、駅伝未出走に終わった。3年生でも、ケガから完治し、またケガをするなど悩まされたシーズンだったが、全日本大学駅伝3区で駅伝再登場。先頭から1分13秒差で襷を受け取ると自分のペースで坦々と刻む。2区で10位に後退してしまったチームの悪い流れを断ち切る快走で、日本人トップの区間3位と復調を見せた。

昨年の全日本大学駅伝で、岸本は復活の走りを見せつけた(撮影・藤井みさ)

全日本大学駅伝後に再びケガが再発。3週間ランニングができず、思うように練習を積められていなかった。しかし、箱根駅伝では7区に当日エントリー変更で出走。1位で襷を受け取り、区間賞の走りで2位に1分33秒も差をつけ、大会新記録での往路優勝・復路優勝・総合優勝というチームの完全勝利に貢献した。

トラックで次々と自己ベストを更新

最後の年となった今年、岸本は前半シーズンから絶好調を見せている。4月9日の第4回絆記録会にて5000m13分50秒62と自己ベストを記録。さらに4月23日第294回日本体育大学長距離競技会では10000mを28分23秒71と自己ベスト。1年生の時に記録した28分32秒33の記録を約10秒ほど大幅に更新した。

好調を維持して臨んだ5月19日に行われた関東インカレでは、「自分でも調子がいいと思っている」と満を持して男子2部10000mに出場した。前半から積極的に前でレースを進め、常時動きに対応できる位置にいた。留学生や強豪校の選手が多数出場している中、28分28秒94で日本人トップの2位。「きつくなったのは残り2周切ってから」と岸本は振り返り、好調の要因を「今年は、4年生として走りの結果で見せていくと目標を立てているから」と分析する。

「チームのエース」として駅伝でも結果を

関東インカレから2週間ほどで挑んだ日体大記録会5000mでは、13分37秒96と再び自己ベストを大幅に更新。ロードで強さを見せつけてきた岸本は今年、トラックでも結果を出し続けている。

岸本自身、チームのみんなから期待されているということを認識しており、練習でも先頭で引っ張る姿が多々見受けられる。出雲駅伝と全日本大学駅伝に関しては希望区間は特にないものの、任された区間を走り、「区間賞」を狙う。箱根駅伝では1年生の時に走った2区に再登場し、「日本人トップ」のタイムで走り、「1年目だけじゃないことを見せたい」と意気込む。

最後の箱根駅伝では1年生の時のような快走を2区で見せたい(右が岸本、撮影・安本夏望)

青山学院大の優勝には岸本の力が不可欠であり、本人も「チームのエースという自負がある」と言い切った。前半シーズン絶好調だった岸本。夏合宿を充実させ、駅伝シーズンに向けて視界は良好だ。

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