陸上・駅伝

特集:第99回箱根駅伝

東京国際大は箱根駅伝往路優勝、総合3位が目標 大志田秀次監督「本来に戻ってきた」

笑顔を見せる16人のエントリーメンバー(すべて撮影・藤井みさ)

前回の箱根駅伝では過去最高タイの5位だった東京国際大学。今シーズンは3大駅伝で優勝争いに絡んでくると予想されていたが、主力のけがなども影響し、出雲駅伝では8位、全日本大学駅伝では11位と苦しい戦いとなっている。だがここへきて主力が戻り、「往路優勝、総合3位以内」の目標に向け、選手たちは着々と準備を進めている。

主力のけがや出遅れが影響し、苦しんだ秋シーズン

東京国際大は昨年の出雲駅伝で初出場初優勝という快挙を成し遂げた。当時のメンバーは全員3年生以下だったため、6人全員が残ることになり、今年も優勝候補の一角に挙げられていた。しかし昨年の優勝メンバーのうち、山谷昌也(4年、水城)とイェゴン・ヴィンセント(4年、チェビルベルク)はけが、主将の宗像聖(4年、学法石川)、昨年ルーキーながら快走した佐藤榛紀(2年、四日市工)もメンバー外に。「新しいチームで臨んだという感じでした」と大志田秀次監督は振り返る。

1区で流れに乗れなかったという反省から、11月の全日本大学駅伝では1区に冨永昌輝(2年、小林)、2区に丹所健(4年、湘南工科大付)と期待できる選手を置いた。だが、ヴィンセントはここでも欠場。大志田監督によると、この時は、個々人の練習消化率もあまり良くなかったという。結果的に冨永が区間16位と出遅れ、その後も流れに乗り切れぬまま、シード権を逃した。

昨年初出場初優勝を飾った出雲駅伝では8位だった

例年なら全日本大学駅伝の後は、10000m記録挑戦競技会や日体大記録会に選手をエントリーさせて記録を狙うが、それをすべてキャンセル。11月20日から27日まで、富津で1週間の合宿を行った。合宿は本来、トラックレースに出ながらその休息も含めてという意味合いだったが、逆にじっくりと距離を踏み、強化する目的に切り替えた。「結果的によかったかなと思います。合宿での取り組みが生きてきて、ヴィンセント、山谷も戻ってきた。本来のチームのスタイルに戻ってきたなという感じがあり、期待しています」と話す。現時点での山谷の調子は7〜8割、ヴィンセントは8〜9割戻ってきている状態だという。

チームは「本当の力」をつける段階に

大志田監督がゼロからチームを作り上げて12年目。はじめは箱根駅伝出場を目標にし、次は常連校へ。その時々のチーム力に合わせて、練習の強度や走行距離なども変えてきた。昨年は練習の質を上げたいという目的があり、スピード練習を多くし、全日本大学駅伝が終わった後から距離を踏み直した。ただ今年は、夏から質も量も上げたメニューに取り組んだ。夏合宿中の30km走は1回から3回に。20km走のペースもさらに上げた。

「学生たちも苦しんでいましたが、練習の消化率は良かったと思います。ただ、合宿から戻ってきてから練習量を増やした影響もあり、疲れが抜けず『なんかしっくりこない』という声も学生から出ていました」。そのため合宿後は選手の状態を見ながら日々の練習を変更したりなどして取り組んでいた。

ヴィンセントがどれぐらい走れるかも、チームの順位に直結してくる

質も量も増やす練習を行ったということは、チームをさらにレベルアップさせたかったからでしょうか? と尋ねると、大志田監督は「昨年は走行距離が足りない影響もあり、全日本大学駅伝では6区終了時点で1位に立っていたものの、7、8区の長距離区間で逆転されました。長い距離を走れる選手を増やしたかったというのがありますね」とまず答えた。

さらに過去3回の箱根駅伝で5位、10位、5位だったことにも触れ、「(上位に)定着とは言わないまでも、トップになれるチームに変わってきたと思っています。(レースの中で)トップになった時に、それをいかに持続するか。本当の力をつけていかないといけない段階だと思っています」と意図を語る。今年は大志田監督が選手たちに「優勝を目指そう」と言ってきたが、結果を出すというよりは、まずいい状態を作ってあげること、選手の力を発揮させる状態を作ることを重視していると話した。

序盤から流れをつかみ往路優勝を

16人のエントリーメンバーのうち、4年生は6人。このうちヴィンセントとルカ・ムセンビ(4年、仙台育英)の留学生は、どちらかしか出走できないため、走れるのは5人だ。他は3年生が3人、2年生が6人、1年生が1人というエントリー。大志田監督は特に2年生の勢いに期待している。「スカウトした中でも、もともと持ちタイムがいい選手が多い学年です。今回6人がメンバーに入りましたが、あと3人入ってもおかしくないぐらいでした。いまの4年生と、次世代を担う彼らがいいミックスだと思います」。そして来年最終学年となる3年生にもさらなる奮起を期待している。

具体的な区間に関しては、山谷にはすでに「1月2日の8時にスタートできるように準備しよう」と話しているといい、1区での起用はほぼ確実だ。2区には横浜市戸塚区出身の丹所が、並々ならぬ思いを抱いている。本来は前回も2区を丹所で考えていたというが、本人から「自信がない」という思いも聞いて3区に配置した。「このまま調子が大きく崩れなければ2区だなと思います。駅伝は序盤の流れが大事なので、丹所、ヴィンセントの調子も見つつ、その時に適切なオーダーを組んであげたいなと思いますね」

期待の2年生のうち、白井勇佑(2年、仙台育英)も往路での起用が濃厚だ。「来年のエースになるように、厳しいところで使う」と本人にも伝えており、3区や4区などを視野に入れている。

山上りの5区では、昨年の経験者である倉掛響(2年、小林)がエントリーメンバーから外れた。代わりに候補となるのは楠木悠人(2年、小林)と川端拳史(3年、須磨学園)の2人。これまでの学内記録である72分55秒を目標に選手の頑張りを期待する。6区は前回も走った林優策(3年、滋賀学園)がふたたび担うことが濃厚。前回は59分33秒で区間13位だったが、58分台で走り切ることができれば、その後に流れを作れると考えている。

選手たちと対話をしながら導いている大志田監督

箱根駅伝まで残り3週間ほどに迫ったが、それは同時に4年生との別れまでの時間を意味する。今年の4年生は実業団に進む選手も多い。彼らには実業団での話をできるだけして、これから向かう世界につながるような話をしているという。「物事には失敗はなくて、すべて経験です。ダメだった時にどう立ち上がるかがすごく大事だと考えています。学生生活で習ったことを社会に出てから生かせるようにと話をしていますね。まずは彼らの人生の中での『第99回箱根駅伝』をしっかりと走らせるようにしてあげたいと思います」

選手の力がかみ合えば、上位をうかがう力が十分にあるチーム。年始にどのような戦いを見せてくれるだろうか。

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