ラグビー

リーグワン最速デビューは、早稲田大・小西泰聖 病気から競技に復帰し、ちょうど1年

今春卒業する学生の中で最も早いリーグワンデビューとなった小西(すべて撮影・斉藤健仁)

NTTジャパンラグビー リーグワンディビジョン2第5節

2月11日@駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場 (東京)
浦安D-Rocks 64-26 釜石シーウェイブスRFC

大学4年生がリーグワンでデビューを果たした。

2月11日、「NTTジャパンラグビー リーグワン」のディビジョン2の試合が東京・駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場で行われ、浦安D-Rocks(以下浦安)が釜石シーウェイブスに64-26で快勝し、5連勝を達成で首位をキープした。

この試合で、選手の育成と強化を目的として今季から始まった大学最終学年アーリーエントリー制度を利用して浦安に入団し、すでに選手登録されていた早稲田大学4年のSH小西泰聖(桐蔭学園)が後半18分、新人ながらキャプテンのSH飯沼蓮に代わって途中出場を果たした。「最初、緊張しましたがその後は吹っ切れて楽しくラグビーできました!」と振り返った。

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トレーニングを頑張った自分を褒めたい

2シーズン前の早明戦で対戦し、現在はチームメートのキャプテン飯沼は「(小西は)大学時代から知っていていいプレーヤーだし、努力する性格だし、良い刺激になっている。2人で切磋琢磨(せっさたくま)して成長して、チームが強くなれば一番いい」と話した。

アーリーエントリーは1月8日の大学選手権決勝後に、選手登録などを済ませた大学4年生の選手が出場できる制度で、2月8日までに49人(ディビジョン1が33人、ディビジョン2が11人、ディビジョン3が5人)の大学4年生の選手が登録されていた。

そんな中、「自分はラグビーが好きなのでアーリーエントリーを選んだ」という小西は卒業旅行に行かず、大学選手権終了から1週間後の1月20日ごろからチームに合流。普段の練習や練習試合からスピードと持ち前の球さばきでアピールし、メンバー入りを勝ち取った。

アーリーエントリーが始まった今季、大学4年生の選手の中で最も早いリーグワンデビューを飾った。小西は「一番とか関係なく、早く試合に出たい思いがあり、トレーニングしてきましたし、その結果、(リーグワン)デビューできたので、チームに合流してきてからトレーニングを頑張ってきた自分をシンプルに褒めたいですね!」と破顔した。

トレーニングの成果はうそをつかなかった

テーピングに描かれた「笑顔マーク」の意味

小西は大学在学中、病気のために1年半ほどラグビーから遠ざかった時期があった。一時は「ラグビーを大学でやり切るという考えもあった」と話す。そして、ちょうど試合の365日前、病からラグビーに復帰したという。

「(復帰して)1年経ってみたら、日本の最高峰でラグビーできているのはすごいことだし、幸せなことだし、これまで出会った人に感謝したい。病気の2年間があったから、今が楽しい」

リーグワンデビュー戦ということで、両親や早稲田大ラグビー部の同期が応援に来ていたという。小西はそんな大事な試合で、左手首のテーピングに「笑顔マーク」を描いて試合に臨んでいた。

左手首に「笑顔マーク」を描いてデビュー戦に臨んだ

「中高大とずっとラグビーをしていて、チームの責任や文化を背負う比率が大きくなってしまったので、(病気から復帰し)もう一度ラグビーを始めるとき、母親から『もう1回、ラグビーを始めたときの楽しむこと思い出しな。笑顔と感謝を忘れずに』と言われたので(描いている)」と説明してくれた。

また浦安には日本代表歴のある選手たちや、元スコットランド代表SHグレイグ・レイドローなど国際的な選手も多く在籍している。小西は「グレイグはワールドカップ見て、かっこいいなと憧れた選手でしたし、そういった選手と一緒にできて不思議な感覚ですがうれしい。試合に出るためには(そういった選手に)勝たないといけないので、毎日が充実しています!」と語気を強めた。

選手としての目標は、日本代表となり「4年後の2027年ワールドカップに出場すること」と話していた小西。まずはSHレイドロー、飯沼と切磋琢磨し、個を成長させて、浦安の勝利に貢献したい。

大学時代、一時は「(病気のために)ラグビーがなくなり、奪われた形となり、ラグビーを止めよう」とまで考えた小西のリーグワンでのチャレンジはまだ始まったばかりだ。

飯沼(左)と高め合い、成長を誓う

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