法政大学・高橋慶帆 競技7年目の「龍神」選出は成長の通過点 高さを武器に世界へ
4月7日、2023年度の「龍神NIPPON」登録メンバーが発表された。そこに大学生選手として名を連ねたのが、法政大学のエース・高橋慶帆(けいはん、2年、習志野)だ。昨年はアジアU20(ジュニア)男子選手権代表に選出され、全試合にスタメンで出場した逸材。一気にトップチームからの選出をたぐり寄せ、更なる活躍が期待されている。
「びっくりした」トップチーム選出
高橋がバレーボールを始めたのは中学2年生の時。元々はサッカーをやっていたが、ケガの影響もありバレーボールの世界へ。競技歴わずか7年目という短さだが、高校時代にはインターハイや春高バレーを経験。昨年は世代別の日本代表でプレーするなど、大舞台の経験は豊富だ。ただトップチーム選出は「正直、びっくりしました。選ばれるとは思っていなかったので」と振り返る。「前回もフランス遠征のメンバーに選んでいただいたりして、また今回外国の選手たちと戦う機会をいただけたのでチャンスだと思って挑んでいきたいです」と気合十分だ。
高橋は以前のインタビューで、将来の夢について「日本代表になり世界と戦うこと」と答えていた。その夢を目前にした今回の代表活動では、色々な選手とチーム内でコミュニケーションをとりたいという。「選手から話を聞いて学ぶことがあると思うので。周囲の選手を見て、話を聞いて、自分の力にしていきたいなと思います」。その言葉からは、強い向上心が感じられる。自チームでも常に周囲とのコミュニケーションをとる姿が見られ、代表チームでもその姿が変わらないことに期待したい。
武器はジャンプ力とブロック
高橋の武器はなんと言っても「ジャンプ力とブロック」である。身長194cm、最高到達点357cmの高さは、間違いなく代表トップクラスだ。リーグ戦でも相手ブロックより高い位置からのスパイクで得点を量産し、大車輪の活躍を見せている。
もう一つの武器で、本人が「最も自信がある」と語るブロックの原点は、習志野高校時代に築かれた。現在の高橋のポジションはオポジットだが、高校2年生まではブロックの技術が求められるミドルブロッカーとしてプレーしていた。習志野高校はブロックが伝統のチームであり、ブロック力は高校時代に磨かれたと言っていい。
また高橋は「もっと速いトスが来た時でも自分が1対1で勝負できるようなブロックをつくっていきたい」と、更なるレベルアップへ向けて目標を語った。日本が世界と対峙(たいじ)したとき、ブロックが機能するかは重要なポイントとなる。高橋の高いブロックが世界にどこまで通用するのか注目だ。
ライバルから吸収し、自分の力に
「龍神NIPPON」で同じポジションを争うライバルには西田有志(ジェイテクトSTINGS)、宮浦健人(ポーランド・ニサ)といった世界で活躍する選手たちがいる。ライバルであり見本でもある2人に聞きたいことを尋ねると、「オポジットはブロック、攻撃が中心になるので、どうしても自分にトスが上がる本数が多くなる。そんな状況での点の決め方だったり、両選手ともに幅広い得点のパターンがあるのでそういう点をどのように考えてやっているかだったり、サーブを打つ時の考えなどを聞いて自分の力にしていきたいと思う」と答えてくれた。
今回の代表には、高橋と同じく昨年のU20代表である西山大翔(パナソニックパンサーズ)、甲斐優斗(専修大学2年)も選出された。同じチームで戦った2人について、「2人とも打点が高い選手なのでいい刺激になると思う。ただライバルと言うよりかは一緒に高めあっていきたい」と語る。2003年世代の若き力が、レギュラー争いに新たな風を吹き込むかどうか見ものだ。
名門復活へ、真のエースへ
法政大バレーボール部は現在、関東リーグの2部に所属。2015年秋を最後に1部から遠ざかっている。しかし、もともとは全日本インカレ優勝10度を誇る名門校で、復活が望まれている。
今年の目標にはもちろん「1部昇格」を掲げる。昨年は高橋の加入もあり春季リーグ3位。1部チームとの入れ替え戦には進めなかったものの、好成績だった。しかし秋季リーグはまさかの7位。高橋は代表活動の影響もあってリーグ戦に出場できなかった試合があり、悔しいシーズンとなってしまった。名門復活へ、エースとして「上がってきたボールは全部決める」と高橋は覚悟をにじませる。チームの期待を一心に背負い、プレーで引っ張る「真のエース」になることを期待したい。
高橋は代表での意気込みを次のように述べた。「今まで応援してくださった方々がたくさんいたからここまで成長できましたし、そういう意味では感謝の気持ちを持ってプレーしていきたいなと思います。あとは自分が持っている力をしっかり出せるように頑張れたらいいなと思っています」。多くの人々への感謝を胸に、高橋の挑戦は続く。