陸上・駅伝

日体大・小林美月 棒高跳びでU20日本選手権連覇 入学後、自己ベスト13cm更新

U20日本選手権女子棒高跳びで連覇を果たした小林(すべて撮影・西岡臣)

第39回U20日本選手権 女子棒高跳び

6月3日@ヤンマースタジアム長居(大阪)
1位 小林美月(日本体育大1年)4m00
2位 岡田莉歩(佐久長聖高3年)4m00
3位 吉澤珠理(日体大柏高3年)3m80

6月3日にヤンマースタジアム長居(大阪)で行われた陸上のU20日本選手権女子棒高跳びで、日本体育大学の小林美月(1年、明星学園)が優勝を果たした。「絶対に2連覇をするんだという強い気持ちで臨みました」。決して万全な状態とは言えなかったが、ルーキーには勝ちきる「心技体」の強さが備わっていた。

「ポールを変えたらいける」と大会記録更新に挑戦

この日、小林の最初の跳躍は3m60。1回目を失敗し、2回目で成功した。自己ベスト4m13を持つ小林にしては珍しいミス。練習の跳躍では思い切っていけたというが、試合が始まると「2連覇というプレッシャーを自分にかけてしまった。安定を求めて思い切っていけず、流れは良くなかった」。ただ、これでずるずる引きずらないのが小林の真骨頂だ。3m80と3m90、そして、4m00をすべて1回目の跳躍でクリアした。トップを争っていた佐久長聖高校(長野)3年の岡田莉歩は4m00を3回目で成功したが、続く4m05を3回とも失敗。この時点で試技数が少ない小林の優勝が決まった。

その後、小林が挑戦したのは大会記録(4m11)を1cm上回る4m12。「内心では、あまり動けてなかったので厳しいかなと思っていた」というが、2回目は惜しい跳躍となった。3回目はポールを14-125から14-130にして、より硬いものに変えた。小林は2回目の手応えから「ポールを変えたらいける」と臨んだが、助走に勢いがなく失敗に終わった。小林は「後半にばててしまって、跳躍に持っていけなかった。一番やってはいけない悪いところが出てしまいました」と反省。そのうえで、「2連覇できたことはほっとしています」と笑顔も見せた。

最初の跳躍(3m60)の1回目で失敗したが、その後は立て直した

直前まで風邪気味で、左太ももに違和感も

大会前のコンディションは良くなかった。大会直前まで風邪気味で、頭痛がひどく、声も出ないような状態だったという。さらに、左太ももに違和感があったといい「思いっきり走ったら怖いな」と感じていたという。ただ、風邪は大阪入りした5月31日までに回復。さらに、悪天候で競技日程が1日後ろにずれたことによって、左太ももの違和感もほぼ解消された。

昨年は全国高校総体(インターハイ)で大会記録に並ぶ4m00で初優勝を飾った。日体大に進学した今年も1年生ながら好結果を残し続けている。4月の日本学生個人選手権では4m13を3回目で成功し、自己ベストを一気に13cmも更新。3位に入った。5月の関東インカレでは大会記録を1cm上回る4m06を跳び、学生個人で敗れた大学の先輩、台信愛(だいのぶ・めぐみ、4年、中間)らを抑えて頂点に立った。

学生個人は3位、関東インカレは優勝。大学で早速実績を残している

小学6年生の頃から日体大で練習

大学では父の史明さんから直接指導を受けている。史明さんも自己ベスト5m71の記録を持つ棒高跳びの選手で、元日本記録保持者だ。試合のときは史明さんを「先生」と呼ぶというが、普段の練習では「普段のお父さんと話すような感じで練習中も会話している」。小林は小学6年生の頃から日体大で練習していたといい、他の選手たちも史明さんとの関係性を理解してくれているため、「周りからも特に気にされていない」という。

史明さんは今回の跳躍をどう見たのか。試合後は「とにかく後半走れていなかったね」と言われたというが、すぐに「よくやったよ」や「おめでとう」と言いながら拍手してくれたという。小林は「自分は悔しかったんですが、(史明さんが)よかったと言ってくれたので、まぁいいかって」と笑いながら明かしてくれた。

絶好調の1年生は「今年中に4m20を跳ぶ」ことを目標にしている。U20日本選手権が行われていた隣では、文字通り「日本一」を決める年齢制限がない日本選手権が同時開催されていた。小林は「結果的に2連覇できましたけど、そっちに出たかったなというのはありました。来年は日本選手権に出て戦いたいと思います」と力強く宣言した。

今年の目標は4m20。自己ベストの7cm更新をめざす

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