陸上・駅伝

特集:第55回全日本大学駅伝

全日本大学駅伝、主要チームの監督が展望や戦略語る 当日変更の配置・暑さ対策は?

記者会見に臨んだ6校の監督たち(撮影・長島一浩)

11月5日に開催される第55回全日本大学駅伝を控え、レース前日の4日、監督会見が行われた。今回は駒澤大学・藤田敦史監督、國學院大學・前田康弘監督、青山学院大学・原晋監督、順天堂大学・長門俊介監督、創価大学・榎木和貴監督、中央大学・藤原正和監督の6人が出席。3日に発表された区間エントリーを見ながら、各校の戦略や展望を語った。レースは午前8時10分スタート。

駒澤大学「7、8区には絶対的な自信」

2年連続の学生3大駅伝「三冠」を目標に掲げ、10月の出雲駅伝では1区から一度も先頭を譲らずに優勝を果たした駒澤大学。全日本は「二冠目」に加え、4連覇もかかっている。出雲の後には、それまで出遅れていた選手が戻ってきたといい、藤田監督は「出雲の時よりも選手層は厚い」と自信をのぞかせた。

区間エントリーについては「7区の鈴木芽吹、8区の山川拓馬には絶対的な自信を持っている。間違いなく前に押し上げてくれる走りをしてくれる」と期待を寄せ、当日変更も「少なからず1名はする」と明かした。

大会4連覇を狙う駒澤大の藤田監督(以降はすべて撮影・藤井みさ)

1区 赤津勇進(4年、日立工)
2区 佐藤圭汰(2年、洛南)
3区 小山翔也(1年、埼玉栄)
4区 赤星雄斗(4年、洛南)
5区 伊藤蒼唯(2年、出雲工)
6区 花尾恭輔(4年、鎮西学院)
7区 鈴木芽吹(4年、佐久長聖)
8区 山川拓馬(2年、上伊那農)

補員 白鳥哲汰(4年、埼玉栄)
   安原太陽(4年、滋賀学園)
   篠原倖太朗(3年、富里)
   庭瀬俊輝(3年、大分東明)
   安原海晴(1年、滋賀学園)

國學院大學「ストップ駒澤一番手」

前回大会はチームとして歴代最高の2位に入り表彰台に上った國學院大學の前田監督は、会見で「ストップ駒澤一番手」と力強く語った。「駒澤大学にチャレンジするという気持ちを常に持つ。『3番でうれしい』という大学ではない」。区間配置は前半にも後半にもエース格を集めない「バランス型」。山本歩夢や前回5区区間賞の青木瑠郁らが登録されている補員については「中盤(区間)での変更も考えていますし、1名以上は変える予定です」と話した。

バランス型のオーダーを組んだ國學院大の前田監督

1区 後村光星(1年、仙台育英)
2区 瀬尾秀介(4年、市橘)
3区 上原琉翔(2年、北山)
4区 佐藤快成(3年、埼玉栄)
5区 野中恒亨(1年、浜松工)
6区 嘉数純平(2年、北山)
7区 平林清澄(3年、美方)
8区 伊地知賢造(4年、松山)

補員 山本歩夢(3年、自由ケ丘)
   青木瑠郁(2年、健大高崎)
   鎌田匠馬(2年、東海大山形)
   高山豪起(2年、高川学園)
   田中愛睦(1年、八千代松陰)

青山学院大学、当日変更で佐藤・太田・若林を起用

青山学院大学の原晋監督は、今年のチーム作りと状態を建物にたとえた。「マンションの建設もそうなんですけども、何事も土台が大切。夏合宿に私どもはしっかりと土台を作って、そこにスピードトレーニングを加えて、調整してきました。この大会にベストメンバーで臨めることをチームとしてうれしく思っております」。補員としてエントリーされている佐藤一世、太田蒼生、若林宏樹の3人を当日変更で出走させることを明らかにし「例年にない高温なので、7、8区で後ろから猛追することは難しい。先頭から30秒離されると優勝はないと思っていますので、30秒以内でレースが進むように努力したい」。

佐藤、太田、若林の3選手を当日変更で起用する方針を明らかにした青山学院大の原監督

1区 宇田川瞬矢(2年、東農大三)
2区 黒田朝日(2年、玉野光南)
3区 神田大地(2年、東北)
4区 小原響 (4年、仙台二華)
5区 山内健登(4年、樟南)
6区 荒巻朋熙(2年、大牟田)
7区 平松享祐(1年、中部大一)
8区 田中悠登(3年、敦賀気比)

補員 佐藤一世(4年、八千代松陰)
   太田蒼生(3年、大牟田)
   若林宏樹(3年、洛南)
   塩出翔太(2年、世羅)
   鳥井健太(1年、清風)

順天堂大学、手堅くシード権獲得を狙う

今年の出雲駅伝では、関東勢の中で最も低い10位に終わった順天堂大学。長門俊介監督は全日本の関東地区選考会が例年6月に開催されることに触れ「(同じ時期に行われる)日本選手権に出る選手もいるので、選考会は避けたい」という思いを口にした。主将の三浦龍司も「後輩たちにシード権を残して、トラック期間はトラックのレースに集中できるような状況を作りたい」と語っているといい、手堅くシード権の獲得を狙う。前半の4区間で5位以内をめざし、スーパールーキーの吉岡大翔は当日変更で前半区間を任せる予定だという。

順天堂大の長門監督は手堅くシード権獲得をめざす

1区 斎藤舜太(4年、桐生)
2区 三浦龍司(4年、洛南)
3区 海老澤憲伸(3年、那須拓陽)
4区 村尾雄己(2年、佐久長聖)
5区 堀越翔人(3年、前橋育英)
6区 森本喜道(2年、小豆島中央)
7区 石井一希(4年、八千代松陰)
8区 浅井皓貴(3年、豊川)

補員 藤原優希(4年、水島工)
   油谷航亮(3年、八千代松陰)
   服部壮馬(3年、洛南)
   児玉空琉(2年、浜松日体)
   吉岡大翔(1年、佐久長聖)

創価大学「中盤から後半にかけて先頭に」

創価大学の榎木和貴監督は前回初出場の全日本でシード権を獲得し、今年の関東地区選考会を免除されたことが、10月の出雲駅伝2位の好結果につながったと分析した。「上期シーズンはスピード駅伝に対応できるような強化に取り組んできました。幸いにも5000m13分台を14名の選手がクリアできました」。区間配置は、絶対的なエースが不在の「バランス型」。出雲で4区区間賞の山森龍暁を2区に置けたことが強みだという。「どこをとっても安定した走りができるオーダーを組んでます。前半は先頭の見える位置で耐える。中盤から後半にかけて、先頭に立ちたい」

前回の全日本の結果が、出雲での好結果につながったという創価大の榎木監督

1区 桑田大輔(4年、八頭)
2区 山森龍暁(4年、鯖江)
3区 石丸惇那(2年、出水中央)
4区 齊藤大空(1年、利府)
5区 小暮栄輝(3年、樹徳)
6区 山下蓮 (2年、鎮西学院)
7区 スティーブン・ムチーニ(1年、ミクユニ)
8区 吉田凌 (3年、学法石川)

補員 志村健太(4年、関西創価)
   吉田響 (3年、東海大静岡翔洋)
   織橋巧 (1年、中京)
   川上翔太(1年、市船橋)
   小池莉希(1年、佐久長聖)

中央大学、吉居大和は「かなりいい状態」

10月の出雲駅伝ではWエースの一人、吉居大和が出走せずに7位だった中央大学。藤原正和監督は「かなりいい状態」と3区に配置した。「駒澤さんの壁は高いという話を学生たちともしましたが、それ以上に『できるだけ背中を見せたい』ということを学生から言ってきてくれました。自分たちの駅伝にこだわっていきたい」。目標とする優勝に向けては「中盤区間で溜池(一太)を入れようと思っていますので、溜池投入のあたりでできるだけアドバンテージを得たい」と話した。

前半3区間に主力を並べた中央大の藤原監督

1区 吉居駿恭(2年、仙台育英)
2区 中野翔太(4年、世羅)
3区 吉居大和(4年、仙台育英)
4区 柴田大地(1年、洛南)
5区 本間颯 (1年、埼玉栄)
6区 吉中祐太(2年、豊浦)
7区 湯浅仁 (4年、宮崎日大)
8区 阿部陽樹(3年、西京)

補員 大澤健人(4年、韮山)
   浦田優斗(3年、國學院久我山)
   東海林宏一(3年、山形南)
   山平怜生(3年、仙台育英)
   溜池一太(2年、洛南)

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