選手権3連覇の帝京大に福田大和、高校代表主将・城は早大 期待のルーキー対抗戦編
5月に入り、ラグビーの関東春季大会が本格的に始まり、関西春季トーナメントも開催が予定されている。そこで今季も関東大学ラグビー対抗戦Aグループ、関東大学ラグビーリーグ戦1部、関西大学ラグビーAリーグの主要3リーグの各チームに入ったルーキーを紹介する。まずは昨季も大学選手権決勝に2チームが出場し、今季も大学選手権に上位5チームが出場できる関東大学ラグビー対抗戦から見ていきたい。
帝京大 「姫野2世」福田大和らが春季大会デビュー
昨季も春から絶対的な強さを見せてシーズンを無敗で駆け抜けた帝京大学。対抗戦、大学選手権で3連覇を達成し、ともに12度目の王者に輝いた。相馬朋和監督体制3シーズン目も、「花園」こと全国高校ラグビー大会や高校日本代表で活躍した有望選手人33人が加入した。
すでに春季大会デビューを果たした選手が3人いる。まずは高校日本代表で活躍し、そして4月には大学1年生で唯一、日本代表を率いるエディー・ジョーンズHCが肝いりで初めた「JAPAN TALENT SQUAD」にも選ばれた福田大和（中部大春日丘）。攻守にわたり接点に強くリーダーシップがあり、高校・大学が共通する「姫野和樹2世」だ。さらに、縦に強さを見せる高校日本代表CTB佐藤楓斗（尾道）は福田とともに初戦から先発。控えからSO神田丈英（常翔学園）も出場した。
高校日本代表からは、接点で強さを発揮したFL坪根章晃（東福岡）、HO高晃崇（大阪朝鮮）の2人が入部。帝京大学が初優勝した東日本大学セブンズではSH三田村喜斗（流経大柏）、SO福田正武（國學院栃木）が1年生ながら出場し、福田は中軸として決勝トライを挙げた。
花園準優勝の東福岡からは他にもPR／HO髙矢晨之介、SH西村颯二郎、WTB松尾佳大が入部。また花園ベスト4だった大阪桐蔭からはキャプテンだったCTB林田力を筆頭に、LO鈴木仁大、FL原旺次郎、NO8上野凌大、CTB平野晃成と5人が入部した。
他にもスクラムの強さに定評のあるPR畠拳龍（京都工学院）、成城学園のキャプテンだった総合力の高いSO／CTB村井健人、中部大春日丘のスピードスターWTB齊藤桜暉、キャプテンとして高川学園を花園初出場に導いたFB大嶋柚楽、中高をニュージーランドで過ごしたSH安樂圭将（ロトルアボーイズ）らも加わった。部の伝統として有望な新人を積極的に起用しリーダーとして育てる文化があるため、今季も多くの1年生がデビューするはずだ。
明治大 高比良・萩井・白井など高校代表が7人
昨季は創部100周年の節目だったが、対抗戦、大学選手権ともに準優勝だった明治大学。今季も高校日本代表26人中7人など有望な1年生が22人加わっている。
まずFWで高校日本代表に選ばれていたメンバーは、花園で準優勝した東福岡キャプテンのHO／NO8高比良恭介、花園ベスト4の大阪桐蔭PR野村俊介、東福岡LO倉掛太雅の3人だ。山梨学院の花園初出場に貢献したLO／FL雨宮巧弥、LO古賀大輝（佐賀工業）は1月の候補合宿のメンバーだった。
他にもPR道浦康介（國學院久我山）、PR佐藤蓮（常翔学園）、PR小西飛源（光泉カトリック）、HO杉本天（尾道）、FL久保太進（長崎北陽台）、NO8中村つぐ希（目黒学院）と、強豪校のレギュラーがずらりと並ぶ。系列校からHO和島優弥、FL田島柊（ともに明大中野）、FL／NO8長谷川壮馬（明大中野八王子）の3人も入部した。
BKを見ると高校日本代表は4人が入部。桐蔭学園の2冠に寄与したSO萩井耀司とCTB白井瑛人、佐賀工業のキャプテンだったステッパーWTB／CTB大和哲将、CTB／FB阿部煌生（流通経済大柏）だ。萩井と白井はすでに4月の春季大会の初戦でベンチから出場して紫紺デビューを果たしている。
そして春季大会から15番を背負ったのがFB為房幸之介（常翔学園）だ。昨季まで在籍したPR為房慶次朗（現・スピアーズ船橋・東京ベイ）の実弟で、昨季はケガで棒に振ったが、復帰してキックやタックルに非凡なところを見せた。他にも國學院栃木のキャプテンだったSH小倉光希矢、CTB宮﨑和史（石見智翠館）、セブンズで出場したWTB／FB長谷川諒（報徳学園）もいる。
昨季は4年生が多く試合に出場していたこともあり、今季は神鳥裕之監督が「部内競争」を歓迎しており、多くのルーキーがレギュラーの座を奪うことになりそうだ。
早稲田大 高校代表の正副主将、城・服部が入部
昨季は対抗戦3位、そして大学選手権では準々決勝で京都産業大に負けて年内にシーズンを終えた早稲田大学。35人の新人が入ったが、高大連携で強化しているため14人が系列校からの入部となった。
まずレギュラーとして活躍が期待されているのが高校日本代表3人だ。桐蔭学園の2冠に貢献した代表キャプテンFL／NO8城央祐とPR前田麟太朗、そして大田尾竜彦監督の高校の後輩にあたり総合力の高いSO／FB服部亮太（佐賀工業）は代表の副将だ。すでに城は春の「早慶戦」で先発し、服部はSO、FB両方でのプレーが可能なためBKの選手層を厚くするはずだ。
他にも桐蔭学園からはHO田中健心、FL／NO8牧錬太郎、SH渡邊晃樹、SH／WTB田中健想も入部した。また花園決勝に進んだ東福岡からはPR杉村利朗、エースの一人として活躍したWTB西浦岳優が加わった。
他にもLO／NO8小林光晴（福岡）、WTB／CTB平野仁（法政二）はともに大型選手として将来を有望視されている。また早稲田大らしくBKに能力の高い選手が多く入部し、報徳学園のキャプテンだったSO／CTB菊川迪、一浪や留学を経て入部したSO島田隼成、SO／FB細田悠介（ともに修猷館）、WTB／CTB鈴木彪馬（國學院我山）、SO／CTB寺田結（尾道）、CTB藤井雄士（札幌山の手）も高校時代に全国大会を経験している。
また花園に出場した早稲田実業からはキャプテンのFL／NO8多田陽道を筆頭にPR原幹司、HO小笠原正義、PR／FL遠藤直輝、FL／NO8久我真之介、SH宮下羚、SO田中大斗が加入。OBの山下昂大監督が指導している早稲田佐賀からはPR／HO池田恭盛、LO／NO8松澤慶、WTB／CTB山下恵士朗が、そして早大学院からはLO／FL龍康之助、WTB／CTB櫻井翔真、SH佐藤隼成、早稲田本庄からはFL／NO8淺沼大智が大学でもラグビーを続ける。
筑波大 高校代表3人をはじめ、倍増の23人
一昨季、大学選手権ベスト4に進出した「国立大の雄」筑波大学（対抗戦4位）。昨季の新人は11人だったが、今季は倍増の23人が加わり大きな戦力となるはずだ。
まず高校日本代表3人が入部。桐蔭学園の2冠に大きく貢献したLO中森真翔、夏にセブンズで高校日本一となった佐賀工業のSH井上達木、茗渓学園のキャプテンだったWTB／FB森尾大悟だ。春季大会初戦でLO中森は先発、SH井上は控えからツクバブルーのジャージーに袖を通した。FL茨木颯（3年）の弟のPR海斗、茗渓学園出身のWTB／FB林勇太も初戦からメンバー入りを果たした。
他にもFWはPR北田勇翔（茗渓学園）、PR／LO高倉寛太（富山第一）、川越東の共同キャプテンだったPR寺山公太、FL松本青大（川越）、突破力にたけたHO／NO8浜浦幸太郎（中部大学春日丘）、高校時代はBKでチームの中心だったFL／NO8／WTB加島優陽（石見智翠館）、FL加藤寛樹（東京）らが加入している。
BKはSH／WTB大島悠生（岡山城東）、SH黒田琉樹（向陽）、SO／FB岡本泰一（茗渓学園）、SO／FB朴大優（大阪朝鮮）、CTB／FB菅野駿（太田）、WTB／FB藤村泰成（浦和）なども加わっている。
慶應大 元代表・小野澤の息子や井吹が実戦デビュー
昨季の大学選手権では3回戦で天理大の前に涙をのんだ慶應義塾大学（対抗戦5位）。2014年度以来、大学選手権で国立競技場のピッチに立つことができていない。昨季の新人は19人だったが、128代目となる今季は倍近い35名が入部した。
まず高校日本代表が2人入部している。桐蔭学園の2冠に貢献したPR井吹勇吾、そして日本代表の名WTB宏時を父に持つ小野澤謙真（静岡聖光学院）だ。すでにPR井吹は春の「早慶戦」で黄黒ジャージーデビュー。小野澤はセブンズの試合やB戦で実戦デビューを果たした。
他にも桐蔭学園からはPR／LO廣瀬宇一朗、LO／FL持木太心、FL中野誠章、SH／CTB諸田章彦、WTB武居泰獅が入部。京都工学院から初の入部だというSH平井汰郎、和田康二GMのおいのSH／SO健太郎（清真学園）、PR中谷太星（東福岡）、FL森田周祐（國學院大學久我）、FL／LOキーヴァーブラッドリー京（常翔学園）、身長190cmの大東煌（六甲学院）、SO田村優太郎（茗渓学園）ら有力選手も加わった。
高大連携で強化しているため17人が系列校からの入部となった。慶應義塾高校からはキャプテンだったCTB脇龍之介、NO8山中悠伍ら11人。慶應志木からはPR岩澤敏、LO加藤光、WTB加藤旭陽。慶應義塾ニューヨーク学院からはHO／FL柏木浩太郎が大学でもラグビーを続ける。
立教大・青山学院大・日体大にも有望新人
創部100周年の昨季は惜しくも大学選手権に届かなかった立教大学（対抗戦6位）。今季は昨季の11人から27人と倍以上が入部。特に立教新座からキャプテンのSH成田直生、HO西井悠眞ら10人が加わった。女子部員としてSO／FB野澤友歩、CTB／FL友那（ともに四日市メリノール学院）の双子も入った。
昨季、花園準優勝だった東福岡のWTB村上有志が春の初戦で先発メンバー入りを果たし、同じく東福岡のLO／FL中山英琥もベンチメンバー入り。さらにLO高尾将太（川越東）、FL前田純也（東海大大阪仰星）、SO／FB福井柊哉（桐蔭学園）、CTB小脇煌太（茗溪学園）もB戦で出場した。
また、PR高木涼平、FL越後智（ともに桐蔭学園）、LO／NO8森本爽太（茗渓学園）、LO／NO8吉川柊佑、FL小田部晃太（ともに國學院久我山）らが強豪校から入部。他にもPR／LO矢田佳之（西武台）、PR／HO築谷豪（城北）、HO／NO8井出一登（大分上野丘）、FL藤海來（筑紫丘）、SH／SO藤倉将太朗（専大松戸）、WTB／FB林田和真（長野）が加わった。
昨季は対抗戦で7位と入れ替え戦に回ってしまった青山学院大。創部100周年の今季は5位以上に入って大学選手権に出場したいところ。今季も昨季とほぼ同じ17人が入部した。
まず花園準優勝の東福岡から高校日本代表2人、SH利守晴とジャッカルFL松﨑天晴が加わった。東福岡からはさらに司令塔だったSO井上晴生も入部した。
他にもPR一ツ橋孟也（常翔学園）、FL横井陽仁（桐蔭学園）、HO柳颯真（報徳学園）、LO小坂龍平（國學院大學栃木）、LO／NO8角谷銀次朗（京都成章）、FL藤田武蔵（静岡聖光学院）、SH丸岡大地斗（流経大柏）、WTB／FB山本啓太（常翔学園）らが強豪高から加入。青山学院高等部のPR舘慶次郎、LO髙村光佑が大学でもラグビーを続ける。
昨季、入れ替え戦で勝利し、1年でAグループに復帰した日本体育大。新たに22人が加わり、今季は昇格組ながら大学選手権出場を狙いたい。
春季大会初戦でトンガ人留学生の身長185cm、体重120kgのLOパエラ・レワ（日体柏）が控えから存在感を示した。FWは他にPR佐々木太陽（秋田中央）、FL江頭京介、高校日本代表候補だったNO8中川内優太（ともに佐賀工）らがいる。BKはSO高岡優大、FB浅見友輝（ともに東京）、SO朽木康次郎（若狭）、CTB大久保陽斗（桐蔭学園）、CTB渡辺遼太（大分舞鶴）、WTB奥村勇太（日体大柏）が入部した。
今季も対抗戦からの大学選手権出場は5校であり、上位争いは激しくなると予想される。どの大学も上位進出、大学選手権出場のためには、ルーキーの活躍が例年以上に欠かせない。
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